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出会い~城へ
11(説明多め)
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森を抜けるとそこは村だった。よくある田舎の集落という感じだ。家が並んでて、畑があって、人がのんびりしている。目的地は城なので、ここは通り過ぎるだけだ。
「のどかだね~。でも森の近くって危なくないの? 魔物とかいるんでしょ?」
私だったらこんな近くに住みたくない。熊とかでも怖いのに、魔物なんてもっと怖いだろう。村の周囲に守りがあるならともかく、壁も堀も、本当に何も無いのだ。シルフィは迷いなく足を進めながら、
「木はね、地面から吸い上げた魔力を出してるんだよ。だから森の近くに住んだ方が魔力が溜まりやすくて楽なんだって。僕と師匠も、たくさん魔力が欲しいから森の中に住んでるんだよ」
「あーなるほど。研究の為かと思ってた」
「それもある」
「シルフィは物知りだねえ」
感心して言うと、シルフィは得意げに頷いた。
楽な暮らしは危険と隣り合わせということらしい。しかし。のどかな村の風景と、世界が滅びそうという話がいまいち結びつかない。本当にそんな危機的状況なのかな。畑で談笑しているお婆さんたちを見ていると、私がいた世界とそんなに変わらないように見えるけど。
「召喚士はね、魔力をたくさん使うんだ。だから召喚士になれる人は珍しいんだって」
「え、そうなの? じゃあシルフィ凄いんじゃん」
「まあね!」
胸を張る姿も愛らしい。そういえば私にも魔法が使えたりするのかな。使えたらかっこいいのに。自分の身も守れるし。どっちにしろシルフィに教わるのは無理そうだけど、一応聞いてみる。
「私にも魔法って使えないのかな」
「うーん。分かんない。でも魔力の器が無いと無理じゃないかなあ」
「あー。そうか、そうだったね。私は垂れ流してるんだった……」
馬鹿みたいに。レドに言われたことを思い出して複雑な気持ちになる。
「魔力の器もね、人によって大きさが違うんだよ。まあ大体一緒くらいなんだけど、召喚士は器が大きくないとなれないの」
「魔力をいっぱい使うから?」
「そう! 昔みたいに魔力がいっぱいあれば召喚士も多かったかもしれないけど、その辺の魔力を使って召喚するのは結構難しいんだって。召喚のやり方はね、この本に召喚の魔法陣がいっぱい書いてあるんだけど、ここに魔力を通して声をかけると相手が呼びかけに応えてくれて召喚出来るんだよ。魔力がいっぱいあれば魔力で偽物の魔物を作ることも出来るんだ! 後はね、僕は出来ないけど遠くにいる人を召喚することも出来たりとか……」
よく分からん。でもシルフィが楽しそうだからいいか。私はよく分からない話にうんうんと頷き続けて、いつの間にやら村を通り過ぎていた。
「のどかだね~。でも森の近くって危なくないの? 魔物とかいるんでしょ?」
私だったらこんな近くに住みたくない。熊とかでも怖いのに、魔物なんてもっと怖いだろう。村の周囲に守りがあるならともかく、壁も堀も、本当に何も無いのだ。シルフィは迷いなく足を進めながら、
「木はね、地面から吸い上げた魔力を出してるんだよ。だから森の近くに住んだ方が魔力が溜まりやすくて楽なんだって。僕と師匠も、たくさん魔力が欲しいから森の中に住んでるんだよ」
「あーなるほど。研究の為かと思ってた」
「それもある」
「シルフィは物知りだねえ」
感心して言うと、シルフィは得意げに頷いた。
楽な暮らしは危険と隣り合わせということらしい。しかし。のどかな村の風景と、世界が滅びそうという話がいまいち結びつかない。本当にそんな危機的状況なのかな。畑で談笑しているお婆さんたちを見ていると、私がいた世界とそんなに変わらないように見えるけど。
「召喚士はね、魔力をたくさん使うんだ。だから召喚士になれる人は珍しいんだって」
「え、そうなの? じゃあシルフィ凄いんじゃん」
「まあね!」
胸を張る姿も愛らしい。そういえば私にも魔法が使えたりするのかな。使えたらかっこいいのに。自分の身も守れるし。どっちにしろシルフィに教わるのは無理そうだけど、一応聞いてみる。
「私にも魔法って使えないのかな」
「うーん。分かんない。でも魔力の器が無いと無理じゃないかなあ」
「あー。そうか、そうだったね。私は垂れ流してるんだった……」
馬鹿みたいに。レドに言われたことを思い出して複雑な気持ちになる。
「魔力の器もね、人によって大きさが違うんだよ。まあ大体一緒くらいなんだけど、召喚士は器が大きくないとなれないの」
「魔力をいっぱい使うから?」
「そう! 昔みたいに魔力がいっぱいあれば召喚士も多かったかもしれないけど、その辺の魔力を使って召喚するのは結構難しいんだって。召喚のやり方はね、この本に召喚の魔法陣がいっぱい書いてあるんだけど、ここに魔力を通して声をかけると相手が呼びかけに応えてくれて召喚出来るんだよ。魔力がいっぱいあれば魔力で偽物の魔物を作ることも出来るんだ! 後はね、僕は出来ないけど遠くにいる人を召喚することも出来たりとか……」
よく分からん。でもシルフィが楽しそうだからいいか。私はよく分からない話にうんうんと頷き続けて、いつの間にやら村を通り過ぎていた。
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