AIと十字館の殺人

八木山

文字の大きさ
上 下
24 / 31
離章

しおりを挟む
ふと、テーブルに目をやる。
最初に起きて調べた時に出しっぱなしにんした、穴あけパンチが目に入った。

穴。穴か。

そういえば、ナカガミのカードには穴が開いていた。
「家より名を奪え」と書いたアルベンの名前の後ろには、カードと同じく数字が書かれていた。
もしやとは思うが、カード、穴、メッセージの3つには何か関連があるのかも知れない。

考えれば考えるほど、自分の部屋に穴あけパンチがあることがとても、意味のある事のようにタナミチには感じられた。
まるで穴を開けるための道具を調べなかったことそのものが、調査の穴だったかのように見えてくる。

とりあえずノートのページを挟み、ガシャリとレバーを引いた。
そもそも使えるのかを調べたかったのだ。
紙が切断されるザクリという感触が、手に心地よい。

(・・・む)

難なくノートには穴が開いたのだが、珍しくもその穴はひし形だった。

手に取ってみると、カシャカシャと音が出る。
くりぬかれた紙がたまっているスペースに、何かプラスチックのようなものが入っているのだ。
カバーを取り外し中のゴミを調べる。

紙吹雪の中に、それはあった。
ひし形にくりぬかれた黒色のプラスチックの板の破片。
ナ、ミ、チの文字が書かれた白い破片が、それぞれ2枚ずつ。
そして、タの文字の書かれた白い破片が1枚。

ここに閉じ込めた人間がゴミをそのままにしていた、なんてことはないはずだ。
間違いなくこれも俺に見つかる前提で配置されたものに違いない。

タナミチは目を閉じて思索を巡らせる。
見落としは確かにあった、だがこうして見つけられたじゃないか。
俺は、やればできる子だ。
そう、答えは必ず近くにあるはずなのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

コドク 〜ミドウとクロ〜

藤井ことなり
ミステリー
 刑事課黒田班に配属されて数ヶ月経ったある日、マキこと牧里子巡査は[ミドウ案件]という言葉を知る。  それはTMS探偵事務所のミドウこと、西御堂あずらが関係する事件のことだった。  ミドウはマキの上司であるクロこと黒田誠悟とは元同僚で上司と部下の関係。  警察を辞め探偵になったミドウは事件を掘り起こして、あとは警察に任せるという厄介な人物となっていた。  事件で関わってしまったマキは、その後お目付け役としてミドウと行動を共にする[ミドウ番]となってしまい、黒田班として刑事でありながらミドウのパートナーとして事件に関わっていく。

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

緩やかな波音

三谷朱花
ミステリー
祖母が死んだ。それは自然に訪れた死だったのか。死をめぐるミステリー。 ※アルファポリスのみの公開です。

夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。 飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。 ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた—— 「そこに、"何か"がいる……。」 科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。 これは幽霊なのか、それとも——?

強制憑依アプリを使ってみた。

本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。 校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈ これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。 不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。 その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。 話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。 頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。 まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。

若月骨董店若旦那の事件簿~水晶盤の宵~

七瀬京
ミステリー
 秋。若月骨董店に、骨董鑑定の仕事が舞い込んできた。持ち込まれた品を見て、骨董屋の息子である春宵(しゅんゆう)は驚愕する。  依頼人はその依頼の品を『鬼の剥製』だという。  依頼人は高浜祥子。そして持ち主は、高浜祥子の遠縁に当たるという橿原京香(かしはらみやこ)という女だった。  橿原家は、水産業を営みそれなりの財産もあるという家だった。しかし、水産業で繁盛していると言うだけではなく、橿原京香が嫁いできてから、ろくな事がおきた事が無いという事でも、有名な家だった。  そして、春宵は、『鬼の剥製』を一目見たときから、ある事実に気が付いていた。この『鬼の剥製』が、本物の人間を使っているという事実だった………。  秋を舞台にした『鬼の剥製』と一人の女の物語。

聖女の如く、永遠に囚われて

white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。 彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。 ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。 良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。 実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。 ━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。 登場人物 遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。 遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。 島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。 工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。 伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。 島津守… 良子の父親。 島津佐奈…良子の母親。 島津孝之…良子の祖父。守の父親。 島津香菜…良子の祖母。守の母親。 進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。 桂恵…  整形外科医。伊藤一正の同級生。 遠山未歩…和人とゆきの母親。 遠山昇 …和人とゆきの父親。 山部智人…【未来教】の元経理担当。 秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。

ファクト ~真実~

華ノ月
ミステリー
 特別編からはお昼の12時10分に更新します。  主人公、水無月 奏(みなづき かなで)はひょんな事件から警察の特殊捜査官に任命される。  そして、同じ特殊捜査班である、透(とおる)、紅蓮(ぐれん)、槙(しん)、そして、室長の冴子(さえこ)と共に、事件の「真実」を暴き出す。  その事件がなぜ起こったのか?  本当の「悪」は誰なのか?  そして、その事件と別で最終章に繋がるある真実……。  こちらは全部で第七章で構成されています。第七章が最終章となりますので、どうぞ、最後までお読みいただけると嬉しいです!  よろしくお願いいたしますm(__)m

処理中です...