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始まり
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阿月が気づいた場所は辺り一面が真っ白な空間。
そこに広がる白に上下はなく左右もなく果てもない。
『やっと起きたようだな。アツキ。君はこれから国家を律するものにならなければならない。これは世界の決定だ。拒否する力は君にはない。ゆえに眼を開き耳を澄ませ己の使命をまっとうせよ。未来は君の働きにかかっている』
言葉だけがアタマの中に入ってくる。
誰だろう。
そんなことを考えても答えはない。
ただ、阿月の中に国家を律するものという言葉が胸の中をくすぶっていた。
白い空間が歪んでいく。
視界がぐにゃりと曲がり、日本とは異なった世界が見えてくる。
壮大な平原や羊などの放牧。石造りの街並み。そして、中世を思わせるおとぎ話に出てきそうなお城。
『ここはシャマイム。そなたにはハイシという名を与えよう。ちなみに元の世界に変える方法はない。君は存在していなかった事にしてあるので、帰ったところでできることなど何もない。そなたの力を我らに示せ』
やはり声だけがアタマの中に響く。
なんとなくだが自分の置かれている状況が夢ではないという事が理解できてきた。
「俺はここでなにをすればいい?」
先程から響いてくる声に対し、この世界に呼ばれた理由を尋ねてみる。
『汝は国を平和に導けばいいのだ。訪れることのない戦争の終結を君が起こすのだ。それが貴方の使命です』
戦争終結。
それは皆が願っているのになかなか実現できない不可能と言っていいほどの現実。
阿月はどのように戦争を終結に向かわせるか今まで習った歴史に記憶を辿りなんとか方法を見つけようとしていた。
しかし、なかなか難しい話で結局のところ力による圧倒で戦争終結に向かった戦争がほとんどである事がわかってきた。
戦争を終結させるほどの力は持っていない。
今まで日本で普通に暮らしていただけなのだから。
「おい、どうやったら戦争を終わらせる事が出来るんだ?!」
その問いかけに声は、
『ふむ。そろそろ時間のようですな。君の働きに期待しているぞ。頑張りたまえ。ちなみにここにいた時の記憶は抹消されるからその質問に関して答えてもあちらに着いた時にはきれいさっぱり忘れていよう』
そう言って声は問いかけに答えずに消えた。
気づくと周囲は真っ白な空間に戻っており自分が立っていると思われる場所には再び光を放つ不思議な文字が書かれていた。
前見たときは読めなかったが今回はなぜかそこに書いてある文字が理解できた。
『調律の英雄をここに記す』
この言葉を口にしてみると、自分の口から出てきた言葉は日本語ではなく違う異国の言葉だった。
この言葉がトリガーだったのか文字は光を増していき阿月を包み込む。
『アツキよ頼むぞ。世界は君にかかっている』
消える瞬間、そんな声が聞こえた気がした。
そこに広がる白に上下はなく左右もなく果てもない。
『やっと起きたようだな。アツキ。君はこれから国家を律するものにならなければならない。これは世界の決定だ。拒否する力は君にはない。ゆえに眼を開き耳を澄ませ己の使命をまっとうせよ。未来は君の働きにかかっている』
言葉だけがアタマの中に入ってくる。
誰だろう。
そんなことを考えても答えはない。
ただ、阿月の中に国家を律するものという言葉が胸の中をくすぶっていた。
白い空間が歪んでいく。
視界がぐにゃりと曲がり、日本とは異なった世界が見えてくる。
壮大な平原や羊などの放牧。石造りの街並み。そして、中世を思わせるおとぎ話に出てきそうなお城。
『ここはシャマイム。そなたにはハイシという名を与えよう。ちなみに元の世界に変える方法はない。君は存在していなかった事にしてあるので、帰ったところでできることなど何もない。そなたの力を我らに示せ』
やはり声だけがアタマの中に響く。
なんとなくだが自分の置かれている状況が夢ではないという事が理解できてきた。
「俺はここでなにをすればいい?」
先程から響いてくる声に対し、この世界に呼ばれた理由を尋ねてみる。
『汝は国を平和に導けばいいのだ。訪れることのない戦争の終結を君が起こすのだ。それが貴方の使命です』
戦争終結。
それは皆が願っているのになかなか実現できない不可能と言っていいほどの現実。
阿月はどのように戦争を終結に向かわせるか今まで習った歴史に記憶を辿りなんとか方法を見つけようとしていた。
しかし、なかなか難しい話で結局のところ力による圧倒で戦争終結に向かった戦争がほとんどである事がわかってきた。
戦争を終結させるほどの力は持っていない。
今まで日本で普通に暮らしていただけなのだから。
「おい、どうやったら戦争を終わらせる事が出来るんだ?!」
その問いかけに声は、
『ふむ。そろそろ時間のようですな。君の働きに期待しているぞ。頑張りたまえ。ちなみにここにいた時の記憶は抹消されるからその質問に関して答えてもあちらに着いた時にはきれいさっぱり忘れていよう』
そう言って声は問いかけに答えずに消えた。
気づくと周囲は真っ白な空間に戻っており自分が立っていると思われる場所には再び光を放つ不思議な文字が書かれていた。
前見たときは読めなかったが今回はなぜかそこに書いてある文字が理解できた。
『調律の英雄をここに記す』
この言葉を口にしてみると、自分の口から出てきた言葉は日本語ではなく違う異国の言葉だった。
この言葉がトリガーだったのか文字は光を増していき阿月を包み込む。
『アツキよ頼むぞ。世界は君にかかっている』
消える瞬間、そんな声が聞こえた気がした。
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