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71:猫を探して(2)
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アマーリエは三人の貴婦人と花壇の前のベンチで談笑していた。
茶髪を結い上げた女性が四人から少し離れた場所で八重咲の白薔薇を鑑賞しており、最後の一人は東屋の中にいた。
彼女を見た瞬間、新菜は目を見張った。
(綺麗な人!)
アマーリエも抜群の美女だが、こちらも負けず劣らず美しい。
ただし美しさの種類が違う。
アマーリエが清楚な白百合なら、こちらは大輪の薔薇だ。
年齢は十七、八歳くらいだろうか。
丁寧に巻かれた金髪。サファイアブルーの瞳。ふっくらとした唇には赤い紅を引いており、それがまた色っぽい。
真珠があしらわれた髪飾りに、胸元を飾る大粒のダイヤモンド。
イヤリングはぶどうのように連なるアメジスト。
左手では金の三連ブレスレットが煌いている。
あちこちに大きなリボンが飾られた派手な紫色のドレスを、彼女はその美貌で以て見事に着こなしていた。
彼女の膝の上にミミがいた。背中を撫でられながら丸まっている。
ミミには青い首輪が嵌められていた。
侯爵邸に来た翌日に、イグニスがトウカにプレゼントした物だ。首輪をしていれば飼い猫だとすぐにわかる。万が一ミミが迷子になったときのために、首輪の裏側には名前や住所が書いてあった。
「いたね、ミミ。美女に撫でられてくつろいでるみたいだし、そっとしておこう。茶会がお開きになったら戻って来るよ」
「……うん。でも、ミミ、くつろいでるっていうか……ちょっと怖がってる……緊張してるみたいなんだけど」
トウカは真顔でミミを観察している。
「え、そう?」
新菜の目には美女の膝の上で丸くなり、リラックスしているようにしか見えないのだが。
これまでずっと傍にいたトウカだからこそわかることがあるのかもしれない。
金髪美女の唇が動いた。
ミミに向かって何か語り掛けているようだが、距離があるため何を言っているかはわからない。新菜に読唇術の心得はなかった。
「でも、本当に嫌がってるならミミだって逃げるでしょう。大丈夫よ、そんなに心配しなくても。行こう」
「……うん」
トウカは心配そうに振り返りつつも、新菜に手を引かれるまま、その場を離れた。
茶髪を結い上げた女性が四人から少し離れた場所で八重咲の白薔薇を鑑賞しており、最後の一人は東屋の中にいた。
彼女を見た瞬間、新菜は目を見張った。
(綺麗な人!)
アマーリエも抜群の美女だが、こちらも負けず劣らず美しい。
ただし美しさの種類が違う。
アマーリエが清楚な白百合なら、こちらは大輪の薔薇だ。
年齢は十七、八歳くらいだろうか。
丁寧に巻かれた金髪。サファイアブルーの瞳。ふっくらとした唇には赤い紅を引いており、それがまた色っぽい。
真珠があしらわれた髪飾りに、胸元を飾る大粒のダイヤモンド。
イヤリングはぶどうのように連なるアメジスト。
左手では金の三連ブレスレットが煌いている。
あちこちに大きなリボンが飾られた派手な紫色のドレスを、彼女はその美貌で以て見事に着こなしていた。
彼女の膝の上にミミがいた。背中を撫でられながら丸まっている。
ミミには青い首輪が嵌められていた。
侯爵邸に来た翌日に、イグニスがトウカにプレゼントした物だ。首輪をしていれば飼い猫だとすぐにわかる。万が一ミミが迷子になったときのために、首輪の裏側には名前や住所が書いてあった。
「いたね、ミミ。美女に撫でられてくつろいでるみたいだし、そっとしておこう。茶会がお開きになったら戻って来るよ」
「……うん。でも、ミミ、くつろいでるっていうか……ちょっと怖がってる……緊張してるみたいなんだけど」
トウカは真顔でミミを観察している。
「え、そう?」
新菜の目には美女の膝の上で丸くなり、リラックスしているようにしか見えないのだが。
これまでずっと傍にいたトウカだからこそわかることがあるのかもしれない。
金髪美女の唇が動いた。
ミミに向かって何か語り掛けているようだが、距離があるため何を言っているかはわからない。新菜に読唇術の心得はなかった。
「でも、本当に嫌がってるならミミだって逃げるでしょう。大丈夫よ、そんなに心配しなくても。行こう」
「……うん」
トウカは心配そうに振り返りつつも、新菜に手を引かれるまま、その場を離れた。
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