それなりに怖い話。

りょうのななふしぎ

りょうのななふしぎ：04

　とある女子寮に七不思議がある。
　ただし、不思議の数は七つはない。

　これはその四番目の話だ。



　女子寮がある。
　大学の女子寮だ。
　その大学が運営しているわけではないが、昔からその大学の近くにあり、大学に通う者がその寮をかり、卒業したら自然と出ていく、そんな女子寮がある。

　古い建物なので色々な不思議な話もある。
　これもその話の一つだ。



　この寮の門はとても立派だ。
　元々この寮は大きなお屋敷の使用人たちが使っていたものを改修したものだ。
　その大きなお屋敷自体は、もうとうの昔になくなってしまったが、門とこの寮だけが今も残っている。

　まるでお寺か何かの門のような、そんな立派な門だ。
　この寮に住む者の中には、門が立派だから、と、それだけで決めてしまう者もいるくらいだ。

　でも、まあ、今回の話は、その門は関係がない。
　あるのは、門と寮との間にある庭だ。
　そこには、全長五メートルほどの池がある。

　浅くはあるが、たまに水鳥たちがやって来ることもあるような池だ。

　門から寮に行くには必ずその池の前を通らなくていけないのだが、夜遅くにその池の前を通ると、池の真ん中に、こけしの様な人影が立っていることがある。
　その人影がいるときは、必ず見て見ぬふりをして寮に入らなければならない。
　その人影を見て、驚いたり、声をあげたりしてしまうと、部屋までそのこけしの様な、顔の大きな人影が、自分の部屋までついてきてしまうそうだ。

　それでどうにかなった、という話は聞かないが、気味が悪いことだけは間違いない。
　もし、池の上に立っているそんな人影を見ても、見て見ぬふりをしなければならない。
　ただその人影について来られても、自室へ行く前に寮の食堂によれば、その人影は離れていくという。

　池の上に立つこけし、として、この話もこの寮だけで語り継がれる。