130 / 309
はらがすいた
はらがすいた
しおりを挟む
男が寝ていると、不意に男とも女とも取れない異様な声で、腹がすいた、と聞こえてきた。
男が驚いて目を開けると、そこは真っ暗闇だ。
特に何かがいるわけでも気配があるわけでもない。
一応、電気をつけて周りを確認して見たが何かいるわけでもない。
寝ぼけて夢でも見て居たのかと男は考える。
男は電気を消して、再び床に就く。
しばらくすると、またどこからともなく、腹がすいた、と聞こえてくる。
今度は男も目が覚めている。
気のせいや、寝ぼけているわけではない。
男は飛び起きて急いで電気をつけるが、やはり部屋の中には男しかいない。
男は首をかしげる。
男は今度はしばらく電気をつけたまま、布団の上で横になった。
またしばらくしてからだ。
腹がすいた、と聞こえてくる。
たしかにこの部屋の中からだ。
隣の部屋ではない。
たしかにこの部屋から聞こえてくるのだ。
そして、男の腹が鳴る。
グゥゥゥゥゥゥと腹の虫が鳴る。
男は、お前がしゃべったのか? などと、自分の腹を見ながらおどけて見せるが、声の主はわからずじまいだ。
明日も仕事があるのに、と男は考えながらも、仕方がなく即席麺を作り始める。
水を鍋に入れて火にかける、即席麺の袋を開けて、湯が沸くのを待つ。
ふと、切っておいたネギでもなかったかと、男が冷蔵庫を見ている間のことだ。
バリボリバリ、と大きな音がする。
男が驚いて音のほうに目をやると、大きな口で齧られた後のあるまだ茹でられていない麺が、袋の上に置かれていた。
男は慌て始める。
やはり何かがいる。
その何かは腹が減っていて、茹でてない麺にでもかじりつくような奴だということだ。
男が驚いていると、再びどこからともなく、腹がすいた、と聞こえてくる。
男は慌てて、何か食べものを探す。
食パンがあった。
それを袋から出して、テーブルの上に置き、少し離れる。離れようとした時に食パンから目を離した。
男が再び食パンを見た時、食パンにもかじりついたような跡が残り、半分ほどなくなっていた。
食パンについた歯形はとても大きく人間の物には思えなかった。
再び、腹がすいた、と、どこからともなく聞こえてくる。
男は次は自分が噛みつかれるのではないかと、重い慌てて食べものを探す。
冷蔵庫から、残り物をすべて出し、それをテーブルの上に置く。
そして、男はテーブルから、いや、台所から逃げ出す。
男が逃げ出した後の台所から、汚く飲み食いする音が聞こえてくる。
音が静かになった後、男がこっそりと台所を覗くと、テーブルに置いておいたものが、ほとんどなくなっていた。
まだ茹でてない即席麺もなくなっていた。
台所に残っているのは、まだ火にかけたままの鍋の中のお湯くらいだった。
ただそれだけの話だ。
男が驚いて目を開けると、そこは真っ暗闇だ。
特に何かがいるわけでも気配があるわけでもない。
一応、電気をつけて周りを確認して見たが何かいるわけでもない。
寝ぼけて夢でも見て居たのかと男は考える。
男は電気を消して、再び床に就く。
しばらくすると、またどこからともなく、腹がすいた、と聞こえてくる。
今度は男も目が覚めている。
気のせいや、寝ぼけているわけではない。
男は飛び起きて急いで電気をつけるが、やはり部屋の中には男しかいない。
男は首をかしげる。
男は今度はしばらく電気をつけたまま、布団の上で横になった。
またしばらくしてからだ。
腹がすいた、と聞こえてくる。
たしかにこの部屋の中からだ。
隣の部屋ではない。
たしかにこの部屋から聞こえてくるのだ。
そして、男の腹が鳴る。
グゥゥゥゥゥゥと腹の虫が鳴る。
男は、お前がしゃべったのか? などと、自分の腹を見ながらおどけて見せるが、声の主はわからずじまいだ。
明日も仕事があるのに、と男は考えながらも、仕方がなく即席麺を作り始める。
水を鍋に入れて火にかける、即席麺の袋を開けて、湯が沸くのを待つ。
ふと、切っておいたネギでもなかったかと、男が冷蔵庫を見ている間のことだ。
バリボリバリ、と大きな音がする。
男が驚いて音のほうに目をやると、大きな口で齧られた後のあるまだ茹でられていない麺が、袋の上に置かれていた。
男は慌て始める。
やはり何かがいる。
その何かは腹が減っていて、茹でてない麺にでもかじりつくような奴だということだ。
男が驚いていると、再びどこからともなく、腹がすいた、と聞こえてくる。
男は慌てて、何か食べものを探す。
食パンがあった。
それを袋から出して、テーブルの上に置き、少し離れる。離れようとした時に食パンから目を離した。
男が再び食パンを見た時、食パンにもかじりついたような跡が残り、半分ほどなくなっていた。
食パンについた歯形はとても大きく人間の物には思えなかった。
再び、腹がすいた、と、どこからともなく聞こえてくる。
男は次は自分が噛みつかれるのではないかと、重い慌てて食べものを探す。
冷蔵庫から、残り物をすべて出し、それをテーブルの上に置く。
そして、男はテーブルから、いや、台所から逃げ出す。
男が逃げ出した後の台所から、汚く飲み食いする音が聞こえてくる。
音が静かになった後、男がこっそりと台所を覗くと、テーブルに置いておいたものが、ほとんどなくなっていた。
まだ茹でてない即席麺もなくなっていた。
台所に残っているのは、まだ火にかけたままの鍋の中のお湯くらいだった。
ただそれだけの話だ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる