24 / 35
24 十二歳の王子と「王都に向かう」守護精霊
しおりを挟む
紅白男とルイを引き合わせた三日後、シャルル王子は王都に向けて旅立った。王太子の任命式典に出席するためだ。人の世は、まったくもって理解不能だ。ご丁寧にも招待状が届いているらしく、出席しないわけにはいかないらしい。
ただ、辺境伯本人にも招待状が届いているというのに、辺境伯領から式典に出席するのは、息子であるジェルヴェ・ブルンヒョル男爵だ。
「そんな危ないところに行くのは御免こうむる」と、ブルンヒョル辺境伯は、たくわえたあごひげをピーンと引っ張りながら、にこやかに笑った。
ある意味、わかりやすい人ではあるけど、その危ない場所に息子を送り込むというのは、どうなんだろう。わたしがそう言うと、辺境伯はこれまた、ひげをピーンと引っ張りながら、にこやかに言い放った。
「若い頃の苦労は買ってでもしろと言いますからな。精霊様、ルイ殿下を守るついでで結構ですので、息子を気にかけてやってくだされ」
結局、ルイは今までどおり、辺境伯の部下として、守護精霊持ちの仕事を続けることにしたらしい。そして、シャルル王子と辺境伯の息子の護衛任務を命じられ、王都に向かう馬車に乗り込むことになった。
辺境伯がルイの味方なのかどうかは、わたしには、わからない。ただ、キアラは「わたくしとしては、ルイが国王になればありがたいですな」と、カラッとした声で笑った。
「わたくしの部下が王国で一番えらいとなれば、おおいばりできますからな。王都になど、めったに行くこともありませんが、王城のあちこちを見学させてもらえるでしょうし、晩さん会に呼んでもらって、宮廷料理をさんざん腹に詰め込んで――」
みんながキアラのように単純だったら、どんなに楽だろうか思いながら、わたしは、ぽふっと長い息を吐き出した。
ただ、そんな単純なキアラも、今回の護衛任務には思うところがあるようだ。
「精霊様。王都に行くともなれば、ふつうは、護衛の騎士と魔術師を大勢ともなうのです。ですが、この度は、王妃派を刺激しないように、同行するのは身の回りの世話役のみと、仰せつかっております。あとは、わたしとルイ。それに、精霊様の言うところの、紅白男とヒョロ男も戦力と呼べなくはないのですが」
《そんなことで大丈夫なの?》と聞いたわたしに、キアラは不敵な笑みを浮かべた。
「どのみち、辺境伯領を出れば、道中すべてが敵だらけです。兵をどれだけ連れていっても足りません。ですので、ルイに護衛を頼んだのです。最悪、精霊様にはルイとシャルル殿下を連れて、逃げてもらうことになりますが、よろしいでしょうか?」
《ああ、なるほどね。お安い御用だよ。ついでに、キアラも逃がしてあげるよ》
「それは、ありがたいですな。ただ、わたくしよりも、ジェルヴェ男爵を運んでもらえると助かりますな。男爵を捨てて逃げたとなると、伯父上に恨まれますからな」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
という話をしたのが三日前だったのだけど、ヒュランデル子爵領に入って、しばらくたったころだ。街道の向こうに大勢の人の気配を感じた。
兵士がざっと三百人ばかりに、魔術師が二十人といったところだろうか。騎士の姿があまり見えないのは、以前にヒョロ男が倒してしまったせいかもしれない。
街道をふさぐ形で陣取ったヒュランデル子爵の軍勢から、一匹の大きなカエルが、こちらにヒョコヒョコと頭を下げながら向かってきた。
服を着ているカエルなんて初めて見たね、と驚いていると、馬車がとまって、ブルンヒョル男爵のお付きの人がカエルと話を始めた。
先だって、シャルル王子の一行を襲ったのは、ヒョロ男が王子の命を狙っているという情報を得て、保護しようとしたのだと、カエルが延々と繰り返している。
どうやら、カエルではなく、ヒュランデル子爵だったようだ。どうりでお高そうな服を着ていると思った。
キアラやルイも馬車から下りて様子をうかがっていると、何やら話がまとまったようで、シャルル王子がカエルのもとへと歩み寄った。
いつもながらのやさしげな笑みを浮かべたシャルル王子が、カエルのように頭を地面に叩きつけているヒュランデル子爵に、「そうであったのか」とうなずきながら、手を差し伸べた。
その時だった。
さっきまで、ペコペコ這いつくばって頭を下げていたカエル男が、ピョンッと飛びあがり、護身用の小さなナイフを、シャルル王子の首に押し当てた。
「動くなー! すこしでも動けば、王子がどうなるかわかっているだろうな!」
おやさしいシャルル王子も、さすがに、顔色が真っ青になっている。すごいな、カエル。たいした跳躍力だ。と感心しているわたしの傍で、キアラがボソッとつぶやいた。
「精霊様。お手数ですが、ヒュランデル子爵を捕まえてもらってよろしいですか?」
ルイが一瞬だけキアラに視線を送り、口の端を片方だけ持ち上げて、わたしにうなずいた。
《捕まえるだけでいいの?》
「あれでも、子爵ですしな。できれば、生かしておいていただけませんか?」
《王子様といい、キアラといい、おやさしいね》
ぽふっと息を吐き出して、カエル男のもとに翔けた。ナイフを持っていた腕を捻り上げ、地面に叩きつける。「グウェフッ!」という鳴き声とともに、顔からあぶらのような汗が飛び散った。
と同時に、ヒョロ男がシャルル王子に駆け寄り、呪文を詠唱し始めた。
ルイの前では、一切魔法を使うなと言ったのを、もう忘れたのだろうか。ついでに、ヒョロ男の腹を軽く殴っておく。ヒョロ男が片膝をついて、「ゲフッ!」と息を吐き出した。
シャルル王子の行動がさっぱりわからない。ついこのあいだ、自分の護衛がカエルの部下に全滅させられたことを、忘れたのだろうか。おやさしいのは美徳かもしれないけど、度が過ぎる。
ヒョロ男の背をさすって心配しているシャルル王子を、あきれた目で見ていると、地面に転がっていたカエル男が大きな声で鳴いた。
「わしのことはかまうな! この連中を生かしておけば、ヒュランデル家が滅ぶ! 決して領内から出すな!」
街道の前方で様子をうかがっていた兵士たちが、ザワッと動いた。サヤから抜かれた剣が光を反射し、弓に矢をつがえた連中が、ずらっと前に出た。魔術師の唱える呪文が、風に乗って運ばれてきた。
妻が王領の貴族の娘だからって、王子を殺してまで出世したいって、どうなんだろう。それに、辺境伯領最強の魔術師が、実は守護精霊持ちだったといううわさを、聞いていないのだろうか。
チラッと振り返ったわたしに、ルイが、しかたないね、という表情でうなずいた。
黒いもやが、じんわりと広がり、矢がいっせいに放たれた。その瞬間、ぶわっと風が渦巻いた。風に溶け込むようにふくらんだわたしは、大きな丸い風の壁となった。
念のため、近くにいるちびっこ精霊たちに、風を揺るがして警告を発しておく。この程度のことで、精霊がケガをすることもないだろうけど、身構えは必要だろう。
矢が、黒いもやが、火の玉が、風に巻き込まれて、あたりを飛び交う。盾を身を隠した兵士たちが、じりっと前に出ようとした。
敵に向かって突き出されたルイの右手が、左から右へとすーっとなでるように動いた。それを合図に、解き放たれた風が、衝撃音とともに木々をずらっとなぎ倒す。どこか遠くの方で、難を逃れた鳥たちが、一拍遅れてバタバタと飛びたった。
うんうん、きれいになった。あと、ヒョロ男と紅白男とカエル男がいなくなれば、もっとスッキリするんだけどね。
丸くなってブルブル震えているカエル男に目をやり、ついでに、紅白男にも視線を向けた。
「いやー、さすがはルイ王子殿下の守護精霊様でございますね。あたり一面、すっかり見晴らしがよくなりました。いや、まさに、絶景でございますね」
紅白男は満面の笑みを浮かべ、パチパチと手を叩きながら、カエル男へと歩み寄った。
「さてと、ヒュランデル子爵。領都まで歩いて帰るのも大変でございましょう。よろしければ、わたくしの馬車に乗られるといい」
「はぁあぁぅっ!? あわぁっ!? わ、わ、わしの部下たちはっ!?」
うずくまった姿勢のまま、カエル男は汗を振り撒きながら、頭だけをあちこちに向けて、視線を泳がした。
「おや? どなたかと一緒に来られたのですか? わたくしは誰も見ていませんが?」
「み、み、見ていない!? そ、そんなバカな! わ、わし――」
「ヒュランデル子爵! 見たほうがよかったのですか? すくなくとも、わたくしは何も見ておりません。シャルル王子殿下。殿下は何かご覧になりましたか?」
ふいに、紅白男に話しかけられたシャルル王子は、ゆっくりと立ち上がって首をかしげた。それから、いつもの柔和な笑みを浮かべた。
「いや、すこしぼんやりしててね。何かあったのかい?」
「いえ、おそらく、ヒュランデル子爵はお疲れなのでしょう。このような山奥に、おひとりで王子殿下を迎えにまいったのですから。では、先を急ぎましょうか」
そう言うと、紅白男はカエル男をグイッとつかみ上げ、馬車へと引きずっていった。キアラが肩をすくめ、ルイが不思議そうに目を瞬いた。
人の世はホントに――
――わたしにはさっぱりだ。でも、今度は、ルイとキアラにもわからないようだ。
ふたりにわからないのなら、考えるだけムダだろう。わたしは、ぽふっと息を吐き出して、ルイのもとへと戻った。
ただ、辺境伯本人にも招待状が届いているというのに、辺境伯領から式典に出席するのは、息子であるジェルヴェ・ブルンヒョル男爵だ。
「そんな危ないところに行くのは御免こうむる」と、ブルンヒョル辺境伯は、たくわえたあごひげをピーンと引っ張りながら、にこやかに笑った。
ある意味、わかりやすい人ではあるけど、その危ない場所に息子を送り込むというのは、どうなんだろう。わたしがそう言うと、辺境伯はこれまた、ひげをピーンと引っ張りながら、にこやかに言い放った。
「若い頃の苦労は買ってでもしろと言いますからな。精霊様、ルイ殿下を守るついでで結構ですので、息子を気にかけてやってくだされ」
結局、ルイは今までどおり、辺境伯の部下として、守護精霊持ちの仕事を続けることにしたらしい。そして、シャルル王子と辺境伯の息子の護衛任務を命じられ、王都に向かう馬車に乗り込むことになった。
辺境伯がルイの味方なのかどうかは、わたしには、わからない。ただ、キアラは「わたくしとしては、ルイが国王になればありがたいですな」と、カラッとした声で笑った。
「わたくしの部下が王国で一番えらいとなれば、おおいばりできますからな。王都になど、めったに行くこともありませんが、王城のあちこちを見学させてもらえるでしょうし、晩さん会に呼んでもらって、宮廷料理をさんざん腹に詰め込んで――」
みんながキアラのように単純だったら、どんなに楽だろうか思いながら、わたしは、ぽふっと長い息を吐き出した。
ただ、そんな単純なキアラも、今回の護衛任務には思うところがあるようだ。
「精霊様。王都に行くともなれば、ふつうは、護衛の騎士と魔術師を大勢ともなうのです。ですが、この度は、王妃派を刺激しないように、同行するのは身の回りの世話役のみと、仰せつかっております。あとは、わたしとルイ。それに、精霊様の言うところの、紅白男とヒョロ男も戦力と呼べなくはないのですが」
《そんなことで大丈夫なの?》と聞いたわたしに、キアラは不敵な笑みを浮かべた。
「どのみち、辺境伯領を出れば、道中すべてが敵だらけです。兵をどれだけ連れていっても足りません。ですので、ルイに護衛を頼んだのです。最悪、精霊様にはルイとシャルル殿下を連れて、逃げてもらうことになりますが、よろしいでしょうか?」
《ああ、なるほどね。お安い御用だよ。ついでに、キアラも逃がしてあげるよ》
「それは、ありがたいですな。ただ、わたくしよりも、ジェルヴェ男爵を運んでもらえると助かりますな。男爵を捨てて逃げたとなると、伯父上に恨まれますからな」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
という話をしたのが三日前だったのだけど、ヒュランデル子爵領に入って、しばらくたったころだ。街道の向こうに大勢の人の気配を感じた。
兵士がざっと三百人ばかりに、魔術師が二十人といったところだろうか。騎士の姿があまり見えないのは、以前にヒョロ男が倒してしまったせいかもしれない。
街道をふさぐ形で陣取ったヒュランデル子爵の軍勢から、一匹の大きなカエルが、こちらにヒョコヒョコと頭を下げながら向かってきた。
服を着ているカエルなんて初めて見たね、と驚いていると、馬車がとまって、ブルンヒョル男爵のお付きの人がカエルと話を始めた。
先だって、シャルル王子の一行を襲ったのは、ヒョロ男が王子の命を狙っているという情報を得て、保護しようとしたのだと、カエルが延々と繰り返している。
どうやら、カエルではなく、ヒュランデル子爵だったようだ。どうりでお高そうな服を着ていると思った。
キアラやルイも馬車から下りて様子をうかがっていると、何やら話がまとまったようで、シャルル王子がカエルのもとへと歩み寄った。
いつもながらのやさしげな笑みを浮かべたシャルル王子が、カエルのように頭を地面に叩きつけているヒュランデル子爵に、「そうであったのか」とうなずきながら、手を差し伸べた。
その時だった。
さっきまで、ペコペコ這いつくばって頭を下げていたカエル男が、ピョンッと飛びあがり、護身用の小さなナイフを、シャルル王子の首に押し当てた。
「動くなー! すこしでも動けば、王子がどうなるかわかっているだろうな!」
おやさしいシャルル王子も、さすがに、顔色が真っ青になっている。すごいな、カエル。たいした跳躍力だ。と感心しているわたしの傍で、キアラがボソッとつぶやいた。
「精霊様。お手数ですが、ヒュランデル子爵を捕まえてもらってよろしいですか?」
ルイが一瞬だけキアラに視線を送り、口の端を片方だけ持ち上げて、わたしにうなずいた。
《捕まえるだけでいいの?》
「あれでも、子爵ですしな。できれば、生かしておいていただけませんか?」
《王子様といい、キアラといい、おやさしいね》
ぽふっと息を吐き出して、カエル男のもとに翔けた。ナイフを持っていた腕を捻り上げ、地面に叩きつける。「グウェフッ!」という鳴き声とともに、顔からあぶらのような汗が飛び散った。
と同時に、ヒョロ男がシャルル王子に駆け寄り、呪文を詠唱し始めた。
ルイの前では、一切魔法を使うなと言ったのを、もう忘れたのだろうか。ついでに、ヒョロ男の腹を軽く殴っておく。ヒョロ男が片膝をついて、「ゲフッ!」と息を吐き出した。
シャルル王子の行動がさっぱりわからない。ついこのあいだ、自分の護衛がカエルの部下に全滅させられたことを、忘れたのだろうか。おやさしいのは美徳かもしれないけど、度が過ぎる。
ヒョロ男の背をさすって心配しているシャルル王子を、あきれた目で見ていると、地面に転がっていたカエル男が大きな声で鳴いた。
「わしのことはかまうな! この連中を生かしておけば、ヒュランデル家が滅ぶ! 決して領内から出すな!」
街道の前方で様子をうかがっていた兵士たちが、ザワッと動いた。サヤから抜かれた剣が光を反射し、弓に矢をつがえた連中が、ずらっと前に出た。魔術師の唱える呪文が、風に乗って運ばれてきた。
妻が王領の貴族の娘だからって、王子を殺してまで出世したいって、どうなんだろう。それに、辺境伯領最強の魔術師が、実は守護精霊持ちだったといううわさを、聞いていないのだろうか。
チラッと振り返ったわたしに、ルイが、しかたないね、という表情でうなずいた。
黒いもやが、じんわりと広がり、矢がいっせいに放たれた。その瞬間、ぶわっと風が渦巻いた。風に溶け込むようにふくらんだわたしは、大きな丸い風の壁となった。
念のため、近くにいるちびっこ精霊たちに、風を揺るがして警告を発しておく。この程度のことで、精霊がケガをすることもないだろうけど、身構えは必要だろう。
矢が、黒いもやが、火の玉が、風に巻き込まれて、あたりを飛び交う。盾を身を隠した兵士たちが、じりっと前に出ようとした。
敵に向かって突き出されたルイの右手が、左から右へとすーっとなでるように動いた。それを合図に、解き放たれた風が、衝撃音とともに木々をずらっとなぎ倒す。どこか遠くの方で、難を逃れた鳥たちが、一拍遅れてバタバタと飛びたった。
うんうん、きれいになった。あと、ヒョロ男と紅白男とカエル男がいなくなれば、もっとスッキリするんだけどね。
丸くなってブルブル震えているカエル男に目をやり、ついでに、紅白男にも視線を向けた。
「いやー、さすがはルイ王子殿下の守護精霊様でございますね。あたり一面、すっかり見晴らしがよくなりました。いや、まさに、絶景でございますね」
紅白男は満面の笑みを浮かべ、パチパチと手を叩きながら、カエル男へと歩み寄った。
「さてと、ヒュランデル子爵。領都まで歩いて帰るのも大変でございましょう。よろしければ、わたくしの馬車に乗られるといい」
「はぁあぁぅっ!? あわぁっ!? わ、わ、わしの部下たちはっ!?」
うずくまった姿勢のまま、カエル男は汗を振り撒きながら、頭だけをあちこちに向けて、視線を泳がした。
「おや? どなたかと一緒に来られたのですか? わたくしは誰も見ていませんが?」
「み、み、見ていない!? そ、そんなバカな! わ、わし――」
「ヒュランデル子爵! 見たほうがよかったのですか? すくなくとも、わたくしは何も見ておりません。シャルル王子殿下。殿下は何かご覧になりましたか?」
ふいに、紅白男に話しかけられたシャルル王子は、ゆっくりと立ち上がって首をかしげた。それから、いつもの柔和な笑みを浮かべた。
「いや、すこしぼんやりしててね。何かあったのかい?」
「いえ、おそらく、ヒュランデル子爵はお疲れなのでしょう。このような山奥に、おひとりで王子殿下を迎えにまいったのですから。では、先を急ぎましょうか」
そう言うと、紅白男はカエル男をグイッとつかみ上げ、馬車へと引きずっていった。キアラが肩をすくめ、ルイが不思議そうに目を瞬いた。
人の世はホントに――
――わたしにはさっぱりだ。でも、今度は、ルイとキアラにもわからないようだ。
ふたりにわからないのなら、考えるだけムダだろう。わたしは、ぽふっと息を吐き出して、ルイのもとへと戻った。
0
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる