243 / 281
ねぐるしい
ねぐるしい
しおりを挟む
女は寝苦しい夜を過ごしていた。
とにかく蒸し暑い。
布団などかけてないのに蒸し暑くじめじめして寝苦しい。
扇風機をつけてはいるが、生暖かい風が当たるだけで全然涼しくはない。
夕方から夜にかけて二十五度以上なら熱帯夜。そう言う定義であるのであれば、今日は間違いなく熱帯夜だ。
そんな夜に、かわいそうなことにエアコンが故障し、この蒸し暑い中、女は寝なくてはならないのだ。
更に窓を開けているせいか、ブーンと蚊の羽ばたく音が聞こえる。
定期的に扇風機の首振り機能で風で飛ばされていくのだが、それでもしつこく血を吸いに蚊が来る。
それが蒸し暑さに加えて、女を更に寝苦しくしている。
布団をかぶれば暑くて寝られず、布団をかぶらなくても暑いのに蚊までくる。
女は叫びたくなるのを我慢して、顔だけを布団にかけた。
これで蚊の羽音だけは聞こえなくなる。
そう思ったからだ。
だが、どういうわけか、蚊の羽音は布団をかぶっているにもかかわらず間地かでブーンと聞こえてくる。
布団をかぶるときに蚊が紛れ込んだのかと、女は慌てて、布団を払いのける。
薄い布団をバタバタと払い、改めて顔にだけ布団をかぶる。
それでもしばらくすると、ブーンと蚊の羽音が聞こえてくる。
女も布団が薄すぎて、羽音が聞こえてくるだけだと改めてわかる。
なら布団をかぶる意味もない。
ただでさえ暑苦しいし、寝苦しいのだから。
女はごろごろと寝床の上を動き回る。
そうしていると、脚の方にひんやりとした空気を感じる。
扇風機の起こすなぜに乗って冷たい空気が流れてくる。
女はなんだか知らないけど、少しだけ涼しいと喜んだ。
また、扇風機の風に乗って冷たい空気が運ばれてくる。
女はなんだろう、とそう思ったが、涼しいのなら何でもいい、とあまり深くは考えなかった。
時がたつにつれ、冷たい風が運ばれてくる機会が増える。
そして、足音が、ヒタ、ヒタ、ヒタ、と聞こえてくる。
扇風機の羽が周る音に紛れて、確かに足音が聞こえる。
女も流石に誰かいると気づき、慌てて電気をつける。
だが、だれもいない。
電気を消してしばらくすると、またヒタヒタヒタと、部屋を歩き回る音がする。
女は薄目を開けて部屋を見る。
誰かの足が、足だけが暗闇の中に見える。
女は慌てて電気をつける。
女が部屋を確認すると誰もいない。
いたとしてもそれはそれで困る。
女が見たのは足だけで、足から上は見えなかったのだから。
もしかして、窓を開けていたせいで蚊だけでなく幽霊まで入り込まれた? と女はそう考えた。
そして、女は誰もいない部屋に向かって言ったのだ。
居てもいいから扇風機の前に立ってて、と。
そう言って女は電気を消して再び寝床に横になった。
扇風機から心地よい冷たい風が流れてくる。
ほどなくして女は意識は眠りに落ちていく。
そして、眠る直前に、エアコンが治るまで扇風機の前に居てくれないか、とそう思いながら眠りに落ちていった。
次の日の夜、扇風機から運ばれてくる風は、生暖かい風でしかなかった。
エアコンの修理までもうしばらく日数がかかる。
女の寝苦しい夜は続く。
とにかく蒸し暑い。
布団などかけてないのに蒸し暑くじめじめして寝苦しい。
扇風機をつけてはいるが、生暖かい風が当たるだけで全然涼しくはない。
夕方から夜にかけて二十五度以上なら熱帯夜。そう言う定義であるのであれば、今日は間違いなく熱帯夜だ。
そんな夜に、かわいそうなことにエアコンが故障し、この蒸し暑い中、女は寝なくてはならないのだ。
更に窓を開けているせいか、ブーンと蚊の羽ばたく音が聞こえる。
定期的に扇風機の首振り機能で風で飛ばされていくのだが、それでもしつこく血を吸いに蚊が来る。
それが蒸し暑さに加えて、女を更に寝苦しくしている。
布団をかぶれば暑くて寝られず、布団をかぶらなくても暑いのに蚊までくる。
女は叫びたくなるのを我慢して、顔だけを布団にかけた。
これで蚊の羽音だけは聞こえなくなる。
そう思ったからだ。
だが、どういうわけか、蚊の羽音は布団をかぶっているにもかかわらず間地かでブーンと聞こえてくる。
布団をかぶるときに蚊が紛れ込んだのかと、女は慌てて、布団を払いのける。
薄い布団をバタバタと払い、改めて顔にだけ布団をかぶる。
それでもしばらくすると、ブーンと蚊の羽音が聞こえてくる。
女も布団が薄すぎて、羽音が聞こえてくるだけだと改めてわかる。
なら布団をかぶる意味もない。
ただでさえ暑苦しいし、寝苦しいのだから。
女はごろごろと寝床の上を動き回る。
そうしていると、脚の方にひんやりとした空気を感じる。
扇風機の起こすなぜに乗って冷たい空気が流れてくる。
女はなんだか知らないけど、少しだけ涼しいと喜んだ。
また、扇風機の風に乗って冷たい空気が運ばれてくる。
女はなんだろう、とそう思ったが、涼しいのなら何でもいい、とあまり深くは考えなかった。
時がたつにつれ、冷たい風が運ばれてくる機会が増える。
そして、足音が、ヒタ、ヒタ、ヒタ、と聞こえてくる。
扇風機の羽が周る音に紛れて、確かに足音が聞こえる。
女も流石に誰かいると気づき、慌てて電気をつける。
だが、だれもいない。
電気を消してしばらくすると、またヒタヒタヒタと、部屋を歩き回る音がする。
女は薄目を開けて部屋を見る。
誰かの足が、足だけが暗闇の中に見える。
女は慌てて電気をつける。
女が部屋を確認すると誰もいない。
いたとしてもそれはそれで困る。
女が見たのは足だけで、足から上は見えなかったのだから。
もしかして、窓を開けていたせいで蚊だけでなく幽霊まで入り込まれた? と女はそう考えた。
そして、女は誰もいない部屋に向かって言ったのだ。
居てもいいから扇風機の前に立ってて、と。
そう言って女は電気を消して再び寝床に横になった。
扇風機から心地よい冷たい風が流れてくる。
ほどなくして女は意識は眠りに落ちていく。
そして、眠る直前に、エアコンが治るまで扇風機の前に居てくれないか、とそう思いながら眠りに落ちていった。
次の日の夜、扇風機から運ばれてくる風は、生暖かい風でしかなかった。
エアコンの修理までもうしばらく日数がかかる。
女の寝苦しい夜は続く。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。
「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」
「・・・?は、はい」
いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・
その夜。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる