それなりに怖い話。

只野誠

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びじねすほてる

びじねすほてる

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 男は仕事で出張して、出張先でビジネスホテルに泊まった。
 余り出張したことのない男は少し浮かれていた。
 しかも、まだできたばかりのホテルでかなり真新しいホテルだ。

 男は、ホテルのアメニティ一つ一つにワクワクし、浴槽に湯まではってホテルを存分に楽しんでいた。

 なんなら、年甲斐もなくホテル内を探検までした。
 とはいえ、発見できたのは自動販売機くらいだが。

 それでも男はワクワクしてた。
 風呂に入り、備え付けのガウンに袖を通す。
 ウェルカムウォーターの封を切り、ガブガブと飲み干す。

 だが、そこまでだ。
 そこでやることがなくなり、途端に男も素に戻る。
 やることがないでの結局、暇になり結局スマホをいじり始める。

 これでは家にいるときと何ら変わりない。
 男は明日も仕事なので、適当な時間で眠りにつく。

 電気を消して布団に潜り込んでしまうと、男が感じていたワクワク感は本当にどっかへ行ってしまっていた。
 そして、男はすぐに眠りにつく。

 深夜、ホテルの部屋のメニューのディスプレイだけがほんのりと明かりを放っている。
 その時刻が深夜の一時を表示したときだ。

 男はパチリと目を覚ます。
 急に男の意識が覚醒する。

 すると男の耳に聞こえてくる。
 グォォォ、グォォォと言うカエルの鳴くような声が。
 ここはホテルの十一階だ。
 カエルなどいるわけがない。
 だが、男のすぐ耳元で、グォォォ、グォォォとカエルのような鳴き声が聞こえてくるのだ。
 男はまさか室内にカエルが? と思い、この部屋のメニューディスプレイから部屋の電気をつける。

 とりあえずパッと見た目はカエルなどはいなく、鳴き声も聞こえなくなった。
 男は確認のために室内を隅々まで探して見るが、やはりカエルなどいない。

 男が諦めて再度寝ようとすると、コンコンコンと叩く音が聞こえる。
 窓からだ。

 男は顔を青ざめる。
 ここはホテルの十一階だ。
 しかも、開けられるような窓でもない。
 無論、ベランダどころか何かにつかまるような物すらない。

 男が恐る恐る、分厚いカーテンを開ける。
 綺麗な夜景が広がっている。
 街の明かりもほとんど落ちた夜景だ。

 それ以外何もないように見える。

 だが、もう一度コンコンコンと叩く音がする。

 男がそちらに目を向けると手があった。
 青白い手が窓をコンコンコンとノックしているのだ。
 男は人でもいるのかと、思ったがそもそもこの窓は開くようなタイプの窓ではない。

 男は慌てて、カーテンを閉め、フロントに電話をする。
 部屋に幽霊が居て、窓をノックされた、と。
 だが、このホテルはまだ新しいホテルで、フロント係も首を捻るばかりだ。

 男はその後ごねて、部屋だけは変えてもらった。



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