27 / 47
27:ねえ、星より月より綺麗なものを見たんだ(1)
しおりを挟む
◆ ◆ ◆
――雪が降りそうなほど寒い夜だったことを覚えている。
背中を預けた壁も地面も氷のように冷たかったけれど、深刻な栄養不足に陥った身体にはもう動くだけの気力も体力も残っていなかった。
意識が朦朧とする。
遠からず自分は死ぬ。実感としてそれがわかる。
でも、だからなんだというのか――
貧相な子どもが一人死んだところで世界は何も変わらない。
自分などいないほうがよほど世界はうまく綺麗に回るだろう。
何しろ放火の罪を犯しておきながら、罪を償うこともせずに逃げた犯罪者なのだから。
通りすがりの人間は路地裏に蹲っている自分を見なかったことにして歩いて行く。
中には露骨に顔をしかめる人間もいたし、何が可笑しいのか指を指して笑う人間もいた。
でも、みんないなくなった。
暗い路地裏に、いまは一人だ。どうしようもなく、独りだ。
あまりにも暗くて、寒くて、寂しかったからか。
ふと、星が見たいと思った。
ただ一つ、小さな星でもいい。夜空に輝く星が見たいと、そう思って――残された力を振り絞って首を動かし、空を見上げた。
空は分厚い雲に覆われていて、見るべき価値があるものなど何もなかった。
満天の星や月など実在しないかのような、ただ暗く、寂しいだけの夜空。
出来損ないの笑みが零れた。
ああ、全く、神様というやつはとことん意地が悪い。
最期くらい、綺麗な景色を見せてくれたっていいのに――そこで意識が途切れた。
「…………×××××?」
誰かの声で目を覚ました。
しかし、相手が何を言っているのかわからない。
その声の主は――少女らしき高い声は――自分の知らない外国語を喋っていた。
苦労して重い瞼を持ち上げる。
見知らぬ少女が自分の腕を掴んで何か言っていた。
眉尻を下げ、酷く心配そうな、気遣うような表情でこちらを見ている。
路地裏の隅には外灯が立っていて、その少女は外灯が照らすギリギリの範囲にいた。
ピンクローズの髪に白銀の《魔力環》が浮かんだ銀色の瞳――彼女も自分と同じ魔女。
裕福な家の子どもらしく、彼女は上等な服の上に厚手のケープを羽織り、胸元に赤い宝石が象嵌された蝶のブローチをつけていた。
「××××? ×××××。×××?」
なんだろう、何を言っているのか。さっぱりわからない。
「××××」
彼女とは違う声が聞こえた。
のろのろと視線を動かしてそちらを見れば、鏡映しのように彼女と良く似た少女が立っていた。
違うのは髪質と目の色だけ。
自分の手を掴んでいる少女は艶やかな直毛の銀目で、少し離れた場所に立つもう一人の少女は豊かに波打つ癖っ毛の青目。
双子なのか顔立ちは非常によく似ていても、二人の性格はまるで違うようだった。
銀目の少女はわかりやすく自分を心配しているが、青目の少女はわかりやすく自分を嫌悪している。
悪臭に耐えられないといわんばかりに鼻をつまみ、立ち去ろうとした青目の少女を銀目の少女が跪いてまで引き留めた。
銀目の少女に頼まれたらしく、青目の少女は嫌そうな顔をしながらも自分に向かって手を突き出し、魔法を使った。
全身が淡い金色の光に包まれる。
昼間、通行人に突き飛ばされて転んだ際にできた腕の傷が消えた。
だが、それだけだ。自分は栄養失調で死にかけているのだから、治癒魔法をかけられたところで何の解決にもならない。
それが治癒魔法を使うための条件だったのか、青目の少女は銀目の少女の胸元からブローチを毟り取ってどこかへと歩き出した。
銀目の少女も彼女の後に続いていなくなるのだろう。
そして、また自分は独りに還る。
視界が暗くなっていく。
意識を保っていられず、死神に誘われるまま目を閉じようとしたそのとき、彼女は予想外の行動を取った。
服が汚れるのも構わず、自分を背負ったのだ。
さすがにこれには驚いた。
一体何のつもりかと困惑し、揺り起こされるように脳が覚醒した。
名前も知らない少女はおれを背負って歩き出す。
どこに連れて行く気なのか。
おれを助けたところで何も良いことはないのに。
「×××××。××××××。×××××」
意味不明な台詞の中で、彼女はある言葉を繰り返していた。
「××××。×××。××××、×××××」
察するに、彼女は『大丈夫』と言っているようだった。
大丈夫、きっと助ける。大丈夫、私がなんとかする。何も心配いらない。大丈夫――訳すとこんなところか。
自分が彼女の立場だったなら、相手を安心させるために言うだろう言葉。
自分と同い年くらいの男を背負って歩くのは相当に辛いはずだ。
腕は痺れ、足腰は痛み、やがて重みに耐えられなくなるはずなのに、彼女は何度もおれを背負い直し、意地でも下ろそうとはしなかった。
「……なあ。もう下ろしていいよ」
彼女の首筋に浮かぶ玉のような汗を見て、おれは声をかけた。
――雪が降りそうなほど寒い夜だったことを覚えている。
背中を預けた壁も地面も氷のように冷たかったけれど、深刻な栄養不足に陥った身体にはもう動くだけの気力も体力も残っていなかった。
意識が朦朧とする。
遠からず自分は死ぬ。実感としてそれがわかる。
でも、だからなんだというのか――
貧相な子どもが一人死んだところで世界は何も変わらない。
自分などいないほうがよほど世界はうまく綺麗に回るだろう。
何しろ放火の罪を犯しておきながら、罪を償うこともせずに逃げた犯罪者なのだから。
通りすがりの人間は路地裏に蹲っている自分を見なかったことにして歩いて行く。
中には露骨に顔をしかめる人間もいたし、何が可笑しいのか指を指して笑う人間もいた。
でも、みんないなくなった。
暗い路地裏に、いまは一人だ。どうしようもなく、独りだ。
あまりにも暗くて、寒くて、寂しかったからか。
ふと、星が見たいと思った。
ただ一つ、小さな星でもいい。夜空に輝く星が見たいと、そう思って――残された力を振り絞って首を動かし、空を見上げた。
空は分厚い雲に覆われていて、見るべき価値があるものなど何もなかった。
満天の星や月など実在しないかのような、ただ暗く、寂しいだけの夜空。
出来損ないの笑みが零れた。
ああ、全く、神様というやつはとことん意地が悪い。
最期くらい、綺麗な景色を見せてくれたっていいのに――そこで意識が途切れた。
「…………×××××?」
誰かの声で目を覚ました。
しかし、相手が何を言っているのかわからない。
その声の主は――少女らしき高い声は――自分の知らない外国語を喋っていた。
苦労して重い瞼を持ち上げる。
見知らぬ少女が自分の腕を掴んで何か言っていた。
眉尻を下げ、酷く心配そうな、気遣うような表情でこちらを見ている。
路地裏の隅には外灯が立っていて、その少女は外灯が照らすギリギリの範囲にいた。
ピンクローズの髪に白銀の《魔力環》が浮かんだ銀色の瞳――彼女も自分と同じ魔女。
裕福な家の子どもらしく、彼女は上等な服の上に厚手のケープを羽織り、胸元に赤い宝石が象嵌された蝶のブローチをつけていた。
「××××? ×××××。×××?」
なんだろう、何を言っているのか。さっぱりわからない。
「××××」
彼女とは違う声が聞こえた。
のろのろと視線を動かしてそちらを見れば、鏡映しのように彼女と良く似た少女が立っていた。
違うのは髪質と目の色だけ。
自分の手を掴んでいる少女は艶やかな直毛の銀目で、少し離れた場所に立つもう一人の少女は豊かに波打つ癖っ毛の青目。
双子なのか顔立ちは非常によく似ていても、二人の性格はまるで違うようだった。
銀目の少女はわかりやすく自分を心配しているが、青目の少女はわかりやすく自分を嫌悪している。
悪臭に耐えられないといわんばかりに鼻をつまみ、立ち去ろうとした青目の少女を銀目の少女が跪いてまで引き留めた。
銀目の少女に頼まれたらしく、青目の少女は嫌そうな顔をしながらも自分に向かって手を突き出し、魔法を使った。
全身が淡い金色の光に包まれる。
昼間、通行人に突き飛ばされて転んだ際にできた腕の傷が消えた。
だが、それだけだ。自分は栄養失調で死にかけているのだから、治癒魔法をかけられたところで何の解決にもならない。
それが治癒魔法を使うための条件だったのか、青目の少女は銀目の少女の胸元からブローチを毟り取ってどこかへと歩き出した。
銀目の少女も彼女の後に続いていなくなるのだろう。
そして、また自分は独りに還る。
視界が暗くなっていく。
意識を保っていられず、死神に誘われるまま目を閉じようとしたそのとき、彼女は予想外の行動を取った。
服が汚れるのも構わず、自分を背負ったのだ。
さすがにこれには驚いた。
一体何のつもりかと困惑し、揺り起こされるように脳が覚醒した。
名前も知らない少女はおれを背負って歩き出す。
どこに連れて行く気なのか。
おれを助けたところで何も良いことはないのに。
「×××××。××××××。×××××」
意味不明な台詞の中で、彼女はある言葉を繰り返していた。
「××××。×××。××××、×××××」
察するに、彼女は『大丈夫』と言っているようだった。
大丈夫、きっと助ける。大丈夫、私がなんとかする。何も心配いらない。大丈夫――訳すとこんなところか。
自分が彼女の立場だったなら、相手を安心させるために言うだろう言葉。
自分と同い年くらいの男を背負って歩くのは相当に辛いはずだ。
腕は痺れ、足腰は痛み、やがて重みに耐えられなくなるはずなのに、彼女は何度もおれを背負い直し、意地でも下ろそうとはしなかった。
「……なあ。もう下ろしていいよ」
彼女の首筋に浮かぶ玉のような汗を見て、おれは声をかけた。
538
お気に入りに追加
1,704
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
聖なる言霊を小言と馬鹿にされ婚約破棄されましたが、普段通りに仕事していたら辺境伯様に溺愛されています
青空あかな
恋愛
男爵令嬢のポーラは、詩を詠うことで願った現象を起こす【言霊】という珍しいスキルを持っていた。
スキルを活かし、家の離れで人々の悩みを解決する”言霊館”というお店を開いて、家計を助ける毎日を送る。
そんなポーラは婚約者と義妹たちにも【言霊】スキルで平穏な日々を願っていたが、ある日「小言が多い」と婚約破棄され、家を追い出されてしまう。
ポーラと同じ言葉のスキルを持つ義妹に店を奪われ、挙句の果てには、辺境伯のメイドに勝手に募集に出されていた。
“寡黙の辺境伯”という、誰とも話さず、何を考えているのかわからないと恐怖される辺境伯の屋敷に……。
ポーラは恐れながら屋敷へ行くも、【言霊】スキルの特別な力を示し、無事メイドとして勤めることになる。
屋敷で暮らすようになってから、フェンリルの病気を癒したり、街の火事を静めたり、枯れそうな古代樹を救ったり……ポーラは【言霊】スキルで屋敷の問題を次々と解決する。
日々、他人のため、そして辺境伯のために頑張るポーラを、“寡黙の辺境伯”は静かに溺愛し始める。
一方、義妹たちの毎日は、ポーラを追い出してから少しずつ暗い影が差す。
お店をポーラから奪うも、最初のお客さんである少女の大切な花を枯らして泣かす始末。
義妹のスキルは他人を不幸にするスキルだった。
ついには王様の持病をも悪化させ、瀕死の状態にさせてしまう。
※HOTランキング2位、ありがとうございます!
【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
【完結】その溺愛は聞いてない! ~やり直しの二度目の人生は悪役令嬢なんてごめんです~
Rohdea
恋愛
私が最期に聞いた言葉、それは……「お前のような奴はまさに悪役令嬢だ!」でした。
第1王子、スチュアート殿下の婚約者として過ごしていた、
公爵令嬢のリーツェはある日、スチュアートから突然婚約破棄を告げられる。
その傍らには、最近スチュアートとの距離を縮めて彼と噂になっていた平民、ミリアンヌの姿が……
そして身に覚えのあるような無いような罪で投獄されたリーツェに待っていたのは、まさかの処刑処分で──
そうして死んだはずのリーツェが目を覚ますと1年前に時が戻っていた!
理由は分からないけれど、やり直せるというのなら……
同じ道を歩まず“悪役令嬢”と呼ばれる存在にならなければいい!
そう決意し、過去の記憶を頼りに以前とは違う行動を取ろうとするリーツェ。
だけど、何故か過去と違う行動をする人が他にもいて───
あれ?
知らないわよ、こんなの……聞いてない!
不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるイルリアは、婚約者から婚約破棄された。
彼は、イルリアの妹が婚約破棄されたことに対してひどく心を痛めており、そんな彼女を救いたいと言っているのだ。
混乱するイルリアだったが、婚約者は妹と仲良くしている。
そんな二人に押し切られて、イルリアは引き下がらざるを得なかった。
当然イルリアは、婚約者と妹に対して腹を立てていた。
そんな彼女に声をかけてきたのは、公爵令息であるマグナードだった。
彼の助力を得ながら、イルリアは婚約者と妹に対する抗議を始めるのだった。
※誤字脱字などの報告、本当にありがとうございます。いつも助かっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる