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まんほーる
まんほーる
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マンホールがある。
メンテナンスホールと今は言うらしい。
だが、男にとってはそれはマンホールだ。
急に名称が変わったところで、男にとってはそれはマンホールという印象が強い。
だが、メンテナンスホールと言うならば、それはメンテナンスホールなのだろう。
正直男にとって、それの名称はどうでもよかった。
そんなわけで道の真ん中に穴がある。
マンホールでも、メンテナンスホールでもよいがそれの蓋がない。
道の真ん中にそこそこ大きい、それこそ人が落ちれてしまうほどの穴が開いているのだ。
しかも今は夜だ。
これはかなり危険なことだ。
知らせなければならない、と男は思うがその連絡先がわからない。
どこに伝えれば良いのか、男にはわからない。
とりあえず警察に知らせよう、男はそう考え、その穴を見つつスマホを手に持つ。
そこで手を止める。
手があったからだ。
男のではない。メンテナンスホールの穴から手が伸びて来たのだ。
男は呆気に取られてその手を見る。
もう誰か穴に落ちてしまったのかと、そう男は考える。
駆け寄ろうとしたところで、男は気づく。
日本のメンテナンスホールはそれほど深い穴ではない。
せいぜい一メートルくらいのものがほとんどだ。
なら、あの手が穴から伸びるように出てくるのはおかしいのではないか、それに気づいたのだ。
だが、万が一ということもあるし、子供ならそうであってもおかしくはない。
男は考え直し、いったん声をかける、大丈夫ですか? 助け入りますか? と。
だが返事は返ってこない。
ただ穴から手が、まるで夜空に浮かぶ月を掴むように伸びているだけだ。
男は何かおかしいと思いメンテナンスホールに近づくのをやめる。
しばらく様子を見る。
そうすると、その手はどんどんまっすぐ上に伸びていく。
すでに人間の、大人くらいの背丈まで、手だけが伸びている。
流石に人間の手ではない。
男もそれに気づく。
あれは恐らく近づいてはいけない物だと。
男は十分に距離を取ったところで、警察に電話をしてメンテナンスホールの蓋がなく穴が開いていることだけを伝え、すぐにその場を去った。
一瞬、穴から伸びる手を写真に収めようかと思ったが、やめておいた。
きっと関わらない方がよい物だろうと思ったからだ。
だが、男は既に関わってしまった。その手に向かい、大丈夫ですか? 助け入りますか? と、声をかけてしまった。
答えは返ってこなかったが、その穴から伸びる手は助けを求めるように天に向かい伸びている。
その後、その男がどうなったのか?
今のところ普通に暮らしているそうだ。
ただ、稀に穴から手が伸びる夢を見るそうだ。
夢の中ではその伸びる手は天に伸びるのではなく男に向かい伸びて来るそうだ。
そして、夢を見るたびにその手はどんどん男に近づいてきているという。
その手に捕まったらどうなるのか。
それは今のところ誰にもわからない。
メンテナンスホールと今は言うらしい。
だが、男にとってはそれはマンホールだ。
急に名称が変わったところで、男にとってはそれはマンホールという印象が強い。
だが、メンテナンスホールと言うならば、それはメンテナンスホールなのだろう。
正直男にとって、それの名称はどうでもよかった。
そんなわけで道の真ん中に穴がある。
マンホールでも、メンテナンスホールでもよいがそれの蓋がない。
道の真ん中にそこそこ大きい、それこそ人が落ちれてしまうほどの穴が開いているのだ。
しかも今は夜だ。
これはかなり危険なことだ。
知らせなければならない、と男は思うがその連絡先がわからない。
どこに伝えれば良いのか、男にはわからない。
とりあえず警察に知らせよう、男はそう考え、その穴を見つつスマホを手に持つ。
そこで手を止める。
手があったからだ。
男のではない。メンテナンスホールの穴から手が伸びて来たのだ。
男は呆気に取られてその手を見る。
もう誰か穴に落ちてしまったのかと、そう男は考える。
駆け寄ろうとしたところで、男は気づく。
日本のメンテナンスホールはそれほど深い穴ではない。
せいぜい一メートルくらいのものがほとんどだ。
なら、あの手が穴から伸びるように出てくるのはおかしいのではないか、それに気づいたのだ。
だが、万が一ということもあるし、子供ならそうであってもおかしくはない。
男は考え直し、いったん声をかける、大丈夫ですか? 助け入りますか? と。
だが返事は返ってこない。
ただ穴から手が、まるで夜空に浮かぶ月を掴むように伸びているだけだ。
男は何かおかしいと思いメンテナンスホールに近づくのをやめる。
しばらく様子を見る。
そうすると、その手はどんどんまっすぐ上に伸びていく。
すでに人間の、大人くらいの背丈まで、手だけが伸びている。
流石に人間の手ではない。
男もそれに気づく。
あれは恐らく近づいてはいけない物だと。
男は十分に距離を取ったところで、警察に電話をしてメンテナンスホールの蓋がなく穴が開いていることだけを伝え、すぐにその場を去った。
一瞬、穴から伸びる手を写真に収めようかと思ったが、やめておいた。
きっと関わらない方がよい物だろうと思ったからだ。
だが、男は既に関わってしまった。その手に向かい、大丈夫ですか? 助け入りますか? と、声をかけてしまった。
答えは返ってこなかったが、その穴から伸びる手は助けを求めるように天に向かい伸びている。
その後、その男がどうなったのか?
今のところ普通に暮らしているそうだ。
ただ、稀に穴から手が伸びる夢を見るそうだ。
夢の中ではその伸びる手は天に伸びるのではなく男に向かい伸びて来るそうだ。
そして、夢を見るたびにその手はどんどん男に近づいてきているという。
その手に捕まったらどうなるのか。
それは今のところ誰にもわからない。
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▼【作品集】
▽【連載中】
学院の魔女の日常的非日常
ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
絶対少女議事録
少女と少女が出会い運命が動き出した結果、足を舐めるお話。
▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
五人の魔法少女の物語。
最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
竜狩り奇譚
八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
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ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
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▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
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最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
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八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
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https://youtube.com/@yuachanRio
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