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ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの馬事《まこと》騒ぎ~
イナナキ剣闘大会、始まる
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交易の要所となるイナナキの街。
様々な職種の人間がこの街におり、それぞれが助けあってこの街を形作ってきた。
そうなると当然、意見のすれ違いや思想の違いなどでぶつかりあうことがある。その中にはそれはまあ人様に言えないような醜い争いもあった。冒険者の乱闘に始まり、商人のいざこざ、痴情の縺れからとんでもないことになったこともある。
魔物の襲撃によって命を奪われ、住むところがなくなったなんてことも過去にはあったそうだ。
それでもこの街がここまで大きく、今の安全な街として発展することができたのは、この街の顔役であるクラン「青き鬣」があったからである。
街の現状をどうにかしたいと、少数の冒険者からなる自警団のようなものから始まり、同じ志を持つ冒険者たちをだんだんと集まるなか街の人間たちからの信頼を得て、ギルドからもその働きが評価されようやくクランという形になったのだ。
そういった歴史を重ねてきた俺達のクランは、当然実力だってそれに相応しいものがある。
その長に、匹敵するだと?
「……ふざけたことを宣いやがって」
ベン・ブリッチは目の前に開設されている木材の囲いを見ながらそう呟いた。
いつも住民たちで賑わっている広場には、いつの間にかそんな囲いが作られて簡易的な仕切りで出来上がっていた。どうやらこれが今回問題の剣闘大会の舞台ということらしい。確かにこれなら少ないコストと時間で作れるだろうが、少しばかりお粗末な会場であると言えるだろう。
しかし、そんなお粗末な会場であっても周りを囲んでいる人々はお構いなし、大会が始まる前から歓声をあげていた。
何せここのところ明るい話題というのがなかったイナナキの地でようやく開催された盛大な催しだ。王都では上位魔物の討伐で賑わっていたのもあるだろう、自分達の街でもそういったことをしたいというのも分からないわけではない。
しかし。
「……」
それでも、ベンはこの大会の裏にいる男の意図が分からずにいた。
こんなことをわざわざ仕出かすことで、一体リーズにどんな利益があるというのだろうか。
それが分からないのが、この大会に対してどうにも好意的に感じれない理由の一つではあった。
「でも、出るっていっちまったしなぁ……」
昨日はリーズのせいで肩透かしをさせられてしまったためか、その後のケインの言葉に対し簡単に挑発に乗って思わず出場するなどと言ってしまったが大会というのであれば連戦が予想される。
万全な状態でない自分では連戦の疲労はケインよりも重く積み重なっていくことだろう。そうなってしまえばあいつと戦う前に負けるなんてことになってしまうことがあり得るかもしれない。
そうなってはあいつの目を覚ますことが自分には出来ないかもしれない。
「ふざけたことをしやがってよぉ、リーズ……お前何を考えてやがるんだ」
疑問はある。
目的を果たすための条件は難しいものとなった。
しかし、それでもやらなければなるまい。自分で決めたことをやり通すためには、自分の力で道を切り開くしかないのだから。
出場する選手を集める指示が聞こえてきた。
会場の左右に設けられた枠だけの門へ指定された選手はそれぞれ集まっていく。俺もその動きに合わせて自分が入場する方の門へと歩き出した。
ここまで来たらやれるだけやるだけだ。俺だって剣士の端くれだ、戦いから逃げるなんてできやしねぇんだからよ。
「……―――皆様お待たせしました! ただいまよりイナナキ剣闘大会の開会式を執り行います! まずは選手の入場です、選手の皆様はどうぞ会場に整列してください!」
会場の中央に備えられた膝くらいの高さの台の上からギルドの受付嬢がマイクを持って大会の運行を始めた。マイクに向けられた声は拡声器のような形状のマイクのお陰で周囲へとほどよくひびいている。
その指示に従って俺を含む出場者は両方の門からそれぞれ一列になって彼女のいる会場の中央へと進みだした。
それに合わせて参加者に観客からの声援が掛けられる。選手の方も気前よくそれに合わせて手を振ったりする中、ベンもそのようなことをしながらも別のことに頭を使っていた。
ベンはその間に他の出場者についてある程度の見極めを行っていた。この場に出てきているのは自分の目からみてもそれなりの力量のある者たちだ、ギルドで見た顔がほとんどだがその中でも上位に位置するくらいには強い奴等だ。
しかし、ケインと比べればまだましな勝負になるだろう。
こちらの選手はそういった者達しかいなかった。ということは、件の相手はケインと共にあちら側にいるのだろう。
列の三番目にから向こうの列にいるケインの様子を伺う。いつものような不敵な笑みを浮かべているだろうと思ったが、それに反して不機嫌は表情をケインは浮かべていた。
何故だ?
とベンは思ったが、その原因にすぐに思い至った。
(……あいつか)
何のことはない。
ドイルに匹敵するという相手が自分の後ろにいるからだろう。
その相手はこの出場者の中でも特に異様な格好をしている。フードを深く被り体の露出がほとんどない格好をしており、性別すらよく分からない。体格から男だとは思うが、その影の奥の素顔は見ることができない。だが、芯のある佇まいから漂う強者の気配はここからでも感じることができる。
ドイルと同じ、ということはないだろうがこの中でも一押しの強者であることは理解できる。
そんな相手が背後にいるのだ。ケインのことだから何かちょっかいは掛けているだろうが、相手にもされなかったのだろうことは想像できる。それもあって倒すべき敵という以上に気に入らない相手であることだろう。
そんなことを考えていれば、それぞれの列の先頭が中央へと辿り着いた。
全員で前後ろと礼をしてからもう一度前に向く。
「皆様ご覧ください! ここに居ります十六人の戦士達が今回の大会にて鎬を削ることとなる強者達でございます! すでにトーナメントの組み合わせは決まっておりますので各所の掲示板にてご確認ください! それでは開催の挨拶としまして主催者であるイナナキ冒険者ギルド長ザッカル様よりお言葉をいただきたいと思います!」
どうぞこちらへ! という彼女の言葉の後に壮年の少し頭の寂しい何時ものギルド長が後ろから現れてくる。
受付嬢のお立ち台に代わりに立ち、マイクを受け取って咳払いをしてから喋りだした。
「えーこのような突然の催しのここまで協力してくれたみんなには感謝しかありません、本当にありがとう。街のみんなも、この急な事態を快く受け止めて貰えているようで何よりです。この街は色々と溜め込んでしまっているようで、それをどうにかしたいと思いこの大会は開かれました。そのため、この大会に出場している戦士の方達にはぜひとも日頃の思いを発散させてほしい。それを見ている方達も、彼らの奮闘に心を震わせてほしい。そして冒険者というものがあなた達を守るに足る存在であることを改めて感じてほしい。これはそのための大会でもあるのだから。
あー、少し長くなりましたが選手の皆さんも全力を尽くして頑張っていただきたい。これにて挨拶とさせていただきましょう」
それでは、といって下がっていったギルド長に大きな歓声が上がる。頼りなさげに見えるが、長くこの地のことを見てきた彼は街のみんなに信用されている。
その彼が、多いに楽しんでくれと言っているのだ。それを喜ばない住民はここにはいない。
彼からマイクを受け取った受付嬢は、この大会においてのルールについての話を始めた。
とは言っても、死ぬような怪我を負わせないというものや正々堂々戦うことといった簡単なものだ。
だが―――
「……―――最後に! この大会の優勝者に贈られるのは何と太っ腹! 主催者であるギルドより、望むものを与えられることとなっております! 物によって限度はございますが、それでも破格な報酬となっている今大会! 果たして優勝は誰の手に!!
それでは最初の戦いと参りましょう!!」
そう、何の因果か昨日副長に言われたような報酬が優勝者には与えられている。
ベンとしてはケインに勝利できれば優勝などどうでもよかったのだが、この条件を知ってからその考えを改めている。
もしあのフードの男が優勝するようなことがあれば、何を要求してくるか分からない。ケインが優勝してもロクなことにならないのは目に見えている。
最低でも、この二人には優勝させるわけにはいかなくなった。トーナメントの結果次第でどちらかと決勝で当たることになる。これが吉と出るか凶と出るか。ベンとしては絶対に最後まで進まなければならないだろう。
自分の試合までまだ時間はある。それまで精神を整えておこう。
第一試合のために会場から立ち去る出場者の中にいるベンのことを一心に見つめる人物が観客の中にいることに彼は気づいていない。
その人物も、彼が会場から姿を消すと人混みに紛れていくのだった。
そして戦いの幕は上がる。それぞれがそれぞれに胸に秘めた思いを持ちながら。しかし、この場では勝者だけが正義である。勝たなければ何も成すことはできないのだから。
様々な職種の人間がこの街におり、それぞれが助けあってこの街を形作ってきた。
そうなると当然、意見のすれ違いや思想の違いなどでぶつかりあうことがある。その中にはそれはまあ人様に言えないような醜い争いもあった。冒険者の乱闘に始まり、商人のいざこざ、痴情の縺れからとんでもないことになったこともある。
魔物の襲撃によって命を奪われ、住むところがなくなったなんてことも過去にはあったそうだ。
それでもこの街がここまで大きく、今の安全な街として発展することができたのは、この街の顔役であるクラン「青き鬣」があったからである。
街の現状をどうにかしたいと、少数の冒険者からなる自警団のようなものから始まり、同じ志を持つ冒険者たちをだんだんと集まるなか街の人間たちからの信頼を得て、ギルドからもその働きが評価されようやくクランという形になったのだ。
そういった歴史を重ねてきた俺達のクランは、当然実力だってそれに相応しいものがある。
その長に、匹敵するだと?
「……ふざけたことを宣いやがって」
ベン・ブリッチは目の前に開設されている木材の囲いを見ながらそう呟いた。
いつも住民たちで賑わっている広場には、いつの間にかそんな囲いが作られて簡易的な仕切りで出来上がっていた。どうやらこれが今回問題の剣闘大会の舞台ということらしい。確かにこれなら少ないコストと時間で作れるだろうが、少しばかりお粗末な会場であると言えるだろう。
しかし、そんなお粗末な会場であっても周りを囲んでいる人々はお構いなし、大会が始まる前から歓声をあげていた。
何せここのところ明るい話題というのがなかったイナナキの地でようやく開催された盛大な催しだ。王都では上位魔物の討伐で賑わっていたのもあるだろう、自分達の街でもそういったことをしたいというのも分からないわけではない。
しかし。
「……」
それでも、ベンはこの大会の裏にいる男の意図が分からずにいた。
こんなことをわざわざ仕出かすことで、一体リーズにどんな利益があるというのだろうか。
それが分からないのが、この大会に対してどうにも好意的に感じれない理由の一つではあった。
「でも、出るっていっちまったしなぁ……」
昨日はリーズのせいで肩透かしをさせられてしまったためか、その後のケインの言葉に対し簡単に挑発に乗って思わず出場するなどと言ってしまったが大会というのであれば連戦が予想される。
万全な状態でない自分では連戦の疲労はケインよりも重く積み重なっていくことだろう。そうなってしまえばあいつと戦う前に負けるなんてことになってしまうことがあり得るかもしれない。
そうなってはあいつの目を覚ますことが自分には出来ないかもしれない。
「ふざけたことをしやがってよぉ、リーズ……お前何を考えてやがるんだ」
疑問はある。
目的を果たすための条件は難しいものとなった。
しかし、それでもやらなければなるまい。自分で決めたことをやり通すためには、自分の力で道を切り開くしかないのだから。
出場する選手を集める指示が聞こえてきた。
会場の左右に設けられた枠だけの門へ指定された選手はそれぞれ集まっていく。俺もその動きに合わせて自分が入場する方の門へと歩き出した。
ここまで来たらやれるだけやるだけだ。俺だって剣士の端くれだ、戦いから逃げるなんてできやしねぇんだからよ。
「……―――皆様お待たせしました! ただいまよりイナナキ剣闘大会の開会式を執り行います! まずは選手の入場です、選手の皆様はどうぞ会場に整列してください!」
会場の中央に備えられた膝くらいの高さの台の上からギルドの受付嬢がマイクを持って大会の運行を始めた。マイクに向けられた声は拡声器のような形状のマイクのお陰で周囲へとほどよくひびいている。
その指示に従って俺を含む出場者は両方の門からそれぞれ一列になって彼女のいる会場の中央へと進みだした。
それに合わせて参加者に観客からの声援が掛けられる。選手の方も気前よくそれに合わせて手を振ったりする中、ベンもそのようなことをしながらも別のことに頭を使っていた。
ベンはその間に他の出場者についてある程度の見極めを行っていた。この場に出てきているのは自分の目からみてもそれなりの力量のある者たちだ、ギルドで見た顔がほとんどだがその中でも上位に位置するくらいには強い奴等だ。
しかし、ケインと比べればまだましな勝負になるだろう。
こちらの選手はそういった者達しかいなかった。ということは、件の相手はケインと共にあちら側にいるのだろう。
列の三番目にから向こうの列にいるケインの様子を伺う。いつものような不敵な笑みを浮かべているだろうと思ったが、それに反して不機嫌は表情をケインは浮かべていた。
何故だ?
とベンは思ったが、その原因にすぐに思い至った。
(……あいつか)
何のことはない。
ドイルに匹敵するという相手が自分の後ろにいるからだろう。
その相手はこの出場者の中でも特に異様な格好をしている。フードを深く被り体の露出がほとんどない格好をしており、性別すらよく分からない。体格から男だとは思うが、その影の奥の素顔は見ることができない。だが、芯のある佇まいから漂う強者の気配はここからでも感じることができる。
ドイルと同じ、ということはないだろうがこの中でも一押しの強者であることは理解できる。
そんな相手が背後にいるのだ。ケインのことだから何かちょっかいは掛けているだろうが、相手にもされなかったのだろうことは想像できる。それもあって倒すべき敵という以上に気に入らない相手であることだろう。
そんなことを考えていれば、それぞれの列の先頭が中央へと辿り着いた。
全員で前後ろと礼をしてからもう一度前に向く。
「皆様ご覧ください! ここに居ります十六人の戦士達が今回の大会にて鎬を削ることとなる強者達でございます! すでにトーナメントの組み合わせは決まっておりますので各所の掲示板にてご確認ください! それでは開催の挨拶としまして主催者であるイナナキ冒険者ギルド長ザッカル様よりお言葉をいただきたいと思います!」
どうぞこちらへ! という彼女の言葉の後に壮年の少し頭の寂しい何時ものギルド長が後ろから現れてくる。
受付嬢のお立ち台に代わりに立ち、マイクを受け取って咳払いをしてから喋りだした。
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あー、少し長くなりましたが選手の皆さんも全力を尽くして頑張っていただきたい。これにて挨拶とさせていただきましょう」
それでは、といって下がっていったギルド長に大きな歓声が上がる。頼りなさげに見えるが、長くこの地のことを見てきた彼は街のみんなに信用されている。
その彼が、多いに楽しんでくれと言っているのだ。それを喜ばない住民はここにはいない。
彼からマイクを受け取った受付嬢は、この大会においてのルールについての話を始めた。
とは言っても、死ぬような怪我を負わせないというものや正々堂々戦うことといった簡単なものだ。
だが―――
「……―――最後に! この大会の優勝者に贈られるのは何と太っ腹! 主催者であるギルドより、望むものを与えられることとなっております! 物によって限度はございますが、それでも破格な報酬となっている今大会! 果たして優勝は誰の手に!!
それでは最初の戦いと参りましょう!!」
そう、何の因果か昨日副長に言われたような報酬が優勝者には与えられている。
ベンとしてはケインに勝利できれば優勝などどうでもよかったのだが、この条件を知ってからその考えを改めている。
もしあのフードの男が優勝するようなことがあれば、何を要求してくるか分からない。ケインが優勝してもロクなことにならないのは目に見えている。
最低でも、この二人には優勝させるわけにはいかなくなった。トーナメントの結果次第でどちらかと決勝で当たることになる。これが吉と出るか凶と出るか。ベンとしては絶対に最後まで進まなければならないだろう。
自分の試合までまだ時間はある。それまで精神を整えておこう。
第一試合のために会場から立ち去る出場者の中にいるベンのことを一心に見つめる人物が観客の中にいることに彼は気づいていない。
その人物も、彼が会場から姿を消すと人混みに紛れていくのだった。
そして戦いの幕は上がる。それぞれがそれぞれに胸に秘めた思いを持ちながら。しかし、この場では勝者だけが正義である。勝たなければ何も成すことはできないのだから。
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