AIと十字館の殺人

八木山

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破章

検死

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今今わかった情報だけだと人殺しが誰かなんてわかりやしない。
それに、ここから出る方法についても何も追加でわかってないし。
今はとにかくこの事件の犯人を解き明かすことに集中しよう。
おのずから、ここから出ていく方法もわかるはずだ。

タナミチは手始めに、死体を調べることを決意する。
ダイイングメッセージでもあれば楽なのに、そんな甘い期待を寄せながら。





ナカガミは、眠るようにしてベッドに倒れていた。

乱れた金髪のボブカットを見ていると、彼女がベッドにドサリと倒れこんだ情景が思い浮かばれる。
彼女の首筋には赤く腫れた注射の跡が、そして傍らにはあえて放置したかのような注射器が見つかった。
ワクチン接種や採血に使う一本針のものとは違い、どちらかというと洋ゲーで主人公がアドレナリンを打ち込んでいそうな、短い二本の針がちょみんと出たプラスチックの筒のようだ。
他に傷痕もないし、これは注射器で毒を打たれて死亡したんじゃないか?

そんな物騒な注射器が、俺の部屋にもあったっていうのか?

床には、彼女のカードキーが落ちていた。
名前のほかには数字の2が書かれている。
そして、パンチで開けたようなきれいな円形の穴が開いているのだ。

彼女の死体からわかることはこれくらいだろう。
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