名も無い忌子

蜘優桜

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鳴り響く運命

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 蜘優「時間だね」

 わたし「まっ___」


 ??「___ちゃん!ひびちゃん‼︎」

そう呼ぶ声が聞こえる
わたしの偽りの名前を呼ぶ声が、

 ??「急に倒れちゃうから…っびっくりしたんだよっ‼︎」

その声の主は心愛だったらしい

 わたし「…」

意識が朦朧とする
なんで…思い出せなくなっちゃったんだろ…

 ???「…うぅッうっ」

嗚咽混じりの泣き声…
わたしの声だった
みんなみんな、大切な人だったのに…
___1番忘れたくなっかった人なのに…‼︎
夜鴉の顔は覚えている
他のみんながわからない…

 心優「…ひびちゃん」

静かな心優の声が聞こえる…
優しい声…
‼︎心優がわたしを抱きしめている
何を言うでもなくただだまって

 わたし(響)「ぅう…ッうあああぁぁああ‼︎」

その暖かさに釣られて大声で泣いてしまった…

 心美「響…」

心美が心配そうにこちらをみた

 心美「思う存分泣けよ…」

静かにそう…確かにそう呟いた


響は泣きじゃくっていた
ずっとずっと、泣き疲れて眠ってしまうまで
何かそこまで辛い事があったんだろう
悪夢を見たのだろうか…
それとも…___

 心優「心美?」

心優があどけない表情でオレを呼ぶ

 オレ(心美)「どうした?」

 心優「…心美こそ、ひびちゃんがそんなに___」

 オレ「ちげぇよ…あいつがあんなに泣きじゃくるなんてな、思ってなかったんだ…ちょっと驚いた」

正直な気持ちを告げた
あいつはいつも笑っていて、しっかりしたおかんみたいな雰囲気だった
確かに最近のあいつは辛そうだったが___

それにしてもあいつの思いはあれで晴れたのか?

 心愛「気持ちは楽になったんじゃない?」

心愛がオレの心を読んだように答えた

 オレ「…なんの話だ」

オレが響のこと心配してたなんてちょっと恥ずかしい
だからとぼけた

 心愛「ふふ」

心愛は面白そうだ
ちょっと安心だな…。
心愛はいつも少し辛そうだ
厳密には常に怒りが感じられる
___トーゼンだな…

 心優「心美また考え事してる」

心優が落ち着い様子で言った

 オレ「…」

なんて答えるべきなんだ?
まぁこんなん深く考える方がバカだ

オレ「んで、なんで奈一は黙ってんだ?」

さっきからめっちゃ覗き見をしていた奈一に話を振る

 奈一「ふえ⁇」

驚いている、面白い



___ここは夢?
敵⁉︎
どうしてよ‼︎

 夜鴉「『そのまま戦ってて』」

優しい声がした
夜鴉が指揮をしている
懐かしい光景

___夜鴉は今頃何をしているのだろう
寂しい、それが本音だった
ずっとそばにいてくれた大切なお兄ちゃん
わたしを守ってくれる優しくて頼もしいお兄ちゃん
それが夜鴉だった
急に居なくなったら寂しいよ、心配だよ
そうじゃないってわかってても
___裏切られたって思っちゃうよ‼︎
嫌いにならないで愛して居たかったのに
あぁぁ…無駄だった、ダメだった
ねぇ今すぐ帰ってきてよ
???「___」
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