名も無い忌子

蜘優桜

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響く夜空に美しき心を

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 使鬼「またね、バイバイ___俺の大切な

本当は待ってほしかったんだ

 オレ(心美)「待って…」

オレは眠りに着いた

___牢屋

 使鬼「___心美、もう少し我慢してね。」

 オレ「…うん」

 使鬼「ぐぅ…」

 オレ「し、使鬼…⁉︎」

 使鬼「俺ならこれぐらい平気だから」

 オレ「でっ、でも!」

 使鬼「俺は、大丈夫だから…」

 オレ「う、うそだろ?そんなんじゃお前、死んじまう!」

そのあと、使鬼は笑うだけだった
この頃のオレは無力で、何もできなかった
ただただ拷問される夜鴉を見ていることしかできねぇ

でも夜鴉を拷問するのはいつも人間で
人間さえ、いなければ、何度もそう思った

にくかった

だから
全部全部嫌いだった
人間も、神も、悪魔もこの世界も

だけど、そんなオレに残った好きなもの
それがオレを救ってくれんのかはまだ、わかんねぇ
でも、それだけでも守りてぇんだ
使鬼、オレを許してくれ
必ずお前も守る
だからちょっと待っててくれ


___水葉・家 水葉の部屋

オレは夢から覚めた
反吐が出る…
なんで夢でまであんなのをみねぇと…

 響「この!おおばか‼︎」

響は泣いてオレをビンタした

 オレ「ッ!いってぇな…。何すんだよ」

 響「何すんだよじゃないよ!アホ‼︎なんで、勝手にどっか行っちゃうの⁉︎すっごい心配したのよ‼︎このばか‼︎アホ‼︎あんぽんたん‼︎」

響の怒る姿を見ると本当にオレのこと心配してたんがわかった
でも、すまねぇ。
その心配、また裏切りそうだ

 心優「ごめんね。ひびちゃん、奈一、水葉さん、皐月さん」

 心愛「ワタシもごめん…!」

 響「…ッ!本当にばかなんだから…」

 水葉「分かってくれたならいいの」

水葉はそういってくれた
なんでだ?
コイツはなんだ?
なんでオレ達を心配する?
人間が…。人間なのに…。なんで…
オレは…

 皐月「…みんな」

 オレ「どうした?」

 皐月「話があるの」

 心優「話?」

 皐月「私も、一緒に戦いたいの」

 水葉「さっ皐月⁉︎あなた、戦いはもう…」

 皐月「本当はね、やめるつもりだったよ。でも、私は私の子を守りたい。
___戦う理由なんてこれで十分でしょ?」

 水葉「そう…ね。」

 心愛「皐月さんは強いもんね。でもワタシ達は守られなくても大丈夫だから…」

そうだ。
オレは守られなくても、誰も守ってくれなくてもやってける
もう1人でいいんだ
___いいはずなんだ

いい、はずなのに…、なんで否定出来なかったんだ?

違う。守ってほしいんじゃねぇ
きっと…
きっと、なんだよ…?オレは何を望んでんだよ?
わかんねぇよ…
なんなんだよ…

 皐月「それでも、私はみんなを、私の子供達を守りたいの。」

 オレ「そうかよ。勝手にしろ」

オレの口から出た言葉は冷たかった
人でなし?クズ?
どうとでも呼べよ。
オレは正真正銘の人でなしでクズだ
だから守らないでいい
いや
___オレのことを守んじゃねぇよ!

 心優「心美…。どんなにクズでも人でなしだとしても守られていい」

 オレ「…ッ!」

コイツ、また…

 皐月「あぁ、もういいや!言い出しっぺがあれなんだけど、晩御飯にしない?もう時間も遅いし…」

 水葉「…そうね。晩御飯は何がいいかしら?」

 心優「塩握り、食べたい」

 心愛「塩握りはおやつでしょ?」

 心優「…うん。じゃあ…。とりあえず、食べれたらそれでいいかも」

 響「食べれたらそれでいいって…」

 奈一「私、お肉食べたい!」

 皐月「いいわね!」

 水葉「じゃあそうね…。生姜焼きなんてどうかしら?」

 奈一「わぁ!美味しそう‼︎」

 心優「心美、無理して食べなくていいよ」

ヒソヒソ声で言ったあと勝手にオレの太ももを枕にしてきやがった…
まぁ、わりぃ気はしねぇが…

 響「わたしも何か手伝いましょうか?」

 水葉「大丈夫よ。私は___」
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