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かいだんのあしおと
かいだんのあしおと
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女が仕事から帰ってくるとマンションのエレベーターに「故障中」の張り紙が張られていた。
女の住んでいる部屋は七階だ。
それを今から階段で登らなくてはならないだけでため息が出る。
女は階段を登る。
少し薄暗い、共用の廊下部分には電灯はついてはいるが階段部分にはついていないので、階段部分は少し薄暗いのだ。
そんな階段を登る。
二階まで行くと、後ろからもう一人、足音が聞こえてくる。
カツカツカツ、と。
音の感じからして恐らくはハイヒールを履いた者だろうか。
自分の足音と合わさるように階段の下から足音がする。
三階にたどり着いて女は一休みする。
ふと女が後を振り返るが人影はない。
足音ももう聞こえない。
足音の主は二階だったのだろう、と女は考えた。
そして、再び階段を登る。薄暗い階段を登る。
そうすると自分の足音に合わせる様に、また階段の下の方から足音が聞こえだした。
女が足を止めると、足音も止まる。
自分の足音が反響しているだけか、と女は思いなおす。
階段など普段使わないので気づきもしなかったと。
そうして四階と通り五階へとつく。
そこで気づく。
足音がまだ聞こえる。
やはり誰かがいるようだ。
しばらく五階で待ってみたが、足音は止まないのに誰も現れない。
ただ、ずっとカツン、カツン、カツン、と鳴り響く足音だけが聞こえてくる。
女は立ち止まっているので、自分の足音が反響しているだけではないのは確かだ。
不気味に思えて来た女は待つのを止めて、再び階段を登り始める。
そうすると後ろの足音が、急にカカカカカカッと走りだした。
女はそれに驚き、女も急いで階段を七階まで一気に登り切り自分の部屋へと駆けこんだ。
そして、ドアを閉め鍵をかける。
その直後、カカカカカカカカッと足音が聞こえ、女の部屋の前で足音が止まる。
女が恐怖でドキドキしていると、今度はゆっくりなテンポでカツン、カツン、カツンと足音がしていった。
女は一安心し、廊下に面している台所のモザイクガラスの窓を見る。
もしかしたら自分を付けて来ていた犯人が見れると思ったからだ。
そして、女は後悔する。
見るんじゃなかったと。
それは黒く大きな影だった。
廊下の天井にまで背が届きそうなほどで身を屈めた影だった。
影なのに、モザイクガラス越しなのに、その大きく開いた口が、口と認識できるほど裂けるように開かれたのがはっきりとわかってしまったからだ。
自分をつけていたのは人間ではない。
それしかわからなったが、女にとってはそれで充分だった。
そして、それが何事もなく去って行ってくれたことに女は感謝した。
女の住んでいる部屋は七階だ。
それを今から階段で登らなくてはならないだけでため息が出る。
女は階段を登る。
少し薄暗い、共用の廊下部分には電灯はついてはいるが階段部分にはついていないので、階段部分は少し薄暗いのだ。
そんな階段を登る。
二階まで行くと、後ろからもう一人、足音が聞こえてくる。
カツカツカツ、と。
音の感じからして恐らくはハイヒールを履いた者だろうか。
自分の足音と合わさるように階段の下から足音がする。
三階にたどり着いて女は一休みする。
ふと女が後を振り返るが人影はない。
足音ももう聞こえない。
足音の主は二階だったのだろう、と女は考えた。
そして、再び階段を登る。薄暗い階段を登る。
そうすると自分の足音に合わせる様に、また階段の下の方から足音が聞こえだした。
女が足を止めると、足音も止まる。
自分の足音が反響しているだけか、と女は思いなおす。
階段など普段使わないので気づきもしなかったと。
そうして四階と通り五階へとつく。
そこで気づく。
足音がまだ聞こえる。
やはり誰かがいるようだ。
しばらく五階で待ってみたが、足音は止まないのに誰も現れない。
ただ、ずっとカツン、カツン、カツン、と鳴り響く足音だけが聞こえてくる。
女は立ち止まっているので、自分の足音が反響しているだけではないのは確かだ。
不気味に思えて来た女は待つのを止めて、再び階段を登り始める。
そうすると後ろの足音が、急にカカカカカカッと走りだした。
女はそれに驚き、女も急いで階段を七階まで一気に登り切り自分の部屋へと駆けこんだ。
そして、ドアを閉め鍵をかける。
その直後、カカカカカカカカッと足音が聞こえ、女の部屋の前で足音が止まる。
女が恐怖でドキドキしていると、今度はゆっくりなテンポでカツン、カツン、カツンと足音がしていった。
女は一安心し、廊下に面している台所のモザイクガラスの窓を見る。
もしかしたら自分を付けて来ていた犯人が見れると思ったからだ。
そして、女は後悔する。
見るんじゃなかったと。
それは黒く大きな影だった。
廊下の天井にまで背が届きそうなほどで身を屈めた影だった。
影なのに、モザイクガラス越しなのに、その大きく開いた口が、口と認識できるほど裂けるように開かれたのがはっきりとわかってしまったからだ。
自分をつけていたのは人間ではない。
それしかわからなったが、女にとってはそれで充分だった。
そして、それが何事もなく去って行ってくれたことに女は感謝した。
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