12 / 31
破章
検死
しおりを挟む
今今わかった情報だけだと人殺しが誰かなんてわかりやしない。
それに、ここから出る方法についても何も追加でわかってないし。
今はとにかくこの事件の犯人を解き明かすことに集中しよう。
おのずから、ここから出ていく方法もわかるはずだ。
タナミチは手始めに、死体を調べることを決意する。
ダイイングメッセージでもあれば楽なのに、そんな甘い期待を寄せながら。
ナカガミは、眠るようにしてベッドに倒れていた。
乱れた金髪のボブカットを見ていると、彼女がベッドにドサリと倒れこんだ情景が思い浮かばれる。
彼女の首筋には赤く腫れた注射の跡が、そして傍らにはあえて放置したかのような注射器が見つかった。
ワクチン接種や採血に使う一本針のものとは違い、どちらかというと洋ゲーで主人公がアドレナリンを打ち込んでいそうな、短い二本の針がちょみんと出たプラスチックの筒のようだ。
他に傷痕もないし、これは注射器で毒を打たれて死亡したんじゃないか?
そんな物騒な注射器が、俺の部屋にもあったっていうのか?
床には、彼女のカードキーが落ちていた。
名前のほかには数字の2が書かれている。
そして、パンチで開けたようなきれいな円形の穴が開いているのだ。
彼女の死体からわかることはこれくらいだろう。
それに、ここから出る方法についても何も追加でわかってないし。
今はとにかくこの事件の犯人を解き明かすことに集中しよう。
おのずから、ここから出ていく方法もわかるはずだ。
タナミチは手始めに、死体を調べることを決意する。
ダイイングメッセージでもあれば楽なのに、そんな甘い期待を寄せながら。
ナカガミは、眠るようにしてベッドに倒れていた。
乱れた金髪のボブカットを見ていると、彼女がベッドにドサリと倒れこんだ情景が思い浮かばれる。
彼女の首筋には赤く腫れた注射の跡が、そして傍らにはあえて放置したかのような注射器が見つかった。
ワクチン接種や採血に使う一本針のものとは違い、どちらかというと洋ゲーで主人公がアドレナリンを打ち込んでいそうな、短い二本の針がちょみんと出たプラスチックの筒のようだ。
他に傷痕もないし、これは注射器で毒を打たれて死亡したんじゃないか?
そんな物騒な注射器が、俺の部屋にもあったっていうのか?
床には、彼女のカードキーが落ちていた。
名前のほかには数字の2が書かれている。
そして、パンチで開けたようなきれいな円形の穴が開いているのだ。
彼女の死体からわかることはこれくらいだろう。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
夜の動物園の異変 ~見えない来園者~
メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。
飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。
ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた——
「そこに、"何か"がいる……。」
科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。
これは幽霊なのか、それとも——?
若月骨董店若旦那の事件簿~水晶盤の宵~
七瀬京
ミステリー
秋。若月骨董店に、骨董鑑定の仕事が舞い込んできた。持ち込まれた品を見て、骨董屋の息子である春宵(しゅんゆう)は驚愕する。
依頼人はその依頼の品を『鬼の剥製』だという。
依頼人は高浜祥子。そして持ち主は、高浜祥子の遠縁に当たるという橿原京香(かしはらみやこ)という女だった。
橿原家は、水産業を営みそれなりの財産もあるという家だった。しかし、水産業で繁盛していると言うだけではなく、橿原京香が嫁いできてから、ろくな事がおきた事が無いという事でも、有名な家だった。
そして、春宵は、『鬼の剥製』を一目見たときから、ある事実に気が付いていた。この『鬼の剥製』が、本物の人間を使っているという事実だった………。
秋を舞台にした『鬼の剥製』と一人の女の物語。

聖女の如く、永遠に囚われて
white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。
彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。
ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。
良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。
実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。
━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。
登場人物
遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。
遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。
島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。
工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。
伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。
島津守… 良子の父親。
島津佐奈…良子の母親。
島津孝之…良子の祖父。守の父親。
島津香菜…良子の祖母。守の母親。
進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。
桂恵… 整形外科医。伊藤一正の同級生。
遠山未歩…和人とゆきの母親。
遠山昇 …和人とゆきの父親。
山部智人…【未来教】の元経理担当。
秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。
デアシスタントス
huyuyu
ミステリー
「― これは生死を分ける戦いです。」
それは、様々なルールで叶望達を◯えていく、残酷で絶望の時だった…
叶望達は絶望の中、彼女は…。
※鬱表現と血の表現がややあります。
苦手な方はブラウザバックをオススメします。
またこの作品へのコメントで、ネタバレ発言は厳禁です。
総務の黒川さんは袖をまくらない
八木山
ミステリー
僕は、総務の黒川さんが好きだ。
話も合うし、お酒の趣味も合う。
彼女のことを、もっと知りたい。
・・・どうして、いつも長袖なんだ?
・僕(北野)
昏寧堂出版の中途社員。
経営企画室のサブリーダー。
30代、うかうかしていられないなと思っている
・黒川さん
昏寧堂出版の中途社員。
総務部のアイドル。
ギリギリ20代だが、思うところはある。
・水樹
昏寧堂出版のプロパー社員。
社内をちょこまか動き回っており、何をするのが仕事なのかわからない。
僕と同い年だが、女性社員の熱い視線を集めている。
・プロの人
その道のプロの人。
どこからともなく現れる有識者。
弊社のセキュリティはどうなってるんだ?
友よ、お前は何故死んだのか?
河内三比呂
ミステリー
「僕は、近いうちに死ぬかもしれない」
幼い頃からの悪友であり親友である久川洋壱(くがわよういち)から突如告げられた不穏な言葉に、私立探偵を営む進藤識(しんどうしき)は困惑し嫌な予感を覚えつつもつい流してしまう。
だが……しばらく経った頃、仕事終わりの識のもとへ連絡が入る。
それは洋壱の死の報せであった。
朝倉康平(あさくらこうへい)刑事から事情を訊かれた識はそこで洋壱の死が不可解である事、そして自分宛の手紙が発見された事を伝えられる。
悲しみの最中、朝倉から提案をされる。
──それは、捜査協力の要請。
ただの民間人である自分に何ができるのか?悩みながらも承諾した識は、朝倉とともに洋壱の死の真相を探る事になる。
──果たして、洋壱の死の真相とは一体……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる