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6.5 おまけ 忘れられないこと
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あれは一体何だったんだ? 猫の耳と尻尾を持った人の娘……。自分でも何を言っているのか分からないが、確かに見た。猫と人のハーフのような娘がいたのだ。
「妖精……?」
尾を振り髪を乱して走り去っていく後ろ姿がとても可憐だった。しかし見失ってしまった。仕方なくパーティー会場へ戻る。頭は先の娘のことでいっぱいだった。
猫と人の間の娘。人の言葉を喋るのだろうか。それとも猫のように鳴くのだろうか。そんなことばかり考えている。
猫は追いかければ逃げると知っていたのに、俺としたことが咄嗟に追いかけてしまった。そっと近付けば良かった、遠目から眺めていれば良かった、どんなに悔やんでも時は戻らない。
パーティーの参加客が帰っていくのを、俺は呆けたまま見届けていた。
「ロベルト様。どうなさいました?」
「え?」
婚約者であるシャーリーが俺を心配そうに見つめていた。彼女は最後まで残っていたらしい。俺は何を考えていたんだ。こんな非の打ちどころもない女性と婚約しておいて、なんて男だ。
しかし今も、シャーリーの頭に猫耳が生えていたらと考えてしまっている。このふわふわの金髪に猫の……。いや、彼女が猫に近付いたところであの衝撃は味わえないだろう。
俺はきちんと挨拶をしてシャーリーを見送った。容姿も仕草も美しく、内面も素晴らしい人だ。だが俺の頭の中は猫娘でいっぱいだ。振り切ろうとしても振り切れない。
自分で自分が信じられなかった。まさか俺が、こんなにも心奪われることがあるだなんて。
何度も後ろ姿を思い浮かべながら眠りについた。夢の中でも彼女を追いかけていて、やっと肩を掴んだ。振り返ったその顔を見る前に目が覚める。
「困ったな、これは……」
飼い猫が近付いてきたので撫でてやる。可愛い声で鳴くのを聞いて息を吐いた。
しばらくは忘れられそうにない……。
「妖精……?」
尾を振り髪を乱して走り去っていく後ろ姿がとても可憐だった。しかし見失ってしまった。仕方なくパーティー会場へ戻る。頭は先の娘のことでいっぱいだった。
猫と人の間の娘。人の言葉を喋るのだろうか。それとも猫のように鳴くのだろうか。そんなことばかり考えている。
猫は追いかければ逃げると知っていたのに、俺としたことが咄嗟に追いかけてしまった。そっと近付けば良かった、遠目から眺めていれば良かった、どんなに悔やんでも時は戻らない。
パーティーの参加客が帰っていくのを、俺は呆けたまま見届けていた。
「ロベルト様。どうなさいました?」
「え?」
婚約者であるシャーリーが俺を心配そうに見つめていた。彼女は最後まで残っていたらしい。俺は何を考えていたんだ。こんな非の打ちどころもない女性と婚約しておいて、なんて男だ。
しかし今も、シャーリーの頭に猫耳が生えていたらと考えてしまっている。このふわふわの金髪に猫の……。いや、彼女が猫に近付いたところであの衝撃は味わえないだろう。
俺はきちんと挨拶をしてシャーリーを見送った。容姿も仕草も美しく、内面も素晴らしい人だ。だが俺の頭の中は猫娘でいっぱいだ。振り切ろうとしても振り切れない。
自分で自分が信じられなかった。まさか俺が、こんなにも心奪われることがあるだなんて。
何度も後ろ姿を思い浮かべながら眠りについた。夢の中でも彼女を追いかけていて、やっと肩を掴んだ。振り返ったその顔を見る前に目が覚める。
「困ったな、これは……」
飼い猫が近付いてきたので撫でてやる。可愛い声で鳴くのを聞いて息を吐いた。
しばらくは忘れられそうにない……。
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