14 / 14
番外編 いつだって焚き付けるのはアイツ!
しおりを挟む
付き合ってるふたりに付きものなのは?
甘い会話、眠れない週末の夜、他の人に言えない秘密。
やった。全部やった。
付き合うって楽しいだけならいいのにね。
そうはいかないのが人生ってやつです。
ついにやってきました。
誰もが避けては通れないイベント、ケンカです。
そりゃ犬も喰わないようなじゃれあいの延長みたいな可愛いやつはいくらでもしてきた。俺は口数が多いし、そそっかしいし、修のあれこれに一人で怒ってみたりするから。
ただ、今回のはちょっと訳が違う。
なんせ、怒っているのは修なのでした……。
ことの発端は、俺のスマホの写真フォルダーだ。
授業が一コマ休講になったから、バイトまでの時間を修の家で過ごしていた。
うん。それなりにイチャイチャしてね。
お互いにすっきりしたところで、ゴロゴロ転がってスマホを見ていたら、何となく写真を見だして、俺の写真って修と食べ物が交互だな、なんて言ってた。
「何それ?」
だいぶ写真を遡ったところで、修の声が低くなった。
まずい、と思っても後の祭り。
ずらりと並ぶ写真の中のある一枚を見た修の眉根にギュッと力が入った。
「これ、どういうこと……?」
やましいことは何にもない。
でも普段温厚なやつの低音ボイスにビビった俺はしどろもどろになる。
「なんで、化粧してんの?」
「あ、えと、流れで……」
言え! もっと説明しろよ俺!!
「え? 謙じゃん」
あああああ! 絶対これ先に俺が言うべきだったやつ。
「あの、この前飛び込みでモデルやった時の、やつ」
ちょっと前にケンが遊びに来いよ、と言うのでモデルの仕事を見学に行った。
たまたま相手のモデルが急遽来られなくなり、俺がピンチヒッターに抜擢されたってわけ。
もちろんプロじゃないから、後ろ姿とか、顔の隠れた状態でケンと絡んだ。それがちょっとばっかりSNSでバズったせいで、修をびっくりさせてしまったんだけど、それは解決済み。ただ、俺の顔がどんなだったかは言ってなかった。
だって、髪の毛クリンクリンにセットされて、目元キラキラの唇ぽってりまっ赤っかだぞ?!
その場はケンもいたし、他のスタッフさんのチヤホヤに舞い上がって気持ちよ~くなったわ。でも正気に返るとやばい。恥ずい。まさか他の人に見て見て!って言う心臓の強さは俺にない。もちろん修にも見せていない。
「も、もういいだろ?! ちょっと、スマホ返して!」
「まだ」
修が手を高く伸ばせばどうしようもない。
だって修のがずっと背が高くて、リーチも長い。
俺の頭上でスイスイ写真がスワイプされていく。
幸いなことにそこに写っているのはほとんどケンだった。
さすがモデル。
スマホで撮っても映える。変顔でさえも。
めちゃくちゃかっこつけてるのに、半目とか、鼻の穴が全開とか、無限に俺を笑わせてくれるから、もう連写し続けた。結果ずっとケンの写真になってしまった。
唯一俺の写真はメイク途中の横顔と、ケンと全力変顔で撮ったツーショットのみ。
ホッとした。
どうやらそれは俺だけらしい。
バイトへの出発を知らせるアラームが鳴るまで修は俺のスマホを返してくれなかった。問い詰められることもないから弁解もできない。
「バイト行ってくる」
「あぁ」
修はベッドに座ったまま。玄関にも来てくれない。
渡されていた合鍵を使うのに、こんなに辛い気持ちになる時が来るなんて思わなかった。
◆◇◆
翌日からの学校は最悪。
いつも通り俺の隣には修がいるけど、どう考えたって普通じゃない。
俺が挨拶しても頷くだけで、いつにも増して表情は硬く、口数はほぼゼロ。
「修、どうしたの?」
みんなが俺に聞いてくるけど、気のせいじゃない? と言うのが精一杯。
俺だって理由はわかっているような、わかっていないようなものだ。
とにかく話をしようと思うのだが、そういう時に限ってうまくいかない。二人きりでとってる授業はないし、他の友達もオール出席するし、連れションの隙もない。
隣にいるのに、遠い。
修のノートの端に『元気?』って書いても、正面を見たまま頷いただけ。
今週のバイトはみっちり入ってるから、学校の後に話すことも出来ない。合鍵を使って家を訪ねるのは内鍵が閉まっていたらと思うと勇気が出なかった。
平日の夜なんて、居酒屋の厨房は暇に決まってる。バイトで時間を拘束されながらも、頭は悶々と悩む暇があるから厄介だ。
言ってなかったから怒ったのかな。
俺の化粧、気持ち悪かったのかな。
もしかして、やっぱり女の子の方がいいと思い出した……?
柔らかい肌に、高い声、元々受け入れるように作られた身体なら面倒な準備もローションもいらない。数年経てばコンドームもなしに中出しをして、可愛い愛の結晶が誕生するかもしれない。
最悪の考えが頭をよぎった後で、結局はセックスのことを考え出す自分にうんざりする。いつもだったら、二人きりにならなくたって、授業中に机の下で手を撫でられたり、食事中にテーブルの下で脚が触れ合う。それがなくなっただけで、自分の身体は修の熱を求めて寂しいと泣くのだ。快感を求めて身体が疼くのとは訳が違う。オナニーでも慰められないどうしようもない感覚にため息がでた。
「お疲れ様です」
早上がりなのに、予定がないから上がりの挨拶も暗い声になる。
ロッカーのスマホが光るのが見えた。
ケン:『マーモちゅあーん♡』
「けんちゅあーん!!」
お前のせいだからな!と思いながらモヤモヤを聞いて欲しかった。
スマホに飛びつくと、ちょうど通話の着信が来た。
「もしもし?!」
そっちがかけてきたくせに応答はない。
「もっしもーし!!」
言い方を変えたところで返答はないと思ったら、聞き覚えのある音楽が聞こえる。少しタイムラグがあるが、これ店のBGMじゃねぇか!!
「ケン! 来てんの!?」
『あったり~!! これから仕事? 終わったとこ?』
「終わった!」
『よし! じゃ合流でよろ~』
こっちの気も知らないで、陽気な声が通話を切り上げた。
電光石火の早業で着替えると、店の中に飛び出す。
客がまばらな中で、やけに目立つ男がこちらに手を振っていた。
真っ赤なニットキャップから覗く髪は毛先だけがターコイズブルー、黒地にネオンカラーのアルファベットが散るオーバーサイズのパーカーを着ていた。
「マーモ、おっつ!」
「クソカッケーな!! おい」
「あざーす!」
差し出してきたメニューを受け取り、ざっと確認する。
実はどんなドリンクメニューがあるか知らない。ドリンクは厨房の担当じゃないのだ。
「シャインマスカットサワーにする」
「何それ、ちょーいい! 店員一押しなわけ?」
「いや、俺も初めて」
「まじか。じゃあれも一緒にシャインマスカットサワーバージン散らすわ」
「OK。すみませ~ん」
夕飯は賄いで済ませていたので、飲み物と軽いつまみを追加した。
「かんぱーい!」
「うぃ~!」
一口だけと思ったけど、疲れた身体にアルコールが効く。しかも冷凍のシャインマスカットが入ってるので天才的に美味い。
「うめぇな」
「こりゃすごい。ちょっと小洒落た店だったら、ほっそいグラスに入れて一杯1,200円くらいに化けそう」
「うちだとジョッキで一杯480円だけどな」
「助かるぅ!」
「どうなのよ? その後デルモの方は」
「ぼちぼちで~す! おかげさまでお問い合わせは増えてますが、ドカンと跳ねるまではいかないねぇ」
渋い顔を振りながらジョッキを傾けるだけでケンは絵になる。
顔が整っているのはもちろんだけど、それだけじゃない。動きの一つ一つが何かを物語るように目を引いた。
「そっかい。そっかい。こんなにイケメンなのにねぇ」
「マーモちゅあーんはどうなのよ、最近?」
「聞く? 聞いてくれちゃう? っていうかケンも関係あるからな?」
「えぇ~! ケン、ドキドキしちゃう♡」
キュルンとか言いながらぶりっ子ポーズで小首を傾げやがる。
かわいいじゃねぇか!!
