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23:親友は三次元美少女
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早乙女ユキハ。身長は152センチ。
さらさら艶々な黒髪ロング、避暑地で白いワンピースを着ていそうな清楚な美少女。
趣味はお菓子作りと小物集め。
好きな食べ物はスパゲティ、嫌いな食べ物は癖の強いもの。
性格は優しく控えめで、ファンタジー世界の学校では図書委員を務めている。
果たして三次元にこんな美少女が存在するでしょうか?
いるわけがないと思いきや――いるんですよこれが。
早乙女ユキハがそのまま三次元に飛び出してきたような美少女はいま、私の目の前でスパゲティを食べている。
場所は冷房の利いた涼しいショッピングモール内のフードコート。
長い睫毛を伏せ、スプーンの上でくるくるとフォークを回している彼女の名前は末浪有紗。
白いワンピースならぬ、小花柄のワンピースを着た彼女を隣の席の大学生らしき男性グループがちらちら見ている。
あの子可愛いなって視線が言ってる。
学校でもそう。可憐な彼女はいつだって注目の的だ。
「凄いねえ。ネットゲームの結婚相手がクラスメイトって、そんなことあるんだ。ある意味宝くじに当たるよりも凄い確率じゃない?」
有紗ちゃんは小鳥のように小首を傾げた。
その仕草も可愛い。
美少女は何をしても可愛い。
「私もそう思う。ほんとに、ほんっとーにびっくりした」
「それで、その後どうなったの?」
「ちょっと気まずかったけど、でも、いまも影山くんとはパートナーとして普通に遊んでるよ。正体がバレてるのに男のフリするのもなあと思って、いまはギルメンにも女ですってバラして、素の状態で遊んでる」
「影山くんも?」
「うん。『スピカ』は女だとすっかり信じてたらしいギルメンはショック受けてたみたいだけどね」
私は笑って、炭酸ジュースを飲んだ。
私のトレーには空になったハンバーガーの包みと、食べかけのポテトがある。
「……影山くんとはバイト先も一緒なんでしょ? なんか進展とかないの?」
「進展って?」
本気でわからず、私は訊き返した。
「…………。うん。いや、なんでもない」
有紗ちゃんは首を振って、パスタを食べ始めた。
ポストを齧りながら、私は話題を変えた。
「明後日は花火大会だね、行く?」
ショッピングモールの掲示板にもポスターが貼ってあった。
「うん。例年通り家族と行くよ」
「私も。お兄ちゃん帰ってきてるから、皆で行くつもり」
大学生の兄はいまごろ家でゴロゴロしていることだろう。
「そうなんだ。日菜子ちゃんの家族は本当に仲良いよね。私一人っ子だから、きょうだい欲しかったな。羨ましい」
「お兄ちゃんが欲しかった?」
「うーん、どっちかっていうとお姉ちゃんか妹かな。いとこも女の子ばかりだから、年の近い兄弟が家にいるっていうのは想像つかない。男性はちょっと苦手だし」
有紗ちゃんは過去に「好きな子ほどいじめたい」という厄介な男子に絡まれたことがあり、いまだに男性に苦手意識がある。
そのせいか、物凄くモテるのに告白の返事はすべて「ごめんなさい」だ。
私は思った。
有紗ちゃんと影山くんって、相性良いんじゃないかな?
有紗ちゃんは外見・性格ともに影山くんの理想ぴったりだし。
異性が苦手っていうのも同じだし。
「……ねえ有紗ちゃん。影山くんをどう思う?」
「え? どうって。ただのクラスメイトとしか思わないけど」
「私、有紗ちゃんと影山くんって合うんじゃないかなーと思ったんだけど」
「まさか。合うのは私じゃなくて日菜子ちゃんでしょ。ゲームの中で結婚までしてるんだよ?」
「いや、それは偶然――」
「世界中にいるゲームプレーヤーの中で、影山くんが良いと思って結婚したんでしょ? 彼との縁は大事にしたほうがいいよ」
さらさら艶々な黒髪ロング、避暑地で白いワンピースを着ていそうな清楚な美少女。
趣味はお菓子作りと小物集め。
好きな食べ物はスパゲティ、嫌いな食べ物は癖の強いもの。
性格は優しく控えめで、ファンタジー世界の学校では図書委員を務めている。
果たして三次元にこんな美少女が存在するでしょうか?
いるわけがないと思いきや――いるんですよこれが。
早乙女ユキハがそのまま三次元に飛び出してきたような美少女はいま、私の目の前でスパゲティを食べている。
場所は冷房の利いた涼しいショッピングモール内のフードコート。
長い睫毛を伏せ、スプーンの上でくるくるとフォークを回している彼女の名前は末浪有紗。
白いワンピースならぬ、小花柄のワンピースを着た彼女を隣の席の大学生らしき男性グループがちらちら見ている。
あの子可愛いなって視線が言ってる。
学校でもそう。可憐な彼女はいつだって注目の的だ。
「凄いねえ。ネットゲームの結婚相手がクラスメイトって、そんなことあるんだ。ある意味宝くじに当たるよりも凄い確率じゃない?」
有紗ちゃんは小鳥のように小首を傾げた。
その仕草も可愛い。
美少女は何をしても可愛い。
「私もそう思う。ほんとに、ほんっとーにびっくりした」
「それで、その後どうなったの?」
「ちょっと気まずかったけど、でも、いまも影山くんとはパートナーとして普通に遊んでるよ。正体がバレてるのに男のフリするのもなあと思って、いまはギルメンにも女ですってバラして、素の状態で遊んでる」
「影山くんも?」
「うん。『スピカ』は女だとすっかり信じてたらしいギルメンはショック受けてたみたいだけどね」
私は笑って、炭酸ジュースを飲んだ。
私のトレーには空になったハンバーガーの包みと、食べかけのポテトがある。
「……影山くんとはバイト先も一緒なんでしょ? なんか進展とかないの?」
「進展って?」
本気でわからず、私は訊き返した。
「…………。うん。いや、なんでもない」
有紗ちゃんは首を振って、パスタを食べ始めた。
ポストを齧りながら、私は話題を変えた。
「明後日は花火大会だね、行く?」
ショッピングモールの掲示板にもポスターが貼ってあった。
「うん。例年通り家族と行くよ」
「私も。お兄ちゃん帰ってきてるから、皆で行くつもり」
大学生の兄はいまごろ家でゴロゴロしていることだろう。
「そうなんだ。日菜子ちゃんの家族は本当に仲良いよね。私一人っ子だから、きょうだい欲しかったな。羨ましい」
「お兄ちゃんが欲しかった?」
「うーん、どっちかっていうとお姉ちゃんか妹かな。いとこも女の子ばかりだから、年の近い兄弟が家にいるっていうのは想像つかない。男性はちょっと苦手だし」
有紗ちゃんは過去に「好きな子ほどいじめたい」という厄介な男子に絡まれたことがあり、いまだに男性に苦手意識がある。
そのせいか、物凄くモテるのに告白の返事はすべて「ごめんなさい」だ。
私は思った。
有紗ちゃんと影山くんって、相性良いんじゃないかな?
有紗ちゃんは外見・性格ともに影山くんの理想ぴったりだし。
異性が苦手っていうのも同じだし。
「……ねえ有紗ちゃん。影山くんをどう思う?」
「え? どうって。ただのクラスメイトとしか思わないけど」
「私、有紗ちゃんと影山くんって合うんじゃないかなーと思ったんだけど」
「まさか。合うのは私じゃなくて日菜子ちゃんでしょ。ゲームの中で結婚までしてるんだよ?」
「いや、それは偶然――」
「世界中にいるゲームプレーヤーの中で、影山くんが良いと思って結婚したんでしょ? 彼との縁は大事にしたほうがいいよ」
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