323 / 422
へびのたまご
へびのたまご
しおりを挟む
少年は公園で黒い卵を見つけた。
なんの卵かはわからない。
ただ黒い見た目で気持ち悪いから、少年の友人らは蛇の卵と、そう言ったのだ。
少年もなんとなくそう思った。
だが、それが蛇の卵ではない。
蛇の卵も別に黒いわけではないのだから。
大きさは、ちょうど鶉の卵のような、そんな大きさだ。
殻は黒くはあるのだが模様があり、それもやはり鶉の卵の様に思える。
言ってしまえば、黒くなった鶉の卵だ。
ただその卵には妙な生々しさがある。
なので、それが調理済みの卵である感じはしない。
殻が黒くなるような卵料理、ピータンや一部の温泉卵、そう言った物ではないように少年には思えていた。
まだこの卵は生きているのだと、少年にはそう思えた。
だから、少年はその黒い小さな卵を温めた。
一応、蛇でも孵ったら、それはそれで困るので、虫かごの中に綿を入れて、その虫かごを暖かい場所に置いてその卵が孵るのを少年は待っていた。
だが、綿の上に置いて置いたところで卵が孵るわけもない。
そもそもの話、その卵が本物の卵かどうか、生きた卵なのか、実は調理済みの卵なのか、それすらもわからない。
少年はまだ子供だ。
そんなこともわからない。
数日過ぎようと、数週間過ぎようと、卵には変化はない。
少年の親もその卵のことを知っていて、気にかけたり調べていたりしたが、その卵が何の卵か分からなかったし、それが孵ること事もなかった。
少年もその黒い卵のことを忘れてしまった頃だ。
ふと少年が綿の入った虫かごを見ると、卵が割れている。
割れた殻だけが残っている。
少年はやっと孵ったんだと、思い虫かごの中を探す。
しかし、虫かごの中には黒い殻の割れた卵と綿しかない。
黒い卵から産まれた何かは、虫かごの中にはいない。
卵の大きさ的に、虫かごから逃げ出せる隙間はないはずなのに、虫かごの中には何もいない。
だが、それからだ。
少年の家で、何もいないのに、誰もいないのに、何かが這いずる音が聞こえるようになったのは。
なんの卵かはわからない。
ただ黒い見た目で気持ち悪いから、少年の友人らは蛇の卵と、そう言ったのだ。
少年もなんとなくそう思った。
だが、それが蛇の卵ではない。
蛇の卵も別に黒いわけではないのだから。
大きさは、ちょうど鶉の卵のような、そんな大きさだ。
殻は黒くはあるのだが模様があり、それもやはり鶉の卵の様に思える。
言ってしまえば、黒くなった鶉の卵だ。
ただその卵には妙な生々しさがある。
なので、それが調理済みの卵である感じはしない。
殻が黒くなるような卵料理、ピータンや一部の温泉卵、そう言った物ではないように少年には思えていた。
まだこの卵は生きているのだと、少年にはそう思えた。
だから、少年はその黒い小さな卵を温めた。
一応、蛇でも孵ったら、それはそれで困るので、虫かごの中に綿を入れて、その虫かごを暖かい場所に置いてその卵が孵るのを少年は待っていた。
だが、綿の上に置いて置いたところで卵が孵るわけもない。
そもそもの話、その卵が本物の卵かどうか、生きた卵なのか、実は調理済みの卵なのか、それすらもわからない。
少年はまだ子供だ。
そんなこともわからない。
数日過ぎようと、数週間過ぎようと、卵には変化はない。
少年の親もその卵のことを知っていて、気にかけたり調べていたりしたが、その卵が何の卵か分からなかったし、それが孵ること事もなかった。
少年もその黒い卵のことを忘れてしまった頃だ。
ふと少年が綿の入った虫かごを見ると、卵が割れている。
割れた殻だけが残っている。
少年はやっと孵ったんだと、思い虫かごの中を探す。
しかし、虫かごの中には黒い殻の割れた卵と綿しかない。
黒い卵から産まれた何かは、虫かごの中にはいない。
卵の大きさ的に、虫かごから逃げ出せる隙間はないはずなのに、虫かごの中には何もいない。
だが、それからだ。
少年の家で、何もいないのに、誰もいないのに、何かが這いずる音が聞こえるようになったのは。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる