AIと十字館の殺人

八木山

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離章

推理

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・・・タナミチ、チナミ。
パンチから出てきたひし形の破片を並び替えて浮かび上がったのは、主人公の名前だった。

じゃあこれも、脱出のためのヒントってこと、だよな。
ナカガミが死ぬこと自体が黒幕にとって偶然だったなら、こんなところにメッセージを隠す理由は「ヒント」に他ならない。
そして、「家より『名』を奪え」というメッセージ。
関係がないとは、どうしても思えない。

黒い破片に書かれた、チナミという自分の名前。

確かに名声を失った名家なんてものはいくらでもあるんだろうが、それが答えとは思えなかった。
自分のような無知なる大学生でもこたえられるような簡単な話のはずだ。

となると真っ先に思いつくのは・・・姓名だ。
英語で言うならファミリーネームとセカンドネーム。
由緒なき棚道家の長男としてシャンとせえと、父は常々言っていた。

・・・!そうか、タナミチ家!

そして、家から名を奪うってことは・・・・姓から名の文字を取るってことだ。
目の前に並べていた破片が、途端に鮮やかに明滅するように見える。スッキリ!
だから、「タ」の文字以外の破片は黒かったのか
最初から答えはそこにあったのだ。

アルベン=ベヒルシアノン は 「ヒシノ」
アサクラ サクラ は「ア」
ナカガミ ミカ は「ナガ」
アカイタ タカ は「アイ」
タナミチ チナミ は「タ」

・・・ヒシノアナガアイタ。菱の穴が開いた!

テーブルの上に置かれたひし形の穴を開けるパンチを見つめて、タナミチは思いっきり息を吸った。

・・・これじゃない?
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