252 / 309
たずねびと
たずねびと
しおりを挟む
深夜だ。
男の家のチャイムが鳴る。
男がインターフォンのカメラで確認すると、門の前に女性がいる。
髪の長い女性で俯いていて顔は見えない。
他に人はいない。
そんな様子がインターフォンのカメラに映し出されている。
男は何か不気味なものを感じつつもインターフォンで応対する。
何か御用でしょうか、男がそう聞くと、女は俯いたまま答える。
夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして、と、女ははっきりとした声でそう言った。
男は子供でもいなくなり、それを探しているのか、そう考えた。
なので男は、それは夜遅くに大変ですね、どんな方を探しているんですか? と聞き返す。
そうすると女は、〇〇さんの三男坊を、と答える。
○○は確かに男の苗字だ。
だが、男は一人っ子であり、兄弟も姉妹もいない。
なので、男は素直に答える、うちは確かに○○ですが三男坊は聞いたことがないです、と答える。
それを聞いた女は、そうですか、それはすみません、では、また来ます、と、確かにそう言って、インターフォンのカメラの前から消えた。
男は、また来ます、と言われて、少し不気味なものを感じた。
訪ねて来た女が余りにも不気味だったので印象に残り、家族にもそのことを知らせる。
そうすると男の父親からすぐに連絡が返ってくる。
それは〇〇の家に憑く化け物だから、絶対に家に入れてはいけない、と。
家に入れてしまったら命はない、と。
男は、父が冗談を言う様な人物ではないことを知っている。
どういうことかと男が父親に尋ねると詳しくは知らないが、曾祖父ぐらいの昔、当時の三男坊が一人の女と駆け落ちしたのだが、その三男坊だけすぐに家に逃げ帰って来て駆け落ちした女は実家に戻れずに身を投げたらしい、と話した。
それ以来、稀に深夜、〇〇家を夜に尋ねて来る女が現れるようになったそうだ。
その女を家に入れると、必ず家の者に死人が出るらしい、と。
男の父親も信じてはいなかったのだが、男が体験した話を聞いて思い出したのだという。
だから、絶対にその女を家にあげてはいけないと、男の父親はそう言った。
男はその話を聞いて怖くなる。
女はまた来ると言っていたのだ。
それから、数カ月後のことだ。
もう男もそんなことがあったこと忘れていたころだ。
また深夜にインターフォンがなる。
インターフォンのカメラを確認すると、あの女がやはり俯いて立っている。
男は出るかどうか迷う。
このまま居留守でいいのではないか、そう思う。
だが、門の前の女は何度も何度もチャイムを鳴らす。
もう十分以上も鳴らし続ける。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、と。
男がその音に耐えきれなくなって、インターフォン上で出てしまう。
女は男が何か言う前に、夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして〇〇さんの三男坊はいませんか? と、男にはインターフォン上で話しかけて来た。
男は震えながらも、もうその方はいません、とっくの昔に死んだそうです、と答える。
そうすると女は、そうなのですか、お墓はどこにありますか? と聞いてくる。
恐怖で少し錯乱していた男は正直に答える。
△△寺に、と。
そうすると、女は無言でうつむいたまま去って行った。
男はこれで良かったんだと、安堵の息を吐く。
だが、それからだ。
男の家、その家系で次々に相次いで不幸が起きたのは。
男は自分の家の墓に招き入れてしまったのだ。
そのことに、男は気づかない。
自分がその墓に入るまで。
男の家のチャイムが鳴る。
男がインターフォンのカメラで確認すると、門の前に女性がいる。
髪の長い女性で俯いていて顔は見えない。
他に人はいない。
そんな様子がインターフォンのカメラに映し出されている。
男は何か不気味なものを感じつつもインターフォンで応対する。
何か御用でしょうか、男がそう聞くと、女は俯いたまま答える。
夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして、と、女ははっきりとした声でそう言った。
男は子供でもいなくなり、それを探しているのか、そう考えた。
なので男は、それは夜遅くに大変ですね、どんな方を探しているんですか? と聞き返す。
そうすると女は、〇〇さんの三男坊を、と答える。
○○は確かに男の苗字だ。
だが、男は一人っ子であり、兄弟も姉妹もいない。
なので、男は素直に答える、うちは確かに○○ですが三男坊は聞いたことがないです、と答える。
それを聞いた女は、そうですか、それはすみません、では、また来ます、と、確かにそう言って、インターフォンのカメラの前から消えた。
男は、また来ます、と言われて、少し不気味なものを感じた。
訪ねて来た女が余りにも不気味だったので印象に残り、家族にもそのことを知らせる。
そうすると男の父親からすぐに連絡が返ってくる。
それは〇〇の家に憑く化け物だから、絶対に家に入れてはいけない、と。
家に入れてしまったら命はない、と。
男は、父が冗談を言う様な人物ではないことを知っている。
どういうことかと男が父親に尋ねると詳しくは知らないが、曾祖父ぐらいの昔、当時の三男坊が一人の女と駆け落ちしたのだが、その三男坊だけすぐに家に逃げ帰って来て駆け落ちした女は実家に戻れずに身を投げたらしい、と話した。
それ以来、稀に深夜、〇〇家を夜に尋ねて来る女が現れるようになったそうだ。
その女を家に入れると、必ず家の者に死人が出るらしい、と。
男の父親も信じてはいなかったのだが、男が体験した話を聞いて思い出したのだという。
だから、絶対にその女を家にあげてはいけないと、男の父親はそう言った。
男はその話を聞いて怖くなる。
女はまた来ると言っていたのだ。
それから、数カ月後のことだ。
もう男もそんなことがあったこと忘れていたころだ。
また深夜にインターフォンがなる。
インターフォンのカメラを確認すると、あの女がやはり俯いて立っている。
男は出るかどうか迷う。
このまま居留守でいいのではないか、そう思う。
だが、門の前の女は何度も何度もチャイムを鳴らす。
もう十分以上も鳴らし続ける。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、と。
男がその音に耐えきれなくなって、インターフォン上で出てしまう。
女は男が何か言う前に、夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして〇〇さんの三男坊はいませんか? と、男にはインターフォン上で話しかけて来た。
男は震えながらも、もうその方はいません、とっくの昔に死んだそうです、と答える。
そうすると女は、そうなのですか、お墓はどこにありますか? と聞いてくる。
恐怖で少し錯乱していた男は正直に答える。
△△寺に、と。
そうすると、女は無言でうつむいたまま去って行った。
男はこれで良かったんだと、安堵の息を吐く。
だが、それからだ。
男の家、その家系で次々に相次いで不幸が起きたのは。
男は自分の家の墓に招き入れてしまったのだ。
そのことに、男は気づかない。
自分がその墓に入るまで。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる