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きじばと
きじばと
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朝、特に春から夏にかけての朝早くから、デーデー、ポッポーと特徴的な鳴く鳥、キジバト。
その声が珍しくまだ日が上がらないうちから聞こえて来た。
男がその声を聴いて目を覚まし、時計を見るとまだ四時だ。
辺りもまだ薄暗い。
こんな時間から鳴きだす鳥に、男は少しながらも怒りを感じて、布団を頭からかぶった。
部屋の窓、そのすぐ外で鳴いているようで、とてもうるさい。
流石にこんな時間に起こされたら男もイライラを隠せないでいる。
一度イライラしだすと、まるで寝付けない。
窓のすぐ外で鳴いているならば、追っ払えるのではないかと、男は起こされた怒りに身を任せて窓を開ける。
まだ薄暗い。
だが、爽やかな早朝のはずなのに、男が思ったことは妙に生臭い嫌な臭いが漂ってきていることだ。
カラスか何かが生ごみでも漁り散らかしたのではないか、そんな気さえする。
朝早く起こされただけでなく、そんな臭いまで嗅がされて、男はさらに怒りをあらわにさせる。
男は鳴き声のほうに目をやる。
そこにいたのはキジバトではなかった。
いや、鳥ですらなかった。
人の顔だ。
人の顔、それも耳が異様に肥大化した人の顔だ。
それが、無表情な顔でデーデー、ポッポーと、鳴いている。
その人の顔の口から鳴き声は聞こえてくるのだが、顔の口全く動いていない。
人の顔が口を開け、その中から、キジバトの鳴き声のような、デーデー、ポッポー、と言う鳴き声が聞こえてくるのだ。
男は唖然として、その顔を見つめてしまう。
その顔は男の視線に気づき、男の方を見る。
鳥の足に当たるところには手が生えており、それで木の枝につかまっているようだった。
その顔は男と視線のようなものがあうと、無表情をやめ、ニヤリを笑みを浮かべる。
その笑みに、男はゾワゾワとしたものを感じすぐに窓を閉める。
雨戸ではなく、ガラスの窓を閉めてしまったことを男はすぐに後悔する。
その顔は、肥大化した耳を羽ばたかせて、男に向かい飛んできたのだ。
顔は窓ガラスに体当たりをしてくる。割る勢いで何度も何度も。
その顔の目は黒く目玉はなく、大きく開けられた口には歯がちゃんとあり、中は血のように真っ赤だった。
ただ力はないようで、その顔は窓ガラスを割ることはできないようだった。
窓ガラスが割れないとそれが知れると、その顔は男を憎々し気に何もない空洞の目で見つめた。
男が何もできずに呆然としていると、朝日が差し込み始める。
その顔は朝日を嫌がるように、肥大化した耳をはばたかせて空へと飛び立っていった。
その後も、男はただただ呆然と窓から朝日を見ていた。
その声が珍しくまだ日が上がらないうちから聞こえて来た。
男がその声を聴いて目を覚まし、時計を見るとまだ四時だ。
辺りもまだ薄暗い。
こんな時間から鳴きだす鳥に、男は少しながらも怒りを感じて、布団を頭からかぶった。
部屋の窓、そのすぐ外で鳴いているようで、とてもうるさい。
流石にこんな時間に起こされたら男もイライラを隠せないでいる。
一度イライラしだすと、まるで寝付けない。
窓のすぐ外で鳴いているならば、追っ払えるのではないかと、男は起こされた怒りに身を任せて窓を開ける。
まだ薄暗い。
だが、爽やかな早朝のはずなのに、男が思ったことは妙に生臭い嫌な臭いが漂ってきていることだ。
カラスか何かが生ごみでも漁り散らかしたのではないか、そんな気さえする。
朝早く起こされただけでなく、そんな臭いまで嗅がされて、男はさらに怒りをあらわにさせる。
男は鳴き声のほうに目をやる。
そこにいたのはキジバトではなかった。
いや、鳥ですらなかった。
人の顔だ。
人の顔、それも耳が異様に肥大化した人の顔だ。
それが、無表情な顔でデーデー、ポッポーと、鳴いている。
その人の顔の口から鳴き声は聞こえてくるのだが、顔の口全く動いていない。
人の顔が口を開け、その中から、キジバトの鳴き声のような、デーデー、ポッポー、と言う鳴き声が聞こえてくるのだ。
男は唖然として、その顔を見つめてしまう。
その顔は男の視線に気づき、男の方を見る。
鳥の足に当たるところには手が生えており、それで木の枝につかまっているようだった。
その顔は男と視線のようなものがあうと、無表情をやめ、ニヤリを笑みを浮かべる。
その笑みに、男はゾワゾワとしたものを感じすぐに窓を閉める。
雨戸ではなく、ガラスの窓を閉めてしまったことを男はすぐに後悔する。
その顔は、肥大化した耳を羽ばたかせて、男に向かい飛んできたのだ。
顔は窓ガラスに体当たりをしてくる。割る勢いで何度も何度も。
その顔の目は黒く目玉はなく、大きく開けられた口には歯がちゃんとあり、中は血のように真っ赤だった。
ただ力はないようで、その顔は窓ガラスを割ることはできないようだった。
窓ガラスが割れないとそれが知れると、その顔は男を憎々し気に何もない空洞の目で見つめた。
男が何もできずに呆然としていると、朝日が差し込み始める。
その顔は朝日を嫌がるように、肥大化した耳をはばたかせて空へと飛び立っていった。
その後も、男はただただ呆然と窓から朝日を見ていた。
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