名も無い忌子

蜘優桜

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鳴り響く運命

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 ???「鍵なら持っているぞ」

その手には鍵が握られていた

 心愛「ッ‼︎あんた皐月さんに何したの⁉︎」

 心美「心愛、落ち着け」

怒りを隠しきれない心愛に心美は静止をかける

 心愛「落ち着いて___」

そう言いかけた心愛に

 心優「皐月さん、ドジだから落としちゃったのかも」

静かで優しい、感情のない声で心優が言った

 心優「ねっ皐月さん」

心優が少し、ほんの少し笑みを浮かべ足で窓を開けた

 皐月さん「私の子どもに手を出すことは、許しませんつ!」

その開けた窓から皐月さんが突っ込んできた
相手に風の刃を飛ばす

 皐月さん「いったぁぁああぁ!」

そう悲鳴を上げたのは敵ではなく、皐月さんだった
窓から入ったのはいいが窓枠に躓いて転んだらしい

 皐月さん「もぉ…やだぁ…ぐすんッ」

大分と痛かったらしい

 わたし(響)「窓なんかから入ってくるからじゃない?」

つい本心が出てしまった

 わたし「ッいけないッ!」

皐月さんに向かって攻撃が飛んでくる

 皐月さん「…はぁ。『旋風神斬』(せんぷうじんざん)」

攻撃を相手にそのまま返し、自分の攻撃まで乗せている
普通の人ができる芸当じゃない
しかも転けた間なしで…
ッ血が飛び散る

 心優「ひびちゃん!」

心優がわたしを押し除ける

 わたし「どうして?」

意味がわからないよ…攻撃が来てたわけでもないのに…
そんな事する意味がない

 心優「…」

相変わらず、心優は黙っている

 心美「響!ボケっとしてねぇで、戦え!!」

心美がわたしに呼びかける
そうだ。相手がどれだけ弱くても、死ぬ可能性は充分にある
それが戦い___戦争だ
これは戦争だって思った方がいいのかもしれない
気合い、入れないと…。

 わたし「うッ…血が…がはッ!」

何で…?傷口開いちゃった?

 心美「チッ…」

心美が舌打ちをした…
___失望された…どうしよう…捨てられる
 心美「下がってろ。響」

 わたし「!」

心美の優しい言葉が…わたしの心を苦しめる
首を絞めてくる…
また守られて…弱いなぁ、わたし。

 心愛「…あはっ」

心…愛…?

 心愛「バッカじゃないの?」

心愛が笑っている

 心愛「『ライトフリューゲル』」

嘘でしょ…
敵を吹き飛ばした心愛はまだ笑ってる

 心愛「ふぅ…疲れた…」

そう心愛が言うと心愛心優心美が倒れた
…わたしも意識…が…


…!
 ??「おはよう、音天…」



そこには龍のような角が生えた幼女の姿の女の子(正確には無性)___蜘優(くゆ)がいた
蜘優は呼び名でフルネームは寧蜘臥なくが(良く、ねくがと間違われるらしい)蜘優桜くゆろと言う

 わたし「‼︎どうして?ここに?」

 蜘優「…」

蜘優は黙ってしまった

 わたし「…何か話せないわけがあるんだね」

蜘優は幼い見た目に反して大人びていて、落ち着きがあり隠し事や無理をよくする(子供っぽい一面もあるし、人間換算の年齢は6歳らしいが)
それでいて優しい、わたしを救ってくれた人だ

___これだけなら、心優にそっくり…
でもどうしてだろう…
蜘優の顔がよく見えない

___思い出せない

他にも大好きだった、一緒に住んでいた人達も…たくさんいた
だけどなんでだろう、顔が全然思い出せない
いつからだろう。
みんなの顔を思い出せなくなっていたのは…
そうだ…本当はずっと前からだ
誰かに記憶をいじられたの?
それとも…____

 蜘優「ねぇ、音天」

蜘優は急にわたしを呼びかける 

 わたし「どうしたの?」 

 蜘優「どうして、ボクに能力を使ってくれたの?」

 わたし「!」

 蜘優「時間だね」

 わたし「まっ____」
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