妖精と初恋

りかちゃん

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伯爵令息視点4

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 それから、学院内で度々彼女を見かけるようになった。

 見かけると、ついつい彼女を目で追ってしまう。

 先日の食堂での彼女との食事は夢のようなひと時で、もうあんな幸運は訪れない、俺の一生の宝物にしようと思っていた。


 しかし、彼女は俺を見つけるとにこりと笑顔を向けてくれるのだ!

 その何と愛らしいことか!言葉を交わすわけではないが、花が綻ぶように笑う彼女の笑顔はとても魅力的であった。


 そんな笑顔を向けられると、ただの挨拶のような物だと分かっていても、彼女が俺に好意を持ってくれているのではないかと期待してしまいそうになった。



 そんな期待が頭を過ぎる度に、何を馬鹿な事を考えているんだと自分を叱責した。


 彼女のような可憐な高嶺の花が、俺のような無骨で垢抜けない男に好意を寄せる訳がない、思いあがるのも甚だしいと何度も何度も叱責した。

 そうしないと、叶わない夢を見てしまいそうだったからだ。

 その叶わない夢はとてもとても甘く魅力的だった。叶わなくても良いから、見続けたいと思ってしまう程には魅力的だったのだ。







 そんな魅力的な夢に翻弄されていたある日の休み時間に廊下を歩いていると、中庭で彼女の声が聞こえた気がした。


 しかし、聞こえた彼女の声が食堂で聞いた声とは違い怒りを含んでいるように聞こえ、どうしても気になってしまい、駄目だとは思いつつも俺は中庭へと向かった。
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