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見習い……だよね?

家づくり

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  辿り着いた日は、本当の母親になる魔女アイリーンの家で食べさせて貰い、この世界では初めて柔らかいベッドで寝た。

  んだけど……

  「じゃあ、早速、リアの家を建ててみようか!」と言い出され、絶句。

  一緒に住むのかと思ってたのに……

  方法は簡単だと言われ、物理として山小屋を建てて、魔法で中を仕上げるって……

  説明がふわふわすぎる。


  どんな方法でも良いから、魔法を掛ける為の建物が要る様で……

  アイリーンは簡単に作れる山小屋にしたんだってー。

  建物を建てる構造や仕組みがさっぱりだったので、自分がしたのは……

  「コピー」

  アイリーンの家の山小屋とそっくりな物を、魔法で作った。

  場所は、直ぐ横じゃなく、少し離して。

  だけど、材料を用意しなかったので、魔力枯渇症状が出た。

  木だけでも伐採して持ってくれば使用量は少なかったかも……

  案の定、「馬鹿だねえ」と言いながら、魔力回復ポーションだという、ラノベ定番の代物を渡された。

  ラノベじゃ赤黒いって色合いの、試験管の様なガラス瓶に入ってた。

  けど、渡されたガラス瓶はラノベの物に似てるけど……色が……

  真っ赤なんだけど!?

  その上、物凄くマズイっていうのが定説なんだけど……

  そう思いながら飲めば、やっぱり案の定だったー!という代物。

  絶対に、味をよくしてやると決意したからね。


  魔女といえアイリーンの中に、コピー複製魔法っていう概念がなかった様で、興味を持ったみたいで、家づくりには付き合ってくれるみたいだった。

  家の入口よりは、中央に核になる魔石を置いて、魔力を注ぎながら拡張魔法を展開。  

  その際は、家の中のイメージでだって。

  そういうけど、リアじゃない自分の家のイメージって、ハイテクな現代日本だから、かなり掛け離れてるんだけどなあ。

  まあ、リアの記憶の方にも、家のイメージがないんだけどね。

  そう思いながらも、思い浮かべられたのは、たぶん自分が住んでた家じゃない。

  TVで見掛けたものじゃないかな?

  だって綺麗すぎて、生活感が感じられなくて……

  でも、魔法といっても、精密には再現できない代物だった様で、似た様な物に置き換えられてた。

  ただ、アイリーンにすれば、「何を思い浮かべたの?」と言われるものになった。


  この世界では、靴を履いたまま家の中に入るのが一般常識。

  なのに、扉を開けた玄関口に靴やコートを着替えるウェイティングルームがあった。

  奥に入る中扉、要するに二重扉になっていた時点で、アイリーンは驚いてて……

  それも、その扉は上半分に波ガラスが嵌ってた。

  壁は板壁だけど、塗料ニスが焦げ茶なので、実にシックな印象。

  で、履いてた靴を脱いで、中に入ったら……

  一面グレーの絨毯が敷き詰められてる床、中央に赤煉瓦で出来た大きな暖炉があって、今も火が入ってる。

  だけじゃなく、暖炉の左右に螺旋階段があり、右手は上へ、左は地下に向かうみたい。

  その階段の更に右、左に向かう通路がある様だった。

  何処か見覚えがあるんだけど……

  確か……イギリスのシェアハウスを紹介する番組だった様な……

  それならば、通路右に向かえばキッチン、通路左はレストルームだった筈……

  何処まで再現されてるのか分からないけど……

  魔道具として、シンクやコンロ、バストイレがあるのなら、一気に生活が楽になるもの!

  興奮気味に向かえば……

  シンクとコンロは再現出来てたの!

  といっても、若干、違う気がしないでもないけど。

  ただ、コンロの真向かいにあった冷凍冷蔵庫は金属の箱状態で……

  中に入ってるかな?と開けてみれば、パッキンのゴムがなく、冷えてもおらず、ただの箱だった。

  冷凍冷蔵庫の横には、腰高の開きの食器棚?と作り付けの2段のオープン棚になってた。


  もう1つの期待って事で、左の通路に行けば……

  やはり、レストルームで、歓喜と興奮で、唖然としてるアイリーンの事を忘れてた。

  ちなみに、バストイレは気になるところはあるけど、どちらも白の琺瑯陶器で、自分が知ってる形で、概ね出来てた。

  だけど、シャワーはなく、全自動の洗濯機は冷凍冷蔵庫同様、ただの金属の箱だった。

  まあ、最悪、洗濯は風と水の魔法で出来るから良いよ。


  その後、確かめるのに地下と上に行ってみたら……

  上はロフトを介して、2階があったけど、部屋は2つで片側に寄ってた。

  理由は、片側にサンルーフの広いベランダがあったから。

  全面ガラス張りに、アイリーンは奇声を上げるし……

  「これは良いわね!天日干しができるじゃない!」って騒いでた。

  地下は、ロフトの地下版の様な中途階があり、更に下は……

  がらーんとした白い……倉庫?

  
  イメージしたのは自分なのに、ポカーンとしてたら……

  魔女アイリーンに言われた決定打が……

  「リア、あんた異世界の記憶があるだろ」

  ギョッとしてたら、滔々と語り出した。

  「こんな生活水準が高い家、魔法で再現するにしても、知ってないと出来ないからね」

  言われる事に納得は出来たけど……

  ただ、「他の奴には見せるんじゃないよ」は分からない訳じゃない。

  「住み着かれちまうからね。追い出しても絶対に戻って来るっていう代物だね」

  アイリーンが威張るものじゃないけど……

  ただ、住むにしても、中身が何も無いんだけどね。

  だって、土の下に作ってた家で作った琺瑯の家具が、この家に合うとは思えないし。

  だけど、アイリーンがいう理論で行けば、木を伐採して、作りたい物をイメージして魔法を掛けたら出来るって事でしょ?

  琺瑯の家具の作り方も、土っていう素材をイメージしながら加工して作ったんだから、可能かな?

  








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