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視界が赤い。
違う、目を瞑っているのに強い光が顔に差しているんだ。
白い、うっとうしい光だ。
目をこすりながら、甘美なまどろみから身を起こす。
寝ていたベッドが自分のものではないことに気付くのに、そう時間はかからなかった。
ベッドだけではない、間取りから家具から、壁の色まで。
壁からせり出した無機質なテーブルとイス、本棚くらいしかこの部屋にはない。
後ろの壁には白い箱のような機械のついたスライド式のドアがあるが、鍵穴や取っ手がない。
自分のいた部屋とはまるで様変わりしている。
自分の服も、いつの間にか真っ白なシャツとグレーのパンツになっている。
昨日は間違いなく自分の家で寝たはずだ。
なら、ここはどこだ?
まさか、拉致された?
僕の名前は多賀城淨閑。20歳。大学生。よし、覚えている。
ペタペタと触る自分の顔も、記憶のそれと一致している、気がする。
すぐさまドアに向かい、叩いてみる。
「誰かいないですかー!」
・・・ダメだ。鉄筋コンクリートの完全防音。
うんともすんとも、そしてびくともしない。
拉致された可能性が、少しずつ現実味を帯びてくる。死にたいポイント+1。
そんな折、尻に違和感を感じる。
グレーのパンツの尻ポケットからは、僕の名前と数字の4が書かれているカードが見つかった。
誰かが僕の尻に触ったってことがこれで確かな事実となる。死にたいポイント+1。
ドア脇の白い箱のような機械にカードを近づける。
予想通り、カードキーと対応するカードリーダーとだったようで、すんなりとドアはスライドして開いた。
青い壁の部屋の真ん中にはテーブルがあるが、他には誰もいない。
正方形の部屋の四方の壁には先ほどのカードリーダーが付いており、同じような白い部屋があるのだろう。
自分のカードをかざすが、開かない。
このたてものに閉じ込められたのは間違いないってことか。死にたいポイント+1。
部屋に戻り再びドアを開けっぱなしにして、情報を集めることにする。
本棚は後に回そう、情報量が多いし、僕は読書は苦手だ。
テーブルに向かい、椅子に座る。なかなか座り心地がい。
無造作に散らばっている小さな紙片と穴あけパンチを脇に寄せ、わずかに膨らんだノートを開く。
ふくらみの犯人は、挟まっていたボールペンだった。
そして開いたページに並んでいるのは5つの人名で、名前の文字を苗字から消しているようだ。
0 アルベン=ベヒルシアノン
1 アサクラ サクラ
2 ナカガミ ミカ
3 アカイタ タカ
4 タナミチ チナミ
どうやらこの部屋の住人は残った文字を並べて「ヒシノアナガアイタ」という何かメッセージを得たらしい。
先ほどわきに寄せた紙片を見る。
なるほど、パンチは菱形の穴を開けられるらしい。
これで、何かに穴を開けるんだろうな。
「何これ!?青いんだけど!」
ドアの先の青い部屋で、女性の金切り声が響く。
「ていうか、ナカガミの部屋のドア、閉まってるし!」
僕が部屋から顔をひょっこり出すと、黒髪の女の子と、茶髪の男性の顔が見えた。
男の方が僕に気付き、ギラリと睨みつける。
「誰だ、あんた」
「やぁ、ここビビるほど青いね。食欲失せちゃったよ」
気さくな挨拶を心掛けたつもりだったのだが、かえって心証を悪くしてしまったらしい。
彼は目を細めて口を真一文字に結んでいるし、僕に気付いた女性の方はアングリと口を開けていた。
「僕はタガジョウジョウガ。漢字は難しいから説明は割愛するね」
「・・・その部屋にはタナミチって男がいたはずだ」
「みたいだね。今はいないってことは脱出したんじゃないかな」
「脱出、だと?」
どうやらその二文字は彼らにとっては意外も意外だったらしい。
「僕はさっきここで起きたばかりだから、まずは状況を教えてくれないかな。それどころじゃないのかもしれないけど」
彼の名前はアカイタ。そして女性の方はアサクラ。
どちらもあのノートに書かれていた名前だ。
曰く、タナミチという男と、ナカガミなる女性がこの空間にはかつて存在した。
前者は神隠しのごとく消えて、後者は殺されたという。
状況をすべて聞いた僕は、何の解決にもならないとは思いながらも、一つ提案した。
「全員、カードをテーブルに並べてみようか」
青い壁の部屋で、何もないテーブルの上に並ぶ4枚のカード。
まずアカイタのカードには傷一つない。
アサクラのカードには錐か何かで無理やり開けたような不格好な穴が開いていた。
ナカガミのカードにはパンチで開けたようなきれいな丸い穴が開いている。
そして僕のカード。こちらも傷一つない。
ここに元々『家より名を奪え、アルベン=ベヒルシアノン 0』というメモと、カードリーダーがあったという。
ノートに書かれていたのはまさしく「家より名を奪う」過程だったのだろう。
「そういえば、二人の部屋にノートと書くものはあった?」
二人とも頷く。
「ナカガミのへやにもあったけど、それが何?」と、アサクラは尋ねる。
それを無視して、僕は続けた。
「ナカガミさんのカードには、元から穴が開いていたのかな」
「そうだ」と、アカイタが短く頷く。
「アサクラさんのカードのその汚い穴はいつから?」
アサクラは心外だとばかりにテーブルの天板をコツコツと指先でつつく。
「最初からあったわよ?」
「じゃあボールペンを見せてほしいな。さっき言ってたよね、書くものもあったって」
アサクラは、言いよどむ。
「今は、手元にない」
「「壊しちゃったから」」
僕とアサクラの声が重なる。
少し、考える。
ナカガミを殺したのが誰なのか、明らかにすべきだろうか?
否が応でもこれから1か月シェアハウスすることになるかもしれないのだ。
あえて関係性をぎくしゃくさせる必要はないのでは。
適当に自殺だということにしても、誰も困らないのでは。
・・・いや、危機的状況における例外行動とはいえ、人殺しは人殺し。クズだ。
一度やってしまったのだ、止まらなくなる可能性もある、危険因子は排除しておこう。
「ナカガミさんを殺したのはアサクラさんだね」
「・・・は?私?」
その口元には「冗談でしょ」と言いたげな薄い笑みが。
目元は全盛期の北島康介ばりに泳いでいた。
「凶器となった『東洋毒性動植物』の本は朝倉さんの部屋にしかなかったんでしょ?」
「それはそうだけど・・・アカイタがナカガミの部屋に入って初めて凶器に気付いたとしても、矛盾はないじゃない!」
アサクラは髪を振り乱して反論する。
「本棚の本を態々並べたのも、自分の部屋には凶器がなかったことをわざと印象付けるためだったのよ」
「ありえなくないね。でも彼は犯人じゃない」
「どうして」
「ナカガミさんを殺す動機を思いついていないから」
それを聞いて表情を歪ませるアサクラと対照的に、目を丸くしているアカイタ。
「アカイタさんってまだわかってないんでしょ?『家から名を奪う』の意味」
「あ、あぁ・・・正直、わかってない」
少し恥ずかしそうにアカイタは、肯定した。
口元を手で覆っているが、耳の先まで真っ赤だ。
「でも、アサクラさんは気付いているよね」
「は?何のこと?」
「家から名を奪う、つまり苗字から名前に使われている文字を削る。そして番号通りに並べると?」
「・・・『アナガアイタ』、か」
アカイタは得心いった様子で顎に手をやっている。
「だからボールペンで無理やりカードキーに穴を開けて試したんだ。でも何も起きなかった。そうなると穴の開いているカードキーを持っているナカガミさんのカードはどうだろう、そう思ったんじゃない?」
返事はない。アサクラは口を真一文字に結んだままだ。
「万一1人しかこの空間から脱出できないなら?あるいはナカガミさんがカードを読み取らせたら?どっちにしても自分はここで閉じ込められたままだ」
一方的に確たる証拠もない推理を話しているうちに、みるみる内にアサクラの顔が青ざめていく。
「ただ解読が完全じゃあなかった。だからここから出られなかったんだ。ダメだよ、0番のアルベンも含めないと」
「・・・『ヒシノアナガアイタ』」
アサクラは、ゆっくりと答えを言った。
その声は、今にも泣きそうなほど震えていた。
「そう。つまりタナミチさんの部屋にあったパンチで菱形の穴を開けたカードが必要だったみたいだね」
がっくりと崩れ落ち、「うわあああああ!」と泣きじゃくるアサクラ。それは犯行を認めたも同然だった。
アカイタは、何が何だかわからないというような顔だったが、肩をすくめて言った。
「阿呆が。4つの部屋が解放されるまで待てばよかったのに・・・」
それと同時に、青い部屋い無機質な機械音声が流れる。
「カードが揃ったため、次のシーケンスを開始します」
その瞬間、青い部屋は停電したかのように漆黒に包まれた。
僕が覚えているのは、殺人犯の悲痛な泣き声だけだった。
―――泣きたいのは、死んだナカガミとやらだろうに。
違う、目を瞑っているのに強い光が顔に差しているんだ。
白い、うっとうしい光だ。
目をこすりながら、甘美なまどろみから身を起こす。
寝ていたベッドが自分のものではないことに気付くのに、そう時間はかからなかった。
ベッドだけではない、間取りから家具から、壁の色まで。
壁からせり出した無機質なテーブルとイス、本棚くらいしかこの部屋にはない。
後ろの壁には白い箱のような機械のついたスライド式のドアがあるが、鍵穴や取っ手がない。
自分のいた部屋とはまるで様変わりしている。
自分の服も、いつの間にか真っ白なシャツとグレーのパンツになっている。
昨日は間違いなく自分の家で寝たはずだ。
なら、ここはどこだ?
