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第二章 地底都市編
第四話「十二使徒・マルクト」
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向けられた敵意に対し、ジュドたちは武器を抜く。
続く戦闘で万全の状態ではなかったが、十分に戦えるだけの体力は持ち合わせている。
合図と同時にマルクトと名乗る男の周りにいたローブの集団が五人に襲い掛かって来た。
人間のような形をしていたそれは手と思われる部分から〝呼び声〟のような黒い触手を生やし、顔を仮面で覆っている。
手下が戦っているのマルクトは顎に手を当て、見物していた。
仮面の連中はそこまで強くないが、五人を分断するように立ち回っていて非常に厄介だ。
「はあッ!!」
ジュドの剣が敵の仮面が斬り、半分に割れた仮面が地面に落ちる。
「なん…だ、これは…」
その中身にジュドは驚愕した。なんと、人間だったのだ。
人とは思えない程の変容を遂げている〝それ〟を見てマルクトが言葉を放つ。
「やっぱり不完全ねぇ…」
まるでそれらを道具のように扱い、高みの見物をしているマルクトに苛立ちを覚えたジュドは一目散に斬りかかる。
剣撃の速度を上げ、確実に入った。
そう思った瞬間、ジュドは無数の鎖に捕縛される。
すぐさま鎖を斬ろうとしたが、鎖が剣を弾く。
とてつもない硬度…、鎖とは思えない硬さにジュドは驚いた。
「これは〝虜囚の縛鎖〟っていう強力な呪力で覆われた鎖なのよ。簡単には斬れないわ」
そう告げると、男は瞬時にジュドの懐へ強烈な張り手を叩きこむ。
鈍い音が身体を突き抜け、ジュドはその場に倒れ込んでしまう。
口からは赤い血が流れ、殴られた腹部には謎の痣が浮かび上がってくる。
マルクトはジュドを鎖に繋いだまま、勢いよく壁に投げ飛ばした。
「ジュドッ…!」
他の仲間が助けに入ろうとするが、手下がそれを阻止するように攻撃してくる。
「こいつら…邪魔!!」
マルクトが投げ飛ばした標的から次の標的に移ろうと他の四人の方を見た瞬間、背後から受け身をとって反撃しに来たジュドに二連撃斬り込まれる。
―ザシュ。
マルクトの背中を斬ったジュドは、自分の背中が斬られたような感覚に襲われる。
その痛みから再び地面に倒れ込んだ。
「何が起こっているのかわからないって顔をしているわね」
斬ったはずのマルクトが平気な顔でにやりと笑う。
確かに男の背中には斬り傷がある。
しかし、痛みはジュドにも返ってきているのだ。
「どういうことだ…」
倒れ込むジュドを助けにダグラスとシスティがマルクトに追撃をかける。
マルクトはそれを軽々と避け、後方に残ったモーリスとルシアに狙いを定める。
「《氷の魔弾》」
「《泥沼の障壁》」
モーリスが守りに入り、ルシアはその後ろから攻撃魔術を詠唱する。
二人の攻防空しく、放たれた氷魔術は右手の鎖で相殺され、伸縮自在に長さを変える鎖はモーリスの妨害魔術を貫いた後、二人の自由を奪う。
そして、もう片方の鎖を自身の腕に巻きつけ、ダグラスとシスティの攻撃をも防いだ。
システィは蹴り上げられ、ダグラスも右手の残った鎖で地面に押さえ付けられてしまう。
たった数秒で五人全員が壊滅させられたのだ。
「これでおしまいね」
マルクトはジュド以外の四人に手で触れた後、全員を鎖で投げ飛ばす。
「大丈…夫か…みんな」
触られた箇所にそれぞれ痣が浮かび上がる。
投げ飛ばされた四人は致命傷には至っていなかったためすぐに起き上がりマルクトへ反撃仕掛けるが、次々と倒れていく。
「なんであいつは立っていられるのよ…、攻撃が効いてないの…?」
システィが倒れ込んだ状態で疑問に思う。
「残念ねぇ、あなた達程度じゃ私には勝てないわ。幕引きよ」
止めを刺すために伸びて来る鎖がジュドに直撃しようとした。
―その時。
目の前に一人の男が現れ、凄まじい速さで鎖を叩き斬った。
続く戦闘で万全の状態ではなかったが、十分に戦えるだけの体力は持ち合わせている。
合図と同時にマルクトと名乗る男の周りにいたローブの集団が五人に襲い掛かって来た。
人間のような形をしていたそれは手と思われる部分から〝呼び声〟のような黒い触手を生やし、顔を仮面で覆っている。
手下が戦っているのマルクトは顎に手を当て、見物していた。
仮面の連中はそこまで強くないが、五人を分断するように立ち回っていて非常に厄介だ。
「はあッ!!」
ジュドの剣が敵の仮面が斬り、半分に割れた仮面が地面に落ちる。
「なん…だ、これは…」
その中身にジュドは驚愕した。なんと、人間だったのだ。
人とは思えない程の変容を遂げている〝それ〟を見てマルクトが言葉を放つ。
「やっぱり不完全ねぇ…」
まるでそれらを道具のように扱い、高みの見物をしているマルクトに苛立ちを覚えたジュドは一目散に斬りかかる。
剣撃の速度を上げ、確実に入った。
そう思った瞬間、ジュドは無数の鎖に捕縛される。
すぐさま鎖を斬ろうとしたが、鎖が剣を弾く。
とてつもない硬度…、鎖とは思えない硬さにジュドは驚いた。
「これは〝虜囚の縛鎖〟っていう強力な呪力で覆われた鎖なのよ。簡単には斬れないわ」
そう告げると、男は瞬時にジュドの懐へ強烈な張り手を叩きこむ。
鈍い音が身体を突き抜け、ジュドはその場に倒れ込んでしまう。
口からは赤い血が流れ、殴られた腹部には謎の痣が浮かび上がってくる。
マルクトはジュドを鎖に繋いだまま、勢いよく壁に投げ飛ばした。
「ジュドッ…!」
他の仲間が助けに入ろうとするが、手下がそれを阻止するように攻撃してくる。
「こいつら…邪魔!!」
マルクトが投げ飛ばした標的から次の標的に移ろうと他の四人の方を見た瞬間、背後から受け身をとって反撃しに来たジュドに二連撃斬り込まれる。
―ザシュ。
マルクトの背中を斬ったジュドは、自分の背中が斬られたような感覚に襲われる。
その痛みから再び地面に倒れ込んだ。
「何が起こっているのかわからないって顔をしているわね」
斬ったはずのマルクトが平気な顔でにやりと笑う。
確かに男の背中には斬り傷がある。
しかし、痛みはジュドにも返ってきているのだ。
「どういうことだ…」
倒れ込むジュドを助けにダグラスとシスティがマルクトに追撃をかける。
マルクトはそれを軽々と避け、後方に残ったモーリスとルシアに狙いを定める。
「《氷の魔弾》」
「《泥沼の障壁》」
モーリスが守りに入り、ルシアはその後ろから攻撃魔術を詠唱する。
二人の攻防空しく、放たれた氷魔術は右手の鎖で相殺され、伸縮自在に長さを変える鎖はモーリスの妨害魔術を貫いた後、二人の自由を奪う。
そして、もう片方の鎖を自身の腕に巻きつけ、ダグラスとシスティの攻撃をも防いだ。
システィは蹴り上げられ、ダグラスも右手の残った鎖で地面に押さえ付けられてしまう。
たった数秒で五人全員が壊滅させられたのだ。
「これでおしまいね」
マルクトはジュド以外の四人に手で触れた後、全員を鎖で投げ飛ばす。
「大丈…夫か…みんな」
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投げ飛ばされた四人は致命傷には至っていなかったためすぐに起き上がりマルクトへ反撃仕掛けるが、次々と倒れていく。
「なんであいつは立っていられるのよ…、攻撃が効いてないの…?」
システィが倒れ込んだ状態で疑問に思う。
「残念ねぇ、あなた達程度じゃ私には勝てないわ。幕引きよ」
止めを刺すために伸びて来る鎖がジュドに直撃しようとした。
―その時。
目の前に一人の男が現れ、凄まじい速さで鎖を叩き斬った。
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