全部誤解です。

雪成

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蛇足

(24)ミレーヌ、立てこもる

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 ミレーヌがその話を聞いたのは、実母エヴァリンからだ。

 ある日突然、義父とともに領地にいるはずの母が王都の屋敷に現れた。

  

「お母様!」

 侍女から知らせを受け応接間に入るや否や、ソファに座る久しぶりの母エヴァリンの姿にミレーヌは喜びを露わに声を弾ませた。手紙のやり取りはしていてもこうして会うのは半年ぶりだ。
 エヴァリンはミレーヌによく似た顔でフワリと微笑むと、立ち上がり両手を広げて娘を抱きしめた。
 
 
「私のミレーヌ、元気にしていたかしら?」
「ええ! お母様、今日はどうしてこちらに? 何かご用事があるの?」
「今日はね、貴女に会いに来たのよ」
「私?」


 先程までニコニコと笑顔を見せていたエヴァリンはそう言うと途端に表情を引き締めた。抱き寄せていた身体は離したがミレーヌの両肩には手を添えたまま、不思議そうにパチリと瞬く娘の瞳を正面からじっと見つめて言葉を続ける。


「ミレーヌ、貴女はコート家へ行くことを本当に承知しているの?」
「え?」
「アムルートから連絡を受けてとても驚いたわ。どうしても直接確かめたくて会いに来たけれど、あまり時間がないのよ。どうなのミレーヌ。お母様に、正直な気持ちを聞かせてちょうだい」


(コート家? 私、お兄様の家に遊びに行く約束なんてしていたかしら)

 母の言っている事がミレーヌにはさっぱりわからなかった。
 コート子爵家は実兄アムルートが当主として立つミレーヌの生家でもある。
 しばらく顔を見ていない兄を思い浮かべて(はて?)と僅かに顔を傾ければ、母は『やっぱり』と言わんばかりにキュッと眉間を寄せた。


「なんてこと……。あなた、知らないのね? アムルートが嘘をつくはずがないわ。それならきっと、《あの子》が勝手に……!!」
「あっ?! お、お母様! ならもちろん存じ上げております! 全て承知しております! 大丈夫です!」


 途端に眉を釣り上げた母に『不味い』と直感したミレーヌは事情を理解せぬまま咄嗟に全てを肯定した。
 ダメ押しにニコリと笑ってみたけれど、少し口元が引きつってしまったかもしれない。


「……ミレーヌ、本当に? 貴女はそれで、本当に良いの? あの子に遠慮しているのではなく、それは、あなたがきちんと決めた事なの?」


 母は未だ衰えぬ美しい顔を痛ましげに歪ませてミレーヌの頬を両掌で優しく包み込んだ。
 そして、切実な表情で探るように何度もミレーヌに『本当にいいのか』と問いかける。

 母の言う『あの子』とは、クラウドの事だ。
 未だクラウドを名前で呼ばない母にミレーヌは眉をへにょりと下げながらも「もちろんです」と頷いた。


「クラウドはとても優しい子です。いつだって私の気持ちを優先してくれる彼に、私が遠慮などするはずがありません」
「ミレーヌ……」
「お母様、私とクラウドはとても良い関係なんですよ。ご心配には及びません」


 ミレーヌの頬に添えられたままのエヴァリンの手は温かい。娘を慈しむように数度頬を摩る滑らかな指先に思わずミレーヌは擦り寄るけれど、それと同時に胸にはじわりと罪悪感も広がっていく。
 この心地よい温もりはミレーヌだけに与えられ、義弟には与えられなかったもの。
 どうしてクラウドにも同じように優しくしてくれないのかと理由を問う事ができていれば何かが変わっていたのかもしれないけれど、それが出来なかったのはミレーヌ自身が母の愛情を失うことを恐れていたからだ。
 それは大人になった今も尾を引きずっている。
 ミレーヌは母を愛しているし、母からの愛情も確かに感じているけれど、未だに母の心の内には踏み込むことはできない。
 そんな後ろめたさから、ミレーヌは今回も罪滅ぼしのようにクラウドを無条件に庇った。


「……良い子ね、ミレーヌ。これまで貴女はいつだってそうだった。私はそんな貴女に甘えすぎてしまったのね…」
「お母様?」
「でも、私は大切な娘を差し出すつもりなんてないのよ……。貴女は自分の思うように生きていいの。そのためなら私は何だってするわ」


 エヴァリンの言葉と僅かに潤んだ瞳の意味を量ろうとミレーヌはじっと母を見つめ返すが、やはりさっぱり何のことやらわからなかった。
 なんだか雰囲気的に真面目に心配されている。子爵家に行く事の何がそんなにまずい話なのだろうか……と、ミレーヌ自身も段々と不安になってきた。
 けれど今更「何の話でしたっけ?」とは言い出せない。


(これはもう)


「……だ、大丈夫です」


(押し通すしかない……!)
  

 何が大丈夫なのかは知らない。けれど母から何度念を押されてもミレーヌは一貫してそう答えた。
 クラウドに全幅の信頼を寄せており彼の意志こそ自分の望みである、と長年積み重ねてきた事勿れ主義が遺憾なく発揮されその場しのぎの返答がすらすらと口をついて出た。
 母はそれでも暫く疑い、眉を寄せ苦悶に満ちた表情を浮かべていたけれど、最後には「貴女が、そう望むのなら……」と小さく呟き視線を落とした。



(よ、よし…うまく誤魔化せた気がする。ごめんなさい、お母様…でも、クラウドが決めた事なら多分本当に大丈夫だから!!)


 穏やかな気質の兄・アムルートならクラウドと顔を合わせれば普通に挨拶を交わし、時に談笑もしている。クラウドにとっても、兄に対しては義母のような確執はないように見えた。


(たとえ子爵家へ行くとしても私がひとりで外出することはないし、クラウドと一緒に訪問してもお兄様なら歓迎してくれるはずだわ。幼い頃からおっちょこちょいの私が子爵家で何かをやらかすと思われているのかもしれないけれど、それこそクラウドがいれば何も心配いらないもの)
 

 クラウドさえいればどんな事でも全てフォローしてもらえる。母に言ったようにミレーヌは義弟を心から信頼し、頼りにしているのだ。



 そういえば、自分を可愛がってくれていた祖母とはもう随分と会っていない。元気にしているだろうか、と亡き父によく似た面立ちの祖母の笑顔が脳裏に浮かぶ。

 アムルートからは「いつでも遊びにおいで」と言われていたけれど祖父の葬儀以来コート家を訪れることができていなかった。それは距離的な問題だけでなく、幼い頃からミレーヌがそばを離れることを極端に嫌がる義弟が気掛かりでたとえ数日でも家を開ける気になれなかったのだ。

 

(でも、クラウドが一緒にいってくれるのなら…)



 それはきっと良い祖母孝行の機会にもなるだろうと、この時のミレーヌは軽く考えていた。




※※※


 
 
 義父から日帰りを条件に王都へ来る許可を得ていた母は、ミレーヌの意思を確認すると渋々ながらも日が暮れる前には再び領地に戻って行った。
 ミレーヌとしては大好きな母を見送るのは寂しい気持ちになるが、騎士の仕事を終えて帰ってくるクラウドと鉢合わせせずに済んで少しだけホッとしていたりもする。
 両親が領地経営に専念するために王都を離れて、ようやくクラウドが家で心を休めるようになったのだ。
 ミレーヌだって、もう大切なふたりが歪み合うところなど見たくはない。





「クラウド、子爵家に行くのはいつかしら?」

 ミレーヌは仕事を終えて部屋に顔を出したクラウドに開口一番聞いてみた。

 一応謹慎中の身であるミレーヌは部屋から出られないことになっているためエントランスにお迎えにはいかない。
 別に屋敷内なら良いのでは? と思わなくもないけれど、それでは元よりインドアのミレーヌにとって普段と変わらないためこの処遇だと聞いている。
 今日は母が来ていたため応接間やら廊下をウロウロしていた事はクラウドには内緒なのである。



「その話を、どこで?」

 クラウドはミレーヌを前に笑顔を強張らせた。
 帰宅したその足ですぐにミレーヌの部屋に直行してきたために、まだ家令から母が来た事を聞いていなかったのだろう。
 ミレーヌもクラウドに母の話をするつもりはなかったので、ニコリと笑って「風の噂で」と、ふんわり誤魔化した。


「……風?」
「もう、それなら早く教えてくれたら良かったのに。訪問するのにも色々と準備が必要だわ」
「ああ、まあ……」


 珍しく歯切れが悪く、表情を曇らせた義弟にミレーヌは気付かない。
 最初こそ形だけクラウドを咎めたが「お土産はなにが良いかしら」「何泊くらいの予定なの?」とすっかり旅行気分で浮かれている。

 
「確認だけれど、もう謹慎は終わりということで良いのかしら? ……あっ、もちろん反省はして」
「ミレーヌ」


 クラウドは微かに浮かべていた笑みを消しミレーヌの名を呼ぶと、彼女と向き合いその細い肩に手を掛けた。


「子爵家に行く意味を、ちゃんとわかっている?」
「意味? 久しぶりにお祖母様に会いに行かせてくれるのでしょう。クラウドも一緒よね? きっと歓迎してくれるわ」

 ミレーヌがコテンと首を傾げると、クラウドは緩くかぶりを振った。


「違うよ、ミレーヌ。俺は行かない」
「まあ、お仕事が休めそうにないの?」

 もとよりクラウドがミレーヌだけを外泊させるわけがなく、子爵家へ行くのなら勿論一緒にいくものだと思い込んでいたミレーヌだが、自分と向き合う切羽詰まる表情を見て漸くどこか様子がおかしいことに気がついた。


「クラウド?」
「……結婚するために、ミレーヌには子爵家へ戻ってもらうんだ」
「え?」
「伯爵家から籍を抜く。そのための貴女の身の置き場を、アムルートに頼んだ」


 クラウドから淡々と紡がれた言葉が脳内で上手く咀嚼できずにミレーヌは自分を見下ろす義弟のアイスブルーの双眼を呆然と見返した。
 鋭利で冷たく捉えられがちな澄んだ色合いが、本当は優しく温かい事を知っている。
 けれど今はあの日見た悪夢のように、ミレーヌの意思など関係無く切り捨てる無情な色を滲ませているかのようにも思えた。


「ど、どういうこと……? 籍を、抜く? 私にこの家を出て行けと……?」
「もう決めたことなんだ。ミレーヌにとっては生家だし、何も心配することはない」


(待って。結婚の、ため……? 決めたって……どうして、私が出ていかなければならないの? ここは、私の家だと言ったのはクラウドじゃない。なのに……)


 クラウドにとっては、そうではなかったということか。小姑ミレーヌが邪魔な存在になってしまったのか。
 
 ミレーヌは元々伯爵家の血を引いていないが正しくずっと、家族だと思ってきたのに。

 突然浴びせられた冷水に、ミレーヌの瞳はじわりと涙の膜を張った。
 今にも溢れんばかりのそれにクラウドが目を瞠り、ミレーヌの肩に置いた手に僅かに力が篭る。


「ミレーヌ、待って。違う。これは周りを納得させるために必要なことなんだ。一時的な処置で、またすぐにここへ戻ってくればいい」
「……一時的…?」
「そうだよ。俺がミレーヌを手放すわけがないだろう?」

 
 クラウドは瞳を細めて優しい声音で宥めるように言い聞かせる。けれどミレーヌの表情は益々陰りを見せた。


(周りを納得させるため…? 一時的だなんて、私を追い払ったように見せるだけだとでもいうの?)
 
 
 アリアナか、それともアリアナの実家である子爵家からの要望かはわからないが自分の存在が誰かにとって疎ましいものであるということがショックだった。
 たしかに伴侶から見れば結婚もせずいつまでも義弟にベッタリの義姉など目障りなものだろう。仕方ないのかもしれない。

 
(愛する人を優先していいのに、クラウドは優しいから私を突き放す事が出来ないのね)


 クラウドなら、言葉通りに結婚後ミレーヌを戻してくれるかもしれない。でもそれは、本当の彼の望みではないのではないか。


(あの夢のように、一度ここを出てしまえばきっと二度と戻れない。……そうね、それが普通だわ)

 

 ミレーヌの青ざめていく顔に気付いたクラウドが気遣わしげにミレーヌの名前を呼んだ。
 ハッと顔を上げたミレーヌは肩にかけられていたクラウドの手を引き剥がすように彼の胸を強く押して距離を取る。



「……わかったわ。でも、少し、時間をちょうだい」


 時間を空けたからと言って、何が変わるわけでもないだろう。けれど、今どんな顔をして義弟と向き合えば良いのか分からない。ショックを受けているだなんて、悟られたくもない。

 クラウドから結婚の話を聞かされてから沢山時間はあったはずなのに。
 悪夢に魘され、いつかこんな事になるかもしれないと危機感を抱いてきたはずなのに。
 《義弟離れ》や《距離感》だなどと言いながら、結局は何の覚悟もできていなかったということを突き付けられたように感じていた。



「ごめん…ミレーヌ、驚いただろう」


 離れていくミレーヌを追いすがるようにクラウドから伸ばされた手をミレーヌは避けるように僅かに身を引いた。
 
 
「大丈夫よ。そうね、驚いた…驚いただけ……。落ち着いて考えたいから、暫くひとりにしてくれる?」

 
 
 もうクラウドの目を見ることなど出来ない。
 俯いたまま口元だけで笑顔を形作るのが精一杯だった。






(ミレーヌの耳に入る前に、話すべきだった)

 クラウドは、空を切った手を身体の脇に戻し密かに拳を握り込んだ。
 
 突然のことに動揺を隠せずにいる義姉を前に後悔しても遅いのは分かっている。
 強引なことをしている自覚もあれば、目の前の愛しい人の溢れそうな涙も己が齎したものだ。
 
 けれど全てが整い、逃げ道を塞いだ上でないと話せなかった。
 ミレーヌはいつだってクラウドを受け入れてくれるが、それは家族愛であり、自分と同じ種類の、同じ重さの愛情ではない。
 故に、常に誰かに奪われてしまうのではないかという恐れに囚われて早く彼女を自分のものにしなくてはという焦燥に駆られるのだ。
 そしてその焦燥が、いつもなら有り得ない詰めの甘さを生んでいた。


 ミレーヌを追い詰め、意思を蔑ろにするようなやり方では彼女の心を得られない。そんな事は、わかっている。
 それでも、手放せない。手に入れたい。どうしても。


 クラウドは一度開きかけた唇を引き結ぶ。
 一方的な想いをぶつけることしかできない今の自分に何が言えようか。
 たとえ話し合い、拒絶されようと、考えを変える気はないのだから。
 
 
「また、明日話そう」
 

 クラウドはただ一言そう言い残し、そのまま部屋を出て行った。








 
 パタン、と閉まった扉の音を背中で聞いたミレーヌは、足に力が入らずにカクンと絨毯に膝をついた。
 

「お嬢様!」

 その場でくずおれるミレーヌの元に侍女が慌てて駆け寄る。体を支えるために伸ばされた手をそっと遮って「大丈夫」と力無く笑うが、血色を失った顔を見ればとてもそうは思えなかった。
 
 
 
「少し、疲れてしまったわ……」



 
 それきりミレーヌは、部屋から出てこなくなった。

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