まさか、拉致された?
僕の名前は多賀城淨閑。20歳。大学生。よし、覚えている。
ペタペタと触る自分の顔も、記憶のそれと一致している、気がする。
すぐさまドアに向かい、叩いてみる。
「誰かいないですかー!」
・・・ダメだ。鉄筋コンクリートの完全防音。
うんともすんとも、そしてびくともしない。
拉致された可能性が、少しずつ現実味を帯びてくる。死にたいポイント+1。
そんな折、尻に違和感を感じる。
グレーのパンツの尻ポケットからは、僕の名前と数字の4が書かれているカードが見つかった。
誰かが僕の尻に触ったってことがこれで確かな事実となる。死にたいポイント+1。
ドア脇の白い箱のような機械にカードを近づける。
予想通り、カードキーと対応するカードリーダーとだったようで、すんなりとドアはスライドして開いた。
青い壁の部屋の真ん中にはテーブルがあるが、他には誰もいない。
正方形の部屋の四方の壁には先ほどのカードリーダーが付いており、同じような白い部屋があるのだろう。
自分のカードをかざすが、開かない。
このたてものに閉じ込められたのは間違いないってことか。死にたいポイント+1。
部屋に戻り再びドアを開けっぱなしにして、情報を集めることにする。
本棚は後に回そう、情報量が多いし、僕は読書は苦手だ。
テーブルに向かい、椅子に座る。なかなか座り心地がい。
無造作に散らばっている小さな紙片と穴あけパンチを脇に寄せ、わずかに膨らんだノートを開く。
ふくらみの犯人は、挟まっていたボールペンだった。
そして開いたページに並んでいるのは5つの人名で、名前の文字を苗字から消しているようだ。
0 アルベン=ベヒルシアノン
1 アサクラ サクラ
2 ナカガミ ミカ
3 アカイタ タカ
4 タナミチ チナミ
どうやらこの部屋の住人は残った文字を並べて「ヒシノアナガアイタ」という何かメッセージを得たらしい。
先ほどわきに寄せた紙片を見る。
なるほど、パンチは菱形の穴を開けられるらしい。
これで、何かに穴を開けるんだろうな。
「何これ!?青いんだけど!」
ドアの先の青い部屋で、女性の金切り声が響く。
「ていうか、ナカガミの部屋のドア、閉まってるし!」
僕が部屋から顔をひょっこり出すと、黒髪の女の子と、茶髪の男性の顔が見えた。
男の方が僕に気付き、ギラリと睨みつける。
「誰だ、あんた」
「やぁ、ここビビるほど青いね。食欲失せちゃったよ」
気さくな挨拶を心掛けたつもりだったのだが、かえって心証を悪くしてしまったらしい。
彼は目を細めて口を真一文字に結んでいるし、僕に気付いた女性の方はアングリと口を開けていた。
「僕はタガジョウジョウガ。漢字は難しいから説明は割愛するね」
「・・・その部屋にはタナミチって男がいたはずだ」
「みたいだね。今はいないってことは脱出したんじゃないかな」
「脱出、だと?」
どうやらその二文字は彼らにとっては意外も意外だったらしい。
「僕はさっきここで起きたばかりだから、まずは状況を教えてくれないかな。それどころじゃないのかもしれないけど」
彼の名前はアカイタ。そして女性の方はアサクラ。
どちらもあのノートに書かれていた名前だ。
曰く、タナミチという男と、ナカガミなる女性がこの空間にはかつて存在した。
前者は神隠しのごとく消えて、後者は殺されたという。
状況をすべて聞いた僕は、何の解決にもならないとは思いながらも、一つ提案した。
「全員、カードをテーブルに並べてみようか」
青い壁の部屋で、何もないテーブルの上に並ぶ4枚のカード。
まずアカイタのカードには傷一つない。
アサクラのカードには錐か何かで無理やり開けたような不格好な穴が開いていた。
ナカガミのカードにはパンチで開けたようなきれいな丸い穴が開いている。
そして僕のカード。こちらも傷一つない。
ここに元々『家より名を奪え、アルベン=ベヒルシアノン 0』というメモと、カードリーダーがあったという。
ノートに書かれていたのはまさしく「家より名を奪う」過程だったのだろう。
「そういえば、二人の部屋にノートと書くものはあった?」
二人とも頷く。
「ナカガミのへやにもあったけど、それが何?」と、アサクラは尋ねる。
それを無視して、僕は続けた。
「ナカガミさんのカードには、元から穴が開いていたのかな」
「そうだ」と、アカイタが短く頷く。
「アサクラさんのカードのその汚い穴はいつから?」
アサクラは心外だとばかりにテーブルの天板をコツコツと指先でつつく。
「最初からあったわよ?」
「じゃあボールペンを見せてほしいな。さっき言ってたよね、書くものもあったって」
アサクラは、言いよどむ。
「今は、手元にない」
「「壊しちゃったから」」
僕とアサクラの声が重なる。
少し、考える。
ナカガミを殺したのが誰なのか、明らかにすべきだろうか?
否が応でもこれから1か月シェアハウスすることになるかもしれないのだ。
あえて関係性をぎくしゃくさせる必要はないのでは。
適当に自殺だということにしても、誰も困らないのでは。
・・・いや、危機的状況における例外行動とはいえ、人殺しは人殺し。クズだ。
一度やってしまったのだ、止まらなくなる可能性もある、危険因子は排除しておこう。
「ナカガミさんを殺したのはアサクラさんだね」
「・・・は?私?」
その口元には「冗談でしょ」と言いたげな薄い笑みが。
目元は全盛期の北島康介ばりに泳いでいた。
「凶器となった『東洋毒性動植物』の本は朝倉さんの部屋にしかなかったんでしょ?」
「それはそうだけど・・・アカイタがナカガミの部屋に入って初めて凶器に気付いたとしても、矛盾はないじゃない!」
アサクラは髪を振り乱して反論する。
「本棚の本を態々並べたのも、自分の部屋には凶器がなかったことをわざと印象付けるためだったのよ」
「ありえなくないね。でも彼は犯人じゃない」
「どうして」
「ナカガミさんを殺す動機を思いついていないから」
それを聞いて表情を歪ませるアサクラと対照的に、目を丸くしているアカイタ。
「アカイタさんってまだわかってないんでしょ?『家から名を奪う』の意味」
「あ、あぁ・・・正直、わかってない」
少し恥ずかしそうにアカイタは、肯定した。
口元を手で覆っているが、耳の先まで真っ赤だ。
「でも、アサクラさんは気付いているよね」
「は?何のこと?」
「家から名を奪う、つまり苗字から名前に使われている文字を削る。そして番号通りに並べると?」
「・・・『アナガアイタ』、か」
アカイタは得心いった様子で顎に手をやっている。
「だからボールペンで無理やりカードキーに穴を開けて試したんだ。でも何も起きなかった。そうなると穴の開いているカードキーを持っているナカガミさんのカードはどうだろう、そう思ったんじゃない?」
返事はない。アサクラは口を真一文字に結んだままだ。
「万一1人しかこの空間から脱出できないなら?あるいはナカガミさんがカードを読み取らせたら?どっちにしても自分はここで閉じ込められたままだ」
一方的に確たる証拠もない推理を話しているうちに、みるみる内にアサクラの顔が青ざめていく。
「ただ解読が完全じゃあなかった。だからここから出られなかったんだ。ダメだよ、0番のアルベンも含めないと」
「・・・『ヒシノアナガアイタ』」
アサクラは、ゆっくりと答えを言った。
その声は、今にも泣きそうなほど震えていた。
「そう。つまりタナミチさんの部屋にあったパンチで菱形の穴を開けたカードが必要だったみたいだね」
がっくりと崩れ落ち、「うわあああああ!」と泣きじゃくるアサクラ。それは犯行を認めたも同然だった。
アカイタは、何が何だかわからないというような顔だったが、肩をすくめて言った。
「阿呆が。4つの部屋が解放されるまで待てばよかったのに・・・」
それと同時に、青い部屋い無機質な機械音声が流れる。
「カードが揃ったため、次のシーケンスを開始します」
その瞬間、青い部屋は停電したかのように漆黒に包まれた。
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―――泣きたいのは、死んだナカガミとやらだろうに。
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