「修が怒ってる。多分結構マジなやつ。ここ数日は口聞いてくれない」
「おおお!カップルやってんじゃん。何、あいつそうなの? だんまり系? 表情変わんないくせに黙ったらお手上げじゃん」
「いや、結構、表情変わる方だよ。俺といる時は喋るし、喜怒哀楽もはっきり、して、る…………惚気るつもりはありませんでした!!」
ケンの生温かい視線に居た堪れなくなる。
まだ本題に入ってないのに。
「いいじゃん。あのだんまり地蔵の修がマーモの前で楽しくやってんなら、俺は嬉しいよ? で、どうしたの? 詳しく話してみ?」
いつもふざけてばっかりのケンの優しい表情に俺は泣きたくなる。
今夜の俺は、酔うのはえーなぁ。
事の発端をケンに話せば、ちっとも大した事なくて俺もびっくりする。
「要は修の独占欲がヤバいって話か」
「そうなの?」
「俺が修も見た事ないマーモの姿を先に見たことに、オコなだけっしょ?」
そう言われたら、ちょっとホッとする。
ヤキモチみたいなものか。
「いやぁ、キモいって思われてたんだったらキツイなって思ってたんだよね」
「あら! あらあらあら! やだわぁ~この子ったら。こんなに可愛いのに。自分の魅力ってものを解っちゃいないのねぇ」
「ままぁ~!!」
「よしよし。かわいい子ね~ってマジで。マーモはかわいいぞ? 修はそれが心配なだけだろ。何してもキモいと思うことはないだろ」
「俺、ちんちくりんな童顔なだけじゃん。修みたいにカッコ良くないし。ケンみたいに顔が綺麗なわけじゃないし」
この二人と自分を比べても仕方ないと解っているが、酔っ払いの気持ちは落ち込む。
頬杖をついた俺の頭をよしよし、と撫でるケンの指はひんやりとしている。髪をひと房取ってはくるりと捻って離す手イタズラは修のしないことだ。修も俺の髪に手櫛を通すのが好きらしいが、温かい手のひら全体を使って、俺の頭の形をなぞる様にする。
「今さ、修のこと考えてるだろ」
「なんでわかんの?!」
「わかるさ。すごくいい顔してるから」
「そうなの?!」
「好きな人を想うときの顔って、緊張がほぐれて、本人の魅力が出るらしいよ」
「ケンは物知りだな」
「モデル始めた頃に言われたやつなだけ~」
「ふーん」
ケンが口元に運んでくれるスティック野菜をぽりぽり齧れば、酒が欲しくなる。
「すみませーん! お代わりお願いしまーす」
「あ、俺も! まった。二杯目は俺が選ぶわ」
そう言ってケンはメニュー片手にゴニョゴニョなんかやっている。
あらら。
もちろんオーダーを取りに来たのも知ってるバイトの女の子なんだけど、完全に目がハートマーク。
俺と話す時にそんな上目遣いとかしないじゃんね?
恋までいかなくても、かっこいいケンに少し頬を赤くするその子はいつもよりかわいい気がしてくる。
俺もそうなの?
それを修は知ってるの?
「お待たせしました♡」
「はーい、ありがとね」
お仕事モードの笑顔で対応するケンの眩しいことよ。
「はい、二杯目はスモモサワーだぁ!」
「すげぇ色。真っ赤」
あまりの眩しい色にギョッとするが、一口飲んでみれば酸っぱさが程よくて美味しい。
「懐かしくね? 駄菓子屋でこれ絶対食べたわ」
「ケンも駄菓子屋とか行ったの? 想像つかない」
「俺だって子ども時代はあるよぅ」
「クソガキそう」
「あたりぃ! その頃から、顔は! カワイイのにねぇ……って近所のババアジジイに評判でしたわ」
「顔は!」
「そう。顔は!」
ケラケラと気持ちよさそうに笑うケンと、駄菓子屋ネタで盛り上がる。
途中で高校時代の買い食いの話を聞き、俺の知らない修だなぁ、と嬉しさと切なさの混じった不思議な気持ちになった。
「ほれ、スモモも食え」
回ってきたアルコールのせいで頭がぐらぐら揺れ出した俺の前に、真っ赤なスモモが差し出された。一口で行けるかと思ったが、完全に目算が狂っていた。口をモゴモゴさせる羽目になる。
「いやぁ、マーモは本当にかわいい。思った通り過ぎてびっくりする」
「んんん?」
「いんや、こっちの話」
噛む度にスモモのすっぱい汁が口の中にジュワッと染み出す。
「じゃ、マーモ、そろそろ俺いくわ」
「え? なんだよ、いきなり」
「お迎え呼んどいