名も無い忌子

蜘優桜

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奈々という存在

血の覚醒

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 響「うん。昨日の話、聞こうとおもって、ね」

響は笑って言った後に真面目な顔になった…

 心美「ッ!」

不機嫌そうに心美はこっちを睨んだ___

 心美「お前らには関係ないだろ」

怒っているのか目も合わせてくれなかった
響が心美の肩をガシッと掴み

 響「関係なくない!あなたも、心優もわたしたちの家族なんだよ‼︎」

と叱った

 心美「ッ‼︎…___オレに家族は必要ない‼︎」

顔歪ませ、怒りに満ちた心美の声が病室に轟く

 響「必要あるとかないとか、正直言ってそれこそ関係ない‼︎」

響の声には、怒りと優しさが混じっていた
その言葉に対して心美は

 心美「お前にッ‼︎オレの…何が…ッ…‼︎何が分かるッ‼︎」

と言った
その顔や声は怒りとは別の感情に歪んでいた

 響「何も分からないよ…!だって何も聞いてない…聞いた事もない事わたしに分かるわけがないんだよ」

響の落ち着いた声が響く
心美は安心したような、その裏では苦しみが渦巻いているような笑顔で

 心美「ああ…そうだ。だから___」

と言いかけた
響は心美が言い切る前に

 響「だから知りたいの。貴方の事、心優の事、心愛の事」

と静かに言った

 心美「お前、変わってんだな」

心美は吹き出しそうな笑顔だった

 響「ちょっ‼︎何がよ‼︎」

響が怒っていた…

 心美「知って壊れたらどうしようとか思わねぇのか?」

心美は真面目な顔に戻り、言い放った言葉は落ち着いた声だった

 響「そんなやわな関係じゃないでしょ」

響は当然でしょと言うふうに答えた
心美は何かを思い出したようだった

 心美「‼︎…___壊れてからじゃ遅いんだよ、多分…そういうの、知ってる気がすんだ」

でもそれはおぼろげなのか、感覚だけを思い出したのか曖昧な答えだった
その返答の仕方に違和感を覚えたのか響はびっくりした顔をしている
でもすぐに響は口をうごかした

 響「気がする?そうなんだね…でも、それでも知りたい…確かに、怖い。壊れちゃったら、苦しむのはわたし含め皆だから」

響も恐怖心を抱いていると知った
そして心美は落ち着いた様子で

 心美「そうだろ___ならどうして知ろうとする?」

響の方を上目遣いで見る
ただの興味本位らしい

 響「今聞かないと、後悔する…そんな気がするの」

少し暗い顔してる…過去に何かあったのかな。

 心美「どっちにしろ後悔するんじゃないのか?」

その声には不安や悲しみ…いろんな負の感情が混じっていた

 響「たとえそうだとしても、わたしはやらずに後悔するより、やって後悔したいッ!」

シンプルかっこいい…怖がってるのにそんな事言える勇気…
自分では臆病だって言っててもやっぱり響は臆病じゃないよ…‼︎私の方がよっぽど臆病だ…
そんな中心美が仕方無さそうに口を開いた

 心美「まぁ…そこまで言うなら…って言っても話す事なんてねぇよ」

話すことがない?…ってどう言う…

 私・響「?」

私と響は思考停止

 心美「だからあいつはそう簡単に乗っ取られもしねぇし、あの時はまぁ…乗っ取られるとはちょっと違うしな…」

 響「はあ?もうちょっとでいいから分かりやすく言ってくれない?」

響の困惑具合分かりやすい…な…
___バタン‼︎


___
一瞬視界が真っ白になったと思ったらそこには見慣れた風景があった

 ??「おはよう」

そこには会いたかった人がいて…

 私「牙…___じゃなくて狼零‼︎おはよう‼︎」

わかってる。これは夢なんだと
だって私の体は今とは違っているから
この姿をみんなに見せるなんて考えられない

 狼零「どうしたの?ぼーっとして」

その優しげな笑顔はもう見る事はない
けれどまだ浸っていたいこの日常に
もう終わってしまった日常に
一瞬でいい…終わってもいい…罰を受けてもいい…何されてもいい…
だから今は___


___急にナーが倒れた

心配だけど持ち上げてベットに寝かせておいた

___数分後
ころが帰って来た

 ころ「ただいま。なーちゃん、どうしたの?」

不思議そうに呟いた
やはりころは何かと勘が鋭い

 ナー「___やっぱり…」

 私「ナ、ナー…?」

起きたナーの体は成長し、背中には羽が浮かび、頭には天使の輪っかのようなもの。それにユニコーンのような角と耳が生えていた
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