208 / 414
まつりばやし
まつりばやし
しおりを挟む
夜になると祭囃子が聞こえてくる。
少年は近くで祭りでもやっているのかと、そう思っていた。
少年は母方の田舎に来ていた。
言ってしまえば田舎らしい田舎だった。
そんな田舎で夜になると、それも夕方ではなく、人が寝静まるような時間、日が変わりしばらくたった頃の時間、そんな時間にどこからともなく祭囃子が聞こえてくる。
楽し気な調子で、太鼓が打たれ、笛が鳴る。
少年は次の日に、祖母に、お祭りやっているの? と聞くと、この時期はやってない、と返答が返ってきた。
なので、少年は昨日の夜、お祭りの音が聞こえたよ? と祖母に伝えると、祖母は不思議そうな顔をしただけだった。
そこで少年は今度は祖父にその話をする。
祖父は少し驚いた顔を見せる。
そして、祖父は少年に伝える。
きっとそれは、山のお祭りだよ、と。
それは何かと、少年が聞くと、近くの山には神様が住んでいて、その配下の者たちが、たまに祭りを開くのだと言う。
少年は祖父に、それはどんなお祭りなの? と聞くが、祖父は誰も知らないさ、と笑って答える。
祖父の話では、祭囃子が聞こえてくるが、その音の方向へ行っても何もない。
どんなに音のなる方へ行けど、その音の元へ、祭囃子の元へはたどり着けないのだという。
逆に、たどり着行けしまうと、そのまま山の神様に気に入られ連れていかれてしまう、そんな話だった。
それを聞いた少年は、自分も連れていかれるのはないかと、不安になる。
その夜も、少年の耳には祭囃子が聞こえてくる。
しかし、今日はそれだけではない。
少年は尿意を催してしまったのだ。
少年は限界まで我慢するが、ついに我慢できなくなり、トイレを目指す。
そして、トイレで用を足していると、祭囃子の音がすぐ近くから聞こえてくる。
トイレの窓、そのすぐ外から祭囃子が聞こえてくるのだ。
少年は、連れていかれる、と、そう思い目を瞑る。
硬く目を閉ざす。
少年が用を足しながらも、恐怖からトイレの中で目を閉じていると、トイレの窓がガラガラと開く音がする。
そして、おやまあ、と、抑揚のない声でそう言われた。
けれど、その声の主は、ここは加牟波理様の場所だから、そのようなことを言い、トイレの窓を再びガラガラと閉めて、その声の主の気配は消えていった。
酷い訛りで、少年には正確に、その言葉を聞き取れなかったけれども、加牟波理様の場所にいたから助かった、その事だけは理解できた。
そして、トイレこそがその場所だとそう確信していた。
少年はそのままトレイに朝まで篭る。
祭囃子が聞こえなくなった後も、少年はトイレに篭る。
翌朝、祖父にトイレで発見された少年は、すぐに昨夜のことを話す。
そうすると祖父は驚いた顔を見せる。
そして、少年に告げる。
作り話だったんじゃがな、と。
少年は近くで祭りでもやっているのかと、そう思っていた。
少年は母方の田舎に来ていた。
言ってしまえば田舎らしい田舎だった。
そんな田舎で夜になると、それも夕方ではなく、人が寝静まるような時間、日が変わりしばらくたった頃の時間、そんな時間にどこからともなく祭囃子が聞こえてくる。
楽し気な調子で、太鼓が打たれ、笛が鳴る。
少年は次の日に、祖母に、お祭りやっているの? と聞くと、この時期はやってない、と返答が返ってきた。
なので、少年は昨日の夜、お祭りの音が聞こえたよ? と祖母に伝えると、祖母は不思議そうな顔をしただけだった。
そこで少年は今度は祖父にその話をする。
祖父は少し驚いた顔を見せる。
そして、祖父は少年に伝える。
きっとそれは、山のお祭りだよ、と。
それは何かと、少年が聞くと、近くの山には神様が住んでいて、その配下の者たちが、たまに祭りを開くのだと言う。
少年は祖父に、それはどんなお祭りなの? と聞くが、祖父は誰も知らないさ、と笑って答える。
祖父の話では、祭囃子が聞こえてくるが、その音の方向へ行っても何もない。
どんなに音のなる方へ行けど、その音の元へ、祭囃子の元へはたどり着けないのだという。
逆に、たどり着行けしまうと、そのまま山の神様に気に入られ連れていかれてしまう、そんな話だった。
それを聞いた少年は、自分も連れていかれるのはないかと、不安になる。
その夜も、少年の耳には祭囃子が聞こえてくる。
しかし、今日はそれだけではない。
少年は尿意を催してしまったのだ。
少年は限界まで我慢するが、ついに我慢できなくなり、トイレを目指す。
そして、トイレで用を足していると、祭囃子の音がすぐ近くから聞こえてくる。
トイレの窓、そのすぐ外から祭囃子が聞こえてくるのだ。
少年は、連れていかれる、と、そう思い目を瞑る。
硬く目を閉ざす。
少年が用を足しながらも、恐怖からトイレの中で目を閉じていると、トイレの窓がガラガラと開く音がする。
そして、おやまあ、と、抑揚のない声でそう言われた。
けれど、その声の主は、ここは加牟波理様の場所だから、そのようなことを言い、トイレの窓を再びガラガラと閉めて、その声の主の気配は消えていった。
酷い訛りで、少年には正確に、その言葉を聞き取れなかったけれども、加牟波理様の場所にいたから助かった、その事だけは理解できた。
そして、トイレこそがその場所だとそう確信していた。
少年はそのままトレイに朝まで篭る。
祭囃子が聞こえなくなった後も、少年はトイレに篭る。
翌朝、祖父にトイレで発見された少年は、すぐに昨夜のことを話す。
そうすると祖父は驚いた顔を見せる。
そして、少年に告げる。
作り話だったんじゃがな、と。
0
▼【作品集】
▽【連載中】
学院の魔女の日常的非日常
ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
絶対少女議事録
少女と少女が出会い運命が動き出した結果、足を舐めるお話。
▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
五人の魔法少女の物語。
最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
竜狩り奇譚
八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
▽【連載中】
学院の魔女の日常的非日常
ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
絶対少女議事録
少女と少女が出会い運命が動き出した結果、足を舐めるお話。
▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
五人の魔法少女の物語。
最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
竜狩り奇譚
八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説



【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
熾ーおこりー
ようさん
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞参加予定作品(リライト)】
幕末一の剣客集団、新撰組。
疾風怒濤の時代、徳川幕府への忠誠を頑なに貫き時に鉄の掟の下同志の粛清も辞さない戦闘派治安組織として、倒幕派から庶民にまで恐れられた。
組織の転機となった初代局長・芹澤鴨暗殺事件を、原田左之助の視点で描く。
志と名誉のためなら死をも厭わず、やがて新政府軍との絶望的な戦争に飲み込まれていった彼らを蝕む闇とはーー
※史実をヒントにしたフィクション(心理ホラー)です
【登場人物】(ネタバレを含みます)
原田左之助(二三歳) 伊代松山藩出身で槍の名手。新撰組隊士(試衛館派)
芹澤鴨(三七歳) 新撰組筆頭局長。文武両道の北辰一刀流師範。刀を抜くまでもない戦闘の際には鉄製の軍扇を武器とする。水戸派のリーダー。
沖田総司(二一歳) 江戸出身。新撰組隊士の中では最年少だが剣の腕前は五本の指に入る(試衛館派)
山南敬助(二七歳) 仙台藩出身。土方と共に新撰組副長を務める。温厚な調整役(試衛館派)
土方歳三(二八歳)武州出身。新撰組副長。冷静沈着で自分にも他人にも厳しい。試衛館の弟子筆頭で一本気な男だが、策士の一面も(試衛館派)
近藤勇(二九歳) 新撰組局長。土方とは同郷。江戸に上り天然理心流の名門道場・試衛館を継ぐ。
井上源三郎(三四歳) 新撰組では一番年長の隊士。近藤とは先代の兄弟弟子にあたり、唯一の相談役でもある。
新見錦 芹沢の腹心。頭脳派で水戸派のブレインでもある
平山五郎 芹澤の腹心。直情的な男(水戸派)
平間(水戸派)
野口(水戸派)
(画像・速水御舟「炎舞」部分)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる