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不穏な影
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凛の実家に帰省した日、康太達は凛の実家で一泊して、その時に凛と康太は結婚を前提に付き合っている事を報告した。
その報告に2人の事情を知っていた祖母の夏樹を含めて、参加していた康太の両親も驚いていた。
だが、最終的には2人が決めた事だからと、素直に祝福して、夏樹に関しては娘の結婚報告に更に感涙して騒がしくその夜を過ごした。
そして、別れを惜しみながらも、康太、凛、鈴音の3人は住んでいる街へと戻った。
戻って来た夜、鈴音は自室のベッドに仰向けて寝っ転がっていた。
「本当に楽しかったな。やっぱりいいね、家族って。今回ので沢山家族が増えた気分だよ」
鈴音はこれまで家族という存在は母親だけだと思っていた。
前住んでいた場所にはお祖母ちゃん的存在の林おばあちゃんはいたが、それはそれとして、やっぱり嬉しい物がある。
「それにしても夏樹お祖母ちゃんも年齢は50歳を超えているのに綺麗だったな。若い時は美人だったろうね。成程。あの人の孫なら私が美人なのも納得だよ」
ナルシスト気味に語る鈴音だが、嬉しさが溢れる様で笑いが止まらない。
「それに、康太さんの両親も優しい人だったな。あんな人達の子なら康太さんが優しいのは納得だよ。血の繋がりがない私を、本当に良くしてくれたんだから。私、幸せ者だな」
だが鈴音の存在は康太の両親は度肝を抜いただろう。
康太の年齢である33歳となれば、一般的に大きくても小学生程度の子供。なのに、いきなり高校生の親になるのだから、反対されるのではと思ったが、そんな事はなく、直ぐに鈴音を受け入れ、帰り際にお小遣いさえもくれる程だ。
「お祖母ちゃんや康太さんの両親もお母さんたちの結婚に反対してないから、このまま2人がゴールインしてくれるといいな。そうなれば、私にも念願のお父さんが出来て、お母さんも幸せなる、まさに一石二鳥だよ」
鈴音は父親の存在に憧れていた。その憧れが現実味を帯びてきたのだから喜びが止まらない。
「そうだ。2人が結婚した時に何かお祝いの物をあげないとね。うーん……何がいいかな? そうだ」
鈴音はスマホを取り出しネットで検索をかける。
「えっと、『親、再婚、贈り物』と。えっと……うわ、これ子供何歳設定なの? 高い物ばかりじゃん。しかもお酒なんかもあるし、未成年では買えない物ばかりだよ……」
探してもお金をあまり持ってない鈴音には買える代物が少なく、諦めた様にスマホを投げる。
「まあ、正式に婚約した時にでもまた考えよう。それにしても、早く結婚しないかなお母さん達。そんで、子供を作ってさ。実は私、お父さんに憧れているけど、弟とか妹とか下の子にも憧れがあるんだよね。お母さんもまだ子供が産める歳だし、康太さんもやっぱり実子が欲しいだろうから―――――」
――――――ズキッ
「……………え?」
今、鈴音の胸に不可解な痛みがあった。鈴音はその痛みがなんなのか分からなかった。
だが、その痛みが波紋を打つ様に鈴音の心を不安が覆う。
「いや……いやいやいや。そんなわけないじゃん。今のは気のせい、気の……せい」
強情に振り払おうとするが一向に不安は晴れない。鈴音は確かめる様に投げたスマホを拾い、検索をかける。
検索を掛けた文字に該当したページを選択をする。何かのまとめサイトの様だ。
鈴音はその中から目に留まった記事を読む……そして、
「いや……いやいや、ありえないよ、こんな事。康太さんに限って……ありえ……ないよ」
鈴音は凛と康太の結婚が現実味を帯びかけた事で、どこか目を逸らしていた部分に気づいてしまった。
そんな鈴音を他所に、また1つ不穏な影が近づいている事に、誰も気づいていない。
「この街にいるんだな。田邊凛……そして、俺の娘がよ」
仲睦まじい親子の写真を握る男の存在など、誰も……。
その報告に2人の事情を知っていた祖母の夏樹を含めて、参加していた康太の両親も驚いていた。
だが、最終的には2人が決めた事だからと、素直に祝福して、夏樹に関しては娘の結婚報告に更に感涙して騒がしくその夜を過ごした。
そして、別れを惜しみながらも、康太、凛、鈴音の3人は住んでいる街へと戻った。
戻って来た夜、鈴音は自室のベッドに仰向けて寝っ転がっていた。
「本当に楽しかったな。やっぱりいいね、家族って。今回ので沢山家族が増えた気分だよ」
鈴音はこれまで家族という存在は母親だけだと思っていた。
前住んでいた場所にはお祖母ちゃん的存在の林おばあちゃんはいたが、それはそれとして、やっぱり嬉しい物がある。
「それにしても夏樹お祖母ちゃんも年齢は50歳を超えているのに綺麗だったな。若い時は美人だったろうね。成程。あの人の孫なら私が美人なのも納得だよ」
ナルシスト気味に語る鈴音だが、嬉しさが溢れる様で笑いが止まらない。
「それに、康太さんの両親も優しい人だったな。あんな人達の子なら康太さんが優しいのは納得だよ。血の繋がりがない私を、本当に良くしてくれたんだから。私、幸せ者だな」
だが鈴音の存在は康太の両親は度肝を抜いただろう。
康太の年齢である33歳となれば、一般的に大きくても小学生程度の子供。なのに、いきなり高校生の親になるのだから、反対されるのではと思ったが、そんな事はなく、直ぐに鈴音を受け入れ、帰り際にお小遣いさえもくれる程だ。
「お祖母ちゃんや康太さんの両親もお母さんたちの結婚に反対してないから、このまま2人がゴールインしてくれるといいな。そうなれば、私にも念願のお父さんが出来て、お母さんも幸せなる、まさに一石二鳥だよ」
鈴音は父親の存在に憧れていた。その憧れが現実味を帯びてきたのだから喜びが止まらない。
「そうだ。2人が結婚した時に何かお祝いの物をあげないとね。うーん……何がいいかな? そうだ」
鈴音はスマホを取り出しネットで検索をかける。
「えっと、『親、再婚、贈り物』と。えっと……うわ、これ子供何歳設定なの? 高い物ばかりじゃん。しかもお酒なんかもあるし、未成年では買えない物ばかりだよ……」
探してもお金をあまり持ってない鈴音には買える代物が少なく、諦めた様にスマホを投げる。
「まあ、正式に婚約した時にでもまた考えよう。それにしても、早く結婚しないかなお母さん達。そんで、子供を作ってさ。実は私、お父さんに憧れているけど、弟とか妹とか下の子にも憧れがあるんだよね。お母さんもまだ子供が産める歳だし、康太さんもやっぱり実子が欲しいだろうから―――――」
――――――ズキッ
「……………え?」
今、鈴音の胸に不可解な痛みがあった。鈴音はその痛みがなんなのか分からなかった。
だが、その痛みが波紋を打つ様に鈴音の心を不安が覆う。
「いや……いやいやいや。そんなわけないじゃん。今のは気のせい、気の……せい」
強情に振り払おうとするが一向に不安は晴れない。鈴音は確かめる様に投げたスマホを拾い、検索をかける。
検索を掛けた文字に該当したページを選択をする。何かのまとめサイトの様だ。
鈴音はその中から目に留まった記事を読む……そして、
「いや……いやいや、ありえないよ、こんな事。康太さんに限って……ありえ……ないよ」
鈴音は凛と康太の結婚が現実味を帯びかけた事で、どこか目を逸らしていた部分に気づいてしまった。
そんな鈴音を他所に、また1つ不穏な影が近づいている事に、誰も気づいていない。
「この街にいるんだな。田邊凛……そして、俺の娘がよ」
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