2 / 58
第一話 助けてください!
しおりを挟む
その日俺は、鬱屈した気分で夜の公園を歩いていた。
身長は百九十センチ超、体重は百キログラム超のデカい男が、黒いスーツを着て安全靴を履き、街中を歩いていると嫌でも目立つ。
人相は悪くないと思うのだが、イケメンと言われたことなどない。
顔がどうだとかは関係なく、そんな風体の男にはマトモな人間は近寄らない。
そんな扱いが嫌なので、人気のない場所を選んで歩いている。
しかし動物には好かれる。
特に大型犬(主にメス)は無条件で懐いてくるので、それだけが救いだ。
若いころは”悪いやつ”をやっつけることを趣味にしていた。
街に出て、”悪いやつ”を挑発して喧嘩を吹っかけられるように振る舞い、相手がその気になれば、得たりとばかり打ち倒す。
実に屈折した青春時代だったが、そんなことをしているところをスカウトされ、今の仕事に就いたのだから、人生とは分からないものだ。
現在は給料を貰って人を殴っている。
俺の名誉のために言うが、仕事は反社会的勢力ではない。
格闘家やボクサーでもない。人を殴るのも時々だ。
仕事は、とある令嬢のボディガードである。
その令嬢は幼いころに誘拐され、銃で撃たれて死にかけた過去があり、心配した父親がボディガードをつけたという経緯がある。
俺の仕事は、件の令嬢が外出している間、常に相棒とともに付近で警戒することであり、それは家に帰るまで続く。
いや、その日までは続いていた。
その日俺は、精神的ショックを受けていた。
俺がボディガードを始めたころは小学生だった令嬢が、近々成人するにあたり、警備体制の変更が計画されることとなった。
要するに俺は男なので、男では入れない場所も多いから都合が悪いと判断されたのだ。
そしてもうひとつ、二十代後半の女であるところの相棒から、“結婚する”と聞かされたためである。
屈託のない笑顔を向けてくれる令嬢のことは、歳の離れた妹か娘のように感じていたし、相棒のことは、”背中を任せられる女”と評価していただけで、どちらにも恋愛感情を持っていたわけではない。
少なくとも表面上は恋愛感情はないと思っていたが、これほどのショックを受けていると言うことは、心の奥では恋慕を抱いていたのかもしれない。心の奥のことなど、自分にだって分かるものか。
少なくとも、十年近くの付き合いで、家族のように身近に感じていた彼女たちから、離れざるを得ない状況になった。
そういうわけで、今日俺は、予想外の大ダメージを負ったのだ。
ムシャクシャしながら公園に向かうと、”悪いやつら”が、”嫌がっている女を無理やり誘っている状況”に“出会った”。
出会いに行ったと言ったほうが正しいかも知れない。
仕事以外で人を殴るのは久しぶりだが、“義を見てせざるは勇なきなり”とか言うから仕方がない。
あぁ、仕方がないとも。
サップという人を殴るための手袋を着け、いざというときのためにボイスレコーダーを作動させた。
スタスタと近づいて確認する。
「お嬢さん、こんばんわ。十人くらいの変な奴らに絡まれているようだが、助けが必要かな?」
実に不自然なセリフだが、仕方がない。
「なんだよオッサン!」
「助けてください!」
「りょうかーい!」
気持ち悪いくらいの、邪悪さに満ちた笑顔であったろう。
若いころは木刀を武器にしていたが、今では相手に木刀を渡して、それを素手で叩き伏せるという、二重に屈折したやりかたになった。
正当防衛を狙ってのことでもあり、歳を経て狡猾になったのかも知れない。
嬉々として木刀を相手に投げるが、元々武装している連中だったので、余計な気遣いだったようだ。
さっさと片付けた俺は、いささかの食い足りなさを感じながら、女に帰宅を促した。
その瞬間。
『ツ……バクカ……ンサ……ルマ!』
突然、ノイズ交じりの声が響いた。
「なに…?」
俺はとっさに振り返ったが、後ろには誰も居ない。
それもそのはずで、その声は頭の中から響いていたのだ。
直後、雷のような衝撃と、目もくらむような光が俺を撃った。
そして光の中には、ブロンドの髪とアイスブルーの眼をした女。
“けっこう可愛い…?”とか考えている場合じゃない。
「ぐ…がっ…!」
これは雷じゃない。
その証拠に、目の前の女は、不思議そうな顔で俺を見ている。
スタンガンでもない。
あれはもっと痛い。
なにより、文字、言語、音声、映像。
あらゆる情報が、奔流のように俺の脳内を駆け巡っていく。
今の俺を具体的にあらわすと、ぐるぐるバットをやった後、サンドバッグをぶつけられて、懐中電灯を至近距離から眼に当てられ、耳は早送りの音楽を大音量で聞かされるという状況に近い。
痛くはないが、難しいことを考えたときのように頭の中がむずむずする。
脳の血管の中を虫が這っているようで、むしろ痛みよりも耐え難い。
それは俺にとって初めての感覚だった。
違法な薬の禁断症状はこんな感じなのだろうか。
「くそ、冗談じゃねぇ…」
堪らなくなった俺は、女を押し退け、人気のないほうへよろけながら歩き出した。
早くここを離れなくては。ここで倒れたら、さっきの奴らに袋叩きにされてしまう。
俺は公園を出て、目立たない路地に向かった。
「あの…、救急車呼びましょうか…?」
あとを心配そうについてくる女。
返事をするのも億劫になり、いよいよ視野が狭まってきた。
“こいつは…やばい…”
コメカミをぐりぐり突いて、なんとか正気を保とうとした瞬間、暗闇が襲ってきた。
「うわっ!」
叫んだと同時に、俺は暗くて深い穴に落ちた。
身長は百九十センチ超、体重は百キログラム超のデカい男が、黒いスーツを着て安全靴を履き、街中を歩いていると嫌でも目立つ。
人相は悪くないと思うのだが、イケメンと言われたことなどない。
顔がどうだとかは関係なく、そんな風体の男にはマトモな人間は近寄らない。
そんな扱いが嫌なので、人気のない場所を選んで歩いている。
しかし動物には好かれる。
特に大型犬(主にメス)は無条件で懐いてくるので、それだけが救いだ。
若いころは”悪いやつ”をやっつけることを趣味にしていた。
街に出て、”悪いやつ”を挑発して喧嘩を吹っかけられるように振る舞い、相手がその気になれば、得たりとばかり打ち倒す。
実に屈折した青春時代だったが、そんなことをしているところをスカウトされ、今の仕事に就いたのだから、人生とは分からないものだ。
現在は給料を貰って人を殴っている。
俺の名誉のために言うが、仕事は反社会的勢力ではない。
格闘家やボクサーでもない。人を殴るのも時々だ。
仕事は、とある令嬢のボディガードである。
その令嬢は幼いころに誘拐され、銃で撃たれて死にかけた過去があり、心配した父親がボディガードをつけたという経緯がある。
俺の仕事は、件の令嬢が外出している間、常に相棒とともに付近で警戒することであり、それは家に帰るまで続く。
いや、その日までは続いていた。
その日俺は、精神的ショックを受けていた。
俺がボディガードを始めたころは小学生だった令嬢が、近々成人するにあたり、警備体制の変更が計画されることとなった。
要するに俺は男なので、男では入れない場所も多いから都合が悪いと判断されたのだ。
そしてもうひとつ、二十代後半の女であるところの相棒から、“結婚する”と聞かされたためである。
屈託のない笑顔を向けてくれる令嬢のことは、歳の離れた妹か娘のように感じていたし、相棒のことは、”背中を任せられる女”と評価していただけで、どちらにも恋愛感情を持っていたわけではない。
少なくとも表面上は恋愛感情はないと思っていたが、これほどのショックを受けていると言うことは、心の奥では恋慕を抱いていたのかもしれない。心の奥のことなど、自分にだって分かるものか。
少なくとも、十年近くの付き合いで、家族のように身近に感じていた彼女たちから、離れざるを得ない状況になった。
そういうわけで、今日俺は、予想外の大ダメージを負ったのだ。
ムシャクシャしながら公園に向かうと、”悪いやつら”が、”嫌がっている女を無理やり誘っている状況”に“出会った”。
出会いに行ったと言ったほうが正しいかも知れない。
仕事以外で人を殴るのは久しぶりだが、“義を見てせざるは勇なきなり”とか言うから仕方がない。
あぁ、仕方がないとも。
サップという人を殴るための手袋を着け、いざというときのためにボイスレコーダーを作動させた。
スタスタと近づいて確認する。
「お嬢さん、こんばんわ。十人くらいの変な奴らに絡まれているようだが、助けが必要かな?」
実に不自然なセリフだが、仕方がない。
「なんだよオッサン!」
「助けてください!」
「りょうかーい!」
気持ち悪いくらいの、邪悪さに満ちた笑顔であったろう。
若いころは木刀を武器にしていたが、今では相手に木刀を渡して、それを素手で叩き伏せるという、二重に屈折したやりかたになった。
正当防衛を狙ってのことでもあり、歳を経て狡猾になったのかも知れない。
嬉々として木刀を相手に投げるが、元々武装している連中だったので、余計な気遣いだったようだ。
さっさと片付けた俺は、いささかの食い足りなさを感じながら、女に帰宅を促した。
その瞬間。
『ツ……バクカ……ンサ……ルマ!』
突然、ノイズ交じりの声が響いた。
「なに…?」
俺はとっさに振り返ったが、後ろには誰も居ない。
それもそのはずで、その声は頭の中から響いていたのだ。
直後、雷のような衝撃と、目もくらむような光が俺を撃った。
そして光の中には、ブロンドの髪とアイスブルーの眼をした女。
“けっこう可愛い…?”とか考えている場合じゃない。
「ぐ…がっ…!」
これは雷じゃない。
その証拠に、目の前の女は、不思議そうな顔で俺を見ている。
スタンガンでもない。
あれはもっと痛い。
なにより、文字、言語、音声、映像。
あらゆる情報が、奔流のように俺の脳内を駆け巡っていく。
今の俺を具体的にあらわすと、ぐるぐるバットをやった後、サンドバッグをぶつけられて、懐中電灯を至近距離から眼に当てられ、耳は早送りの音楽を大音量で聞かされるという状況に近い。
痛くはないが、難しいことを考えたときのように頭の中がむずむずする。
脳の血管の中を虫が這っているようで、むしろ痛みよりも耐え難い。
それは俺にとって初めての感覚だった。
違法な薬の禁断症状はこんな感じなのだろうか。
「くそ、冗談じゃねぇ…」
堪らなくなった俺は、女を押し退け、人気のないほうへよろけながら歩き出した。
早くここを離れなくては。ここで倒れたら、さっきの奴らに袋叩きにされてしまう。
俺は公園を出て、目立たない路地に向かった。
「あの…、救急車呼びましょうか…?」
あとを心配そうについてくる女。
返事をするのも億劫になり、いよいよ視野が狭まってきた。
“こいつは…やばい…”
コメカミをぐりぐり突いて、なんとか正気を保とうとした瞬間、暗闇が襲ってきた。
「うわっ!」
叫んだと同時に、俺は暗くて深い穴に落ちた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。
ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。
高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。
そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。
そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。
弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。
※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。
※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。
Hotランキング 1位
ファンタジーランキング 1位
人気ランキング 2位
100000Pt達成!!
【修正中】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜
水先 冬菜
ファンタジー
「こんなハズレ勇者など、即刻摘み出せ!!!」
某大学に通う俺、如月湊(きさらぎみなと)は漫画や小説とかで言う【勇者召喚】とやらで、異世界に召喚されたらしい。
お約束な感じに【勇者様】とか、【魔王を倒して欲しい】だとか、言われたが--------
ステータスを開いた瞬間、この国の王様っぽい奴がいきなり叫び出したかと思えば、いきなり王宮を摘み出され-------------魔物が多く生息する危険な森の中へと捨てられてしまった。
後で分かった事だが、どうやら俺は【生産系のスキル】を持った勇者らしく。
この世界では、最下級で役に立たないスキルらしい。
えっ? でも、このスキルって普通に最強じゃね?
試しに使ってみると、あまりにも規格外過ぎて、目立ってしまい-------------
いつしか、女神やら、王女やらに求婚されるようになっていき…………。
※前の作品の修正中のものです。
※下記リンクでも投稿中
アルファで見れない方など、宜しければ、そちらでご覧下さい。
https://ncode.syosetu.com/n1040gl/
転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
告知となりますが、2022年8月下旬に『転異世界のアウトサイダー』の3巻が発売となります。
それに伴い、第三巻収録部分を改稿しました。
高校生の佐藤悠斗は、ある日、カツアゲしてきた不良二人とともに異世界に転移してしまう。彼らを召喚したマデイラ王国の王や宰相によると、転移者は高いステータスや強力なユニークスキルを持っているとのことだったが……悠斗のステータスはほとんど一般人以下で、スキルも影を動かすだけだと判明する。後日、迷宮に不良達と潜った際、無能だからという理由で囮として捨てられてしまった悠斗。しかし、密かに自身の能力を進化させていた彼は、そのスキル『影魔法』を駆使して、ピンチを乗り切る。さらには、道中で偶然『召喚』スキルをゲットすると、なんと大天使や神様を仲間にしていくのだった――規格外の仲間と能力で、どんな迷宮も手軽に攻略!? お騒がせ影使いの異世界放浪記、開幕!
いつも応援やご感想ありがとうございます!!
誤字脱字指摘やコメントを頂き本当に感謝しております。
更新につきましては、更新頻度は落とさず今まで通り朝7時更新のままでいこうと思っています。
書籍化に伴い、タイトルを微変更。ペンネームも変更しております。
ここまで辿り着けたのも、みなさんの応援のおかげと思っております。
イラストについても本作には勿体ない程の素敵なイラストもご用意頂きました。
引き続き本作をよろしくお願い致します。
ダンジョン都市を作ろう! 〜異世界で弱小領主になった俺、領地にあったダンジョンを強化していたら、最強領地が出来てた〜
未来人A
ファンタジー
高校生、新谷誠司は異世界召喚に巻き込まれた。
巻き込んだお詫びに国王から領地を貰い、領主になった。
領地にはダンジョンが封印されていた。誠司はその封印を解く。
ダンジョンは階層が分かれていた。
各階層にいるボスを倒すと、その階層を管理することが出来るになる。
一階層の管理を出来るようになった誠司は、習得した『生産魔法』の力も使い、ダンジョンで得た珍しい素材をクラフトしアイテムを作りまくった。
アイテムを売ったりすることで資金が増え、領地はどんどん発展した。
集まって来た冒険者たちの力を借りて、誠司はダンジョン攻略を進めていく。
誠司の領地は、『ダンジョン都市』と呼ばれる大都市へと変貌を遂げていった――――
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す
大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる