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あまど
あまど
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深夜、大体二時か三時頃の時間。
新聞配達人のバイクの音が聞こえだす、少し前の時間帯。
そんな時間に雨戸を叩き音を鳴らす存在がいる。
部屋の住人は女で社会人。
ベランダもないようなアパートの二階。
その窓を深夜に、ゴン、ギギギィィィィと、最初は雨戸にぶつかる音、そして、爪のような物で雨戸を引っ掻く様な、そんな音が聞こえてくる。
ただ、雨戸をあけようとしたり、激しく叩いたり揺らしているわけではない。
最初にぶつかる音も、割と大人しめの音だ。
だから、女は鳥かでもぶつかったのだろう、とそう思っていた。
もしくは野良猫のような存在が二階まで上がって来てしまっているのか、と。
それにしては、毎日同じ時間に音が聞こえるようになる。
女はそんな時間に毎日一度は目を覚ますこととなり、かなり不機嫌になっていた。
ただ雨戸に傷がつく様な事もなかったので、女も気にはなりはしたがほおって置いた。
ある週末、会社の飲み会があり、女は少し酔っぱらって帰って来た。
女が家に着いた時、もう深夜だった。
酔っていたため、女も気が大きくなっていた。
まだ雨戸は閉めていない。
女は途中のコンビニで買い足してきた缶ビールを開ける。
そして、今日こそは音の正体を確かめてやる、と意気込んだ。
女は酔いながらもスマホで動画を撮る準備をして、カーテンも開けておいた。
眠いが、おつまみを摘まみ、スマホで時間を潰し、その時を待つ。
二時半を過ぎたくらいだろうか。
窓の外は真っ暗だ。
女も流石に酒もなくなっておりお茶を飲みながらその時を待っていた。
そうすると窓から音がする。
女が目をやると、それは手だった。
はじめこそ、木の枝かと思ったが、それは真っ白な骨のように痩せこけた手だった。
それが窓ガラスに張り付くようにぶつかり、そして、その手は徐々に落ちて行っていた。
その手はそれに抗うように爪を立ててはいるが、力がないのか、そのまま落ちていった。
窓には一応柵がついてはいるのだが、それをすり抜ける様に、白い手は落ちていった。
女は動画を取るのも忘れて、茫然とそれを見ていた。
その日、女は日が昇ってから、雨戸を閉め、眠りに着いた。
その時、窓の下を見たがもちろんそこには何もない。
窓にも手が触った後すら残ってはいない。
音の正体を知った女は対策をした。
鉄製の雨戸をまずあまり揺れないように、閉めた後に、ドアストッパーをレールと雨戸の間に入れるようにした。
それでほとんど音は聞こえなくなった。
ただ雨戸を引っ掻く音だけは聞こえる。
なので、今度は雨戸に薄いクッションをガムテープで貼り付けた。
それで雨戸を引っ掻く音も聞こえなくなった。
仕事が忙しい女は手のことなど次第に忘れていった。
完全に忘れた頃にはガムテープでつけられたクッションも落ちていたが、音も聞こえなくなっていた。
新聞配達人のバイクの音が聞こえだす、少し前の時間帯。
そんな時間に雨戸を叩き音を鳴らす存在がいる。
部屋の住人は女で社会人。
ベランダもないようなアパートの二階。
その窓を深夜に、ゴン、ギギギィィィィと、最初は雨戸にぶつかる音、そして、爪のような物で雨戸を引っ掻く様な、そんな音が聞こえてくる。
ただ、雨戸をあけようとしたり、激しく叩いたり揺らしているわけではない。
最初にぶつかる音も、割と大人しめの音だ。
だから、女は鳥かでもぶつかったのだろう、とそう思っていた。
もしくは野良猫のような存在が二階まで上がって来てしまっているのか、と。
それにしては、毎日同じ時間に音が聞こえるようになる。
女はそんな時間に毎日一度は目を覚ますこととなり、かなり不機嫌になっていた。
ただ雨戸に傷がつく様な事もなかったので、女も気にはなりはしたがほおって置いた。
ある週末、会社の飲み会があり、女は少し酔っぱらって帰って来た。
女が家に着いた時、もう深夜だった。
酔っていたため、女も気が大きくなっていた。
まだ雨戸は閉めていない。
女は途中のコンビニで買い足してきた缶ビールを開ける。
そして、今日こそは音の正体を確かめてやる、と意気込んだ。
女は酔いながらもスマホで動画を撮る準備をして、カーテンも開けておいた。
眠いが、おつまみを摘まみ、スマホで時間を潰し、その時を待つ。
二時半を過ぎたくらいだろうか。
窓の外は真っ暗だ。
女も流石に酒もなくなっておりお茶を飲みながらその時を待っていた。
そうすると窓から音がする。
女が目をやると、それは手だった。
はじめこそ、木の枝かと思ったが、それは真っ白な骨のように痩せこけた手だった。
それが窓ガラスに張り付くようにぶつかり、そして、その手は徐々に落ちて行っていた。
その手はそれに抗うように爪を立ててはいるが、力がないのか、そのまま落ちていった。
窓には一応柵がついてはいるのだが、それをすり抜ける様に、白い手は落ちていった。
女は動画を取るのも忘れて、茫然とそれを見ていた。
その日、女は日が昇ってから、雨戸を閉め、眠りに着いた。
その時、窓の下を見たがもちろんそこには何もない。
窓にも手が触った後すら残ってはいない。
音の正体を知った女は対策をした。
鉄製の雨戸をまずあまり揺れないように、閉めた後に、ドアストッパーをレールと雨戸の間に入れるようにした。
それでほとんど音は聞こえなくなった。
ただ雨戸を引っ掻く音だけは聞こえる。
なので、今度は雨戸に薄いクッションをガムテープで貼り付けた。
それで雨戸を引っ掻く音も聞こえなくなった。
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完全に忘れた頃にはガムテープでつけられたクッションも落ちていたが、音も聞こえなくなっていた。
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