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分岐
付録
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アカイタが内容を読み飛ばし「東洋毒性動植物」の本をめくっていくと、それは唐突に表れた。
ページを何枚も切り抜いたことで生まれた分厚いくぼみ、そしてそこにハメられた段ボール。
真ん中には見たことのあるプラスチックの筒がテープで固定されていた。
ナカガミの死体の傍らに転がっていた注射器だ。
「『付録、皮下注射用致死毒』」アカイタは、ポツリと呟く。「こればかりは誰でも読めるな」
そしてアカイタはアサクラにそのページを突き出した。
「凶器の注射器はこの本から取り出された。間違いなくな」
「し、知らないわよ?私、そんな本、読んでない・・・!」
タナミチはナカガミの部屋にあったもう一冊の「東洋毒性動植物」を調べる。
やはり同じく段ボールの隠し付録が見つかった。
しかし、肝心の注射器はテープをはがされて持ち去られている。
「ほら、使われたのはナカガミさんの部屋の注射器じゃん!私は使ってない!」
アサクラは激昂してアカイタの手にある本をはたき落とした。
「むしろこれでわかったでしょ?ナカガミさんは自殺だったんだよ」
彼女の主張はこうだ。
自分の部屋で毒を見つけて、自分で自分を刺した。
「それにアンタなら毒の扱いも理解してるじゃん。その本も難なく読めてたみたいだし」
かと思ったら、アカイタに疑いを向けるアサクラ。
「私たちはここから出るのが目的なんだし、協力して0番のカードキーを探すべき。そうだよね?」
アサクラは、タナミチを見つめた。
じんわりと脳の奥底が熱を帯びる。
何か、何かを見落としている気がする。
ページを何枚も切り抜いたことで生まれた分厚いくぼみ、そしてそこにハメられた段ボール。
真ん中には見たことのあるプラスチックの筒がテープで固定されていた。
ナカガミの死体の傍らに転がっていた注射器だ。
「『付録、皮下注射用致死毒』」アカイタは、ポツリと呟く。「こればかりは誰でも読めるな」
そしてアカイタはアサクラにそのページを突き出した。
「凶器の注射器はこの本から取り出された。間違いなくな」
「し、知らないわよ?私、そんな本、読んでない・・・!」
タナミチはナカガミの部屋にあったもう一冊の「東洋毒性動植物」を調べる。
やはり同じく段ボールの隠し付録が見つかった。
しかし、肝心の注射器はテープをはがされて持ち去られている。
「ほら、使われたのはナカガミさんの部屋の注射器じゃん!私は使ってない!」
アサクラは激昂してアカイタの手にある本をはたき落とした。
「むしろこれでわかったでしょ?ナカガミさんは自殺だったんだよ」
彼女の主張はこうだ。
自分の部屋で毒を見つけて、自分で自分を刺した。
「それにアンタなら毒の扱いも理解してるじゃん。その本も難なく読めてたみたいだし」
かと思ったら、アカイタに疑いを向けるアサクラ。
「私たちはここから出るのが目的なんだし、協力して0番のカードキーを探すべき。そうだよね?」
アサクラは、タナミチを見つめた。
じんわりと脳の奥底が熱を帯びる。
何か、何かを見落としている気がする。
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