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プロローグ
プロローグ「少年の夢」
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遥か昔、世界は邪神によって支配されていた。
いつしか邪神同士は己が支配圏を広げるために大規模な争いを始める。
そうして、ある邪神は、
「自分の代わりに敵を殺すことのできる生命を創りだせばいいのではないか」
という疑問から〝人族、亜人、魔物〟などの生命を創り出した。
ある邪神は、
「一撃で敵を屠ることのできる道具を創ればいいのではないか」
という感性から〝強力な武具〟を創り出した。
ある邪神は、
「接近せずに敵を葬ることのできる方法を創ればいいのではないか」
という発想から〝魔術、呪術〟を創り出した。
しかし、他の創造物に比べて〝生命〟たちはあまりにも脆弱だった。
邪神は〝生命〟をより強力なものにすべく、己が力の一端を彼らへと分け与える。
後に、与えられたその力は〝能力〟と呼ばれるようになった。
戦いが続いたある日―。
〝生命〟たちは気づき始める。
「自分たちは何のために戦っているのだろうか」
〝能力〟が与えれた影響でそれらには知性が宿ったのだ。
人、亜人は共に手を取り合い、造物主に対して反旗を翻す。
旧神と呼ばれる太古の自然神たちも外来の神に対抗すべく
〝生命〟たちの側につき、宿敵へと立ち向かった。
やがて邪神たちは凄惨な歴史と共に封印され、
戦いは終わりを告げる―。
それから数百年の月日が流れ、世界には平穏が訪れていた。
◇ ◇ ◇
見慣れたいつもの朝。
少年はかつて祖父の部屋だった場所で冒険の品々を物色したあと、リビングへと向かう。
机の上には朝食と父親が残した手紙が置かれていた。
(―ジュドへ。父さんと母さんは収穫祭で取れた村の作物を王国へ届けに行ってくる。くれぐれも家から出ないように)
文字は裏面にまで続いており、「母さんに内緒で新作の冒険譚を買ってきてやるから静かに待ってるんだぞ」と父親からの追記が一言綴られていた。
少年は読み終えた手紙を机上に再び戻し、お気に入りの窓辺へと走り出す。
訳あって外に出ることができない少年にとって、街で手に入る書物などは外の世界を知ることのできる唯一の手段であり、何よりも楽しみにしている娯楽なのだ。
「父さんと母さん、早く帰って来ないかなぁ…」
変化のない景色を眺め、少年は嘆声をこぼす。
大陸の中央に位置するヴェルトリア王国。その南西にあるウェスティーナ領のシエラ村。
村から王国へは街道が続いており、人の往来が多いこの地域の危険度は高くない。
しかし近年、〝呼び声(クトゥリア)〟の活動が活発化している影響により成人していない子供が親の庇護下ではない状態で外に出ることを王国は全面的に禁止している。
そのせいで少年は、かの有名な冒険譚に記されるような輝かしい外の世界への一歩を未だに踏み出せていない。
窓の横に置かれた椅子には分厚い本がいくつも積まれていて、その中の一冊を手に取る。
手にした冒険譚は少年の祖父が書き記したもので、彼もまた王国で知らぬものがいないと称される有名な冒険者だ。
そんな祖父に憧れ、冒険者を目指している少年は悶々とした日々を送っていた。
手に取った冒険譚のページをめくる。
「…はやく僕も外の世界を冒険したい」
いつしか邪神同士は己が支配圏を広げるために大規模な争いを始める。
そうして、ある邪神は、
「自分の代わりに敵を殺すことのできる生命を創りだせばいいのではないか」
という疑問から〝人族、亜人、魔物〟などの生命を創り出した。
ある邪神は、
「一撃で敵を屠ることのできる道具を創ればいいのではないか」
という感性から〝強力な武具〟を創り出した。
ある邪神は、
「接近せずに敵を葬ることのできる方法を創ればいいのではないか」
という発想から〝魔術、呪術〟を創り出した。
しかし、他の創造物に比べて〝生命〟たちはあまりにも脆弱だった。
邪神は〝生命〟をより強力なものにすべく、己が力の一端を彼らへと分け与える。
後に、与えられたその力は〝能力〟と呼ばれるようになった。
戦いが続いたある日―。
〝生命〟たちは気づき始める。
「自分たちは何のために戦っているのだろうか」
〝能力〟が与えれた影響でそれらには知性が宿ったのだ。
人、亜人は共に手を取り合い、造物主に対して反旗を翻す。
旧神と呼ばれる太古の自然神たちも外来の神に対抗すべく
〝生命〟たちの側につき、宿敵へと立ち向かった。
やがて邪神たちは凄惨な歴史と共に封印され、
戦いは終わりを告げる―。
それから数百年の月日が流れ、世界には平穏が訪れていた。
◇ ◇ ◇
見慣れたいつもの朝。
少年はかつて祖父の部屋だった場所で冒険の品々を物色したあと、リビングへと向かう。
机の上には朝食と父親が残した手紙が置かれていた。
(―ジュドへ。父さんと母さんは収穫祭で取れた村の作物を王国へ届けに行ってくる。くれぐれも家から出ないように)
文字は裏面にまで続いており、「母さんに内緒で新作の冒険譚を買ってきてやるから静かに待ってるんだぞ」と父親からの追記が一言綴られていた。
少年は読み終えた手紙を机上に再び戻し、お気に入りの窓辺へと走り出す。
訳あって外に出ることができない少年にとって、街で手に入る書物などは外の世界を知ることのできる唯一の手段であり、何よりも楽しみにしている娯楽なのだ。
「父さんと母さん、早く帰って来ないかなぁ…」
変化のない景色を眺め、少年は嘆声をこぼす。
大陸の中央に位置するヴェルトリア王国。その南西にあるウェスティーナ領のシエラ村。
村から王国へは街道が続いており、人の往来が多いこの地域の危険度は高くない。
しかし近年、〝呼び声(クトゥリア)〟の活動が活発化している影響により成人していない子供が親の庇護下ではない状態で外に出ることを王国は全面的に禁止している。
そのせいで少年は、かの有名な冒険譚に記されるような輝かしい外の世界への一歩を未だに踏み出せていない。
窓の横に置かれた椅子には分厚い本がいくつも積まれていて、その中の一冊を手に取る。
手にした冒険譚は少年の祖父が書き記したもので、彼もまた王国で知らぬものがいないと称される有名な冒険者だ。
そんな祖父に憧れ、冒険者を目指している少年は悶々とした日々を送っていた。
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