200 / 403
あいす
あいす
しおりを挟む
女は買いだめておいたアイスを一つ冷凍庫から出す。
カチカチに固まった少しお高いアイスだ。
蓋を開けて、金属のスプーンをアイスに突き刺す。
まだ冷たく硬いアイスはスプーンを拒む。
熱帯夜、風呂上り、エアコンの効いた部屋で食べる少しお高いアイスほど美味しい物はない。
アイスが柔らかくなるのを待ちつつ、女は髪を乾かす。
髪を乾かし終わることには、アイスは溶けてしまうかもしれない。
冷凍庫から出すのに早すぎたと、女は考えつつ、髪を半乾きのままアイスにスプーンを突き立てる。
少し柔らかくなったアイスにスプーンは簡単に突き刺さる。
アイスをすくい口へ運ぶ。
甘く冷たい、そして、濃厚な味わいが口いっぱいに広がる。
ちょっとした至福な時に女はほほ笑む。
再び女は髪の毛を乾かし始める。
口の中のアイスがなくなり侘しくなり、アイスを手に取る。
一口だけアイスをすくったはずなのに、アイスの三分の一ほどなくなっていた。
女は首をかしげる。
気づかないうちにそんなに食べてしまったのか、と、女は思う。
が、すぐにそんなことはないと、思いなおす。
女は不審に思い、アイスを食べるのやめる。
食べた思いもないのに、減っているアイスなど、もう食べる気は起きない。
そして、乾かし途中だった髪の毛を乾かす。
ふと、アイスに目をやるとアイスはもう半分ほど減っている。
確かに減っている。
女は驚く。
今度は間違いない。
確かの減っている。
何者かが居て、自分の目を盗んで、アイスを食べているのだと、女は確信する。
女はすぐに部屋から出る。
エアコンの効いた居心地の良い部屋から出る。
後ずさりして、周囲を警戒して、部屋を出る。
そして、女はとりあえずトイレへ逃げ込み鍵をかけ考える。
アイスを食べられたからと、警察に電話して相手にされるかと。
相手にされる気はしない。
だが、部屋に誰かいることは確かだ。
とっさのことでスマホすら部屋に置きっぱなしだ。
スマホがなければ警察に連絡することすらできない。
女は勇気を出して、トイレのドアを音もなく慎重に開ける。
辺りの様子をうかがうが物音一つない。
スマホは部屋だ。
エアコンの効いている部屋だ。
アイスを食べられた部屋だ。
女は部屋のドアをあけ、部屋の中の様子を見る。
特におかしいところも変わったところもない。
誰の気配もない。
そして、誰もいない。
誰かが隠れるような場所もそもそもない。
静まり返った誰もいない部屋があるだけだ。
女はとりあえず部屋にスマホを取りに入る。
その時気づく。
アイスは既に空になっており、アイスのカップその下に紙が置かれていることを。
その紙には、ごちそうさまでした、と、子供の字で書かれていた。
女は何となく納得はしたが、怖いものは怖いので、とりあえず自分の部屋から出て、友達へと電話した。
幽霊が出たから今日泊めてと。
カチカチに固まった少しお高いアイスだ。
蓋を開けて、金属のスプーンをアイスに突き刺す。
まだ冷たく硬いアイスはスプーンを拒む。
熱帯夜、風呂上り、エアコンの効いた部屋で食べる少しお高いアイスほど美味しい物はない。
アイスが柔らかくなるのを待ちつつ、女は髪を乾かす。
髪を乾かし終わることには、アイスは溶けてしまうかもしれない。
冷凍庫から出すのに早すぎたと、女は考えつつ、髪を半乾きのままアイスにスプーンを突き立てる。
少し柔らかくなったアイスにスプーンは簡単に突き刺さる。
アイスをすくい口へ運ぶ。
甘く冷たい、そして、濃厚な味わいが口いっぱいに広がる。
ちょっとした至福な時に女はほほ笑む。
再び女は髪の毛を乾かし始める。
口の中のアイスがなくなり侘しくなり、アイスを手に取る。
一口だけアイスをすくったはずなのに、アイスの三分の一ほどなくなっていた。
女は首をかしげる。
気づかないうちにそんなに食べてしまったのか、と、女は思う。
が、すぐにそんなことはないと、思いなおす。
女は不審に思い、アイスを食べるのやめる。
食べた思いもないのに、減っているアイスなど、もう食べる気は起きない。
そして、乾かし途中だった髪の毛を乾かす。
ふと、アイスに目をやるとアイスはもう半分ほど減っている。
確かに減っている。
女は驚く。
今度は間違いない。
確かの減っている。
何者かが居て、自分の目を盗んで、アイスを食べているのだと、女は確信する。
女はすぐに部屋から出る。
エアコンの効いた居心地の良い部屋から出る。
後ずさりして、周囲を警戒して、部屋を出る。
そして、女はとりあえずトイレへ逃げ込み鍵をかけ考える。
アイスを食べられたからと、警察に電話して相手にされるかと。
相手にされる気はしない。
だが、部屋に誰かいることは確かだ。
とっさのことでスマホすら部屋に置きっぱなしだ。
スマホがなければ警察に連絡することすらできない。
女は勇気を出して、トイレのドアを音もなく慎重に開ける。
辺りの様子をうかがうが物音一つない。
スマホは部屋だ。
エアコンの効いている部屋だ。
アイスを食べられた部屋だ。
女は部屋のドアをあけ、部屋の中の様子を見る。
特におかしいところも変わったところもない。
誰の気配もない。
そして、誰もいない。
誰かが隠れるような場所もそもそもない。
静まり返った誰もいない部屋があるだけだ。
女はとりあえず部屋にスマホを取りに入る。
その時気づく。
アイスは既に空になっており、アイスのカップその下に紙が置かれていることを。
その紙には、ごちそうさまでした、と、子供の字で書かれていた。
女は何となく納得はしたが、怖いものは怖いので、とりあえず自分の部屋から出て、友達へと電話した。
幽霊が出たから今日泊めてと。
0
▼【作品集】
▽【連載中】
学院の魔女の日常的非日常
ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
絶対少女議事録
少女と少女が出会い運命が動き出した結果、足を舐めるお話。
▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
五人の魔法少女の物語。
最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
竜狩り奇譚
八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
▽【連載中】
学院の魔女の日常的非日常
ミアという少女を中心に物語は徐々に進んでいくお話。
※最初のほうは読み難いかもしれません。
それなりに怖い話。
さっくり読める。
絶対少女議事録
少女と少女が出会い運命が動き出した結果、足を舐めるお話。
▽【完結済み】
一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます
十一万字程度、三十三話
五人の魔法少女の物語。
最初から最後までコメディ。
四十二歳の冴えない男が、恋をして、愛を知る。
八万字程度、四十一話
田沼という男が恋を知り、そしてやがて愛を知る。
竜狩り奇譚
八万字程度、十六話
見どころは、最後の竜戦。
幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた
タイトルの通り。
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説



【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる