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ななふしぎ
ななふしぎ:03
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この中学に赴任してきたばかりの教師は聞かされた。
この中学には七不思議が存在していると。
音楽室には幸恵さんという幽霊がいるそうだ。
ただ不思議なことにその幽霊がどんな幽霊かわからないそうだ。
音楽室に居るのにピアノを弾くかどうか、それすらもわからないらしい。
少女は校内の、クラス別の合唱コンクールの伴奏役に選ばれた。
大したコンクールではないが、やるならばいいものを残したい。
彼女はそう考えていた。
だから、放課後、音楽の先生に許可をもらいピアノの練習をした。
彼女の家には電子オルガンしかない。
本番も電子ではない、本物のピアノが使用される。
だから、彼女はピアノで練習したかった。
ただ校内の合唱コンクールだ。
同じことを考える者は多い。
結果、音楽室のピアノは取り合いになる。
空いていれば自由に練習し続けることができるが、他に人がいるならば時間で交代してピアノを使うという決まりになっていた。
その日のピアノはやはり混んでいた。
やっと少女の番が回り、練習し、時間を使い切る。
また順番を待たなければならない。
次に少女の番が再び回ってくるまでに一時間はかかる。
少女は次の番もピアノを使うことをホワイトボードに書き込み、トイレへ行く。
少女がトイレから帰ってくるとピアノの音がしない。
なんでだろうと、少女が思いつつ、なぜかドアが開けっ放しの音楽室を覗く。
音楽室には誰もいない。
ただ荷物などはそのままだ。
ピアノも空いている。
なにかあったのだろうか、と少女は思いつつもピアノが空いているなら少しでも練習しようとピアノの椅子に腰かける。
そして、ピアノを弾き始める。
遅れながら、ここで音楽室の幸恵さんの噂の話をする。
彼女は白黒写真のように白黒なんだそうだ。
さらに彼女は、やはり写真のように平べったい。
平面だというのだ。
白黒の平面な幽霊。それが音楽室の幸恵さんという存在だ。
それ以外のことは何も変わっていない。
それもただの生徒の間で飛び交う噂の一つでしかない。
少女がピアノの練習をしていると、ふと視線に気づく。
少女が鍵盤から視線を外すと、白黒でおかっぱの不気味な女が少女を見ていた。
着ている服も古めかしい。
まるで戦前の白黒写真から飛び出して来た、そんな女だ。
ただ少女にも一目で人間ではないと分かった。
白黒写真のようなのだから。
その白黒の女、幸恵さんは張り付いた笑顔で少女を見ていた。
そして、少女は理解する。
ああ、これが居たから音楽室は誰もいなかったのだと。
少女も逃げ出そうとして、白黒の不気味な女を見ながら逃げる。
すると異様なことに気づく。
その白黒の女は厚みがない。
正面から見ている限り、異様ではあるが白黒の女というだけだったのだが、見る方向が少し変わっただけでその白黒の女が紙のように平面であることがすぐに分かった。
それを理解した瞬間、少女の意識は途絶える。
数分後、先生をと野次馬を連れ大勢の生徒が音楽室にやってくる。
そこには口から泡を吹いて倒れ込んでいる少女の姿があった。
本当に少女が幸恵さんと会ったかどうか、それはわからない。
ただ、大勢の生徒が幸恵さんを目撃し、逃げ出し、戻ってくると少女が倒れていたことだけは真実だ。
それ以来、少女は不登校となり、そのうち彼女の家族ごと引っ越していったので少女がどうなったか知る者はいない。
この中学には七不思議が存在していると。
音楽室には幸恵さんという幽霊がいるそうだ。
ただ不思議なことにその幽霊がどんな幽霊かわからないそうだ。
音楽室に居るのにピアノを弾くかどうか、それすらもわからないらしい。
少女は校内の、クラス別の合唱コンクールの伴奏役に選ばれた。
大したコンクールではないが、やるならばいいものを残したい。
彼女はそう考えていた。
だから、放課後、音楽の先生に許可をもらいピアノの練習をした。
彼女の家には電子オルガンしかない。
本番も電子ではない、本物のピアノが使用される。
だから、彼女はピアノで練習したかった。
ただ校内の合唱コンクールだ。
同じことを考える者は多い。
結果、音楽室のピアノは取り合いになる。
空いていれば自由に練習し続けることができるが、他に人がいるならば時間で交代してピアノを使うという決まりになっていた。
その日のピアノはやはり混んでいた。
やっと少女の番が回り、練習し、時間を使い切る。
また順番を待たなければならない。
次に少女の番が再び回ってくるまでに一時間はかかる。
少女は次の番もピアノを使うことをホワイトボードに書き込み、トイレへ行く。
少女がトイレから帰ってくるとピアノの音がしない。
なんでだろうと、少女が思いつつ、なぜかドアが開けっ放しの音楽室を覗く。
音楽室には誰もいない。
ただ荷物などはそのままだ。
ピアノも空いている。
なにかあったのだろうか、と少女は思いつつもピアノが空いているなら少しでも練習しようとピアノの椅子に腰かける。
そして、ピアノを弾き始める。
遅れながら、ここで音楽室の幸恵さんの噂の話をする。
彼女は白黒写真のように白黒なんだそうだ。
さらに彼女は、やはり写真のように平べったい。
平面だというのだ。
白黒の平面な幽霊。それが音楽室の幸恵さんという存在だ。
それ以外のことは何も変わっていない。
それもただの生徒の間で飛び交う噂の一つでしかない。
少女がピアノの練習をしていると、ふと視線に気づく。
少女が鍵盤から視線を外すと、白黒でおかっぱの不気味な女が少女を見ていた。
着ている服も古めかしい。
まるで戦前の白黒写真から飛び出して来た、そんな女だ。
ただ少女にも一目で人間ではないと分かった。
白黒写真のようなのだから。
その白黒の女、幸恵さんは張り付いた笑顔で少女を見ていた。
そして、少女は理解する。
ああ、これが居たから音楽室は誰もいなかったのだと。
少女も逃げ出そうとして、白黒の不気味な女を見ながら逃げる。
すると異様なことに気づく。
その白黒の女は厚みがない。
正面から見ている限り、異様ではあるが白黒の女というだけだったのだが、見る方向が少し変わっただけでその白黒の女が紙のように平面であることがすぐに分かった。
それを理解した瞬間、少女の意識は途絶える。
数分後、先生をと野次馬を連れ大勢の生徒が音楽室にやってくる。
そこには口から泡を吹いて倒れ込んでいる少女の姿があった。
本当に少女が幸恵さんと会ったかどうか、それはわからない。
ただ、大勢の生徒が幸恵さんを目撃し、逃げ出し、戻ってくると少女が倒れていたことだけは真実だ。
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