AIと十字館の殺人

八木山

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結局あの場で結論は出なかった。
ただただ険悪な雰囲気になっただけだったので、お互いに床に並べられた本を抱えて自分の部屋に戻り、もう一度考えてみることにしたのだった。


タナイチは自分の部屋で目を閉じて、ナカガミの死についてわかっていることを思い出す。

1.ナカガミは毒によって死亡した。
2.注射器が使用され、首筋に注射の跡がある。
3.毒入りの注射器は、ナカガミの部屋にある本に隠されていた。
4.アサクラの部屋にも注射器が存在しましたが、未使用である。
5.アサクラの部屋の本には毒の注射器は隠されていない。
6.アルベンのカードキーは、現時点で見つかっていない。

確かに、ナカガミは部屋で毒入りの注射器を見つけ、それを使用して自ら首筋に注射し、死亡した可能性は高い。
アサクラの部屋にある未使用の注射器は、彼女がそれを見つける前にナカガミが自己注射を行ったために未使用のまま残ったと推測できます。
それに、注射器が特定の本に隠されていたことは、メッセージの一部なのかもしれない

(少なくとも、俺には殺害のチャンスは一度もなかっってことだもんな)


その上で、ここから出るための方法についても考える。

テーブルの上のリーダーに出るためのメモがあった以上、カードキーもまた脱出には関係していると思う。
わかっていることと言えばこんなところか。

・カードキーは各人の名前と数字からなり、個別に識別されている。
・今時点でわかっているカードキーは全部で5枚。
 アサクラのカードキー:「アサクラ サクラ 1」
 ナカガミのカードキー:「ナカガミ ミカ 2」
 アカイタのカードキー:「アカイタ タカ 3」
 タナミチのカードキー:「タナミチ チナミ 4」
 メモに記されたフレーズと関連性を持つカードキー:「アルベン ベヒルシアノン 0」

・カードキーはドアのロックを解除するために使用される。


メモに書かれた「家より名を奪え」というフレーズと、カードキーに記載された数字に関連性がある。
となればメモに書いてあるこの数字「0」が解読や謎解きの鍵である可能性は高いよな。
名前と数字の関連性・・・連番・・・家より名を奪え・・・うーん・・・

ダメだ、どっちもまだ答えが出ない。
何が足りない?何か見落としてないか?
もう一度、部屋を見回してみる。
そこまでの期待が胸にあったわけでは、ないのだけれども。
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