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序章
脱出
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・・・やめだ、やめ。
本にヒントなんて、そんな安直なわけがない。
さっさとカードキーを使って外に出るべきだな。
シンプルに外に出られるかもしれないし。
よく考えれば、ここには水も食料もない。
どっちにしろ、長居はできない。
タナミチはカードキーをドアの脇の機械にかざす。
ドアが音もなく開き切ると同時に、嘆息する。
まず、そこは建物の外でも、青空の下でも、玄関でもなかった。
打って変わって真っ黒な壁の真四角の部屋。
当たり前のように、窓はない。
真ん中には白い丸テーブルがあり、二人の若い男女が椅子に腰かけている。
同じように白シャツを着た二人は、タナミチを見るなりぎょっとした様子で目を見開いた。
「こ、こんにちは」
黒い長髪の女性は、頬杖をついたままでこちらに挨拶してきた。
「こんにちは」と返すが、その表情は、警戒がにじみ出ている。
程度は異なれど、腕を組んでいる茶髪の男性も同じだった。
もしかしたら、いや、もしかしなくても同じ状況の人間なのでは。
あっさりとその答えは、彼女によって提示された。
「あなたが、私たちをここに閉じ込めた人?」
男が続いた。
「それとも、ナカガミを殺した殺人鬼かな」
酷く、乾いた声だった。
冗談にしてはタチが悪いが、冗談には聞こえない。
少なくともタナミチは、まだこの建物から脱出できていない。
それどころか、泣きっ面に蜂と言わんばかりに、さらなる謎がそこには突っ立っていたのだ。
本にヒントなんて、そんな安直なわけがない。
さっさとカードキーを使って外に出るべきだな。
シンプルに外に出られるかもしれないし。
よく考えれば、ここには水も食料もない。
どっちにしろ、長居はできない。
タナミチはカードキーをドアの脇の機械にかざす。
ドアが音もなく開き切ると同時に、嘆息する。
まず、そこは建物の外でも、青空の下でも、玄関でもなかった。
打って変わって真っ黒な壁の真四角の部屋。
当たり前のように、窓はない。
真ん中には白い丸テーブルがあり、二人の若い男女が椅子に腰かけている。
同じように白シャツを着た二人は、タナミチを見るなりぎょっとした様子で目を見開いた。
「こ、こんにちは」
黒い長髪の女性は、頬杖をついたままでこちらに挨拶してきた。
「こんにちは」と返すが、その表情は、警戒がにじみ出ている。
程度は異なれど、腕を組んでいる茶髪の男性も同じだった。
もしかしたら、いや、もしかしなくても同じ状況の人間なのでは。
あっさりとその答えは、彼女によって提示された。
「あなたが、私たちをここに閉じ込めた人?」
男が続いた。
「それとも、ナカガミを殺した殺人鬼かな」
酷く、乾いた声だった。
冗談にしてはタチが悪いが、冗談には聞こえない。
少なくともタナミチは、まだこの建物から脱出できていない。
それどころか、泣きっ面に蜂と言わんばかりに、さらなる謎がそこには突っ立っていたのだ。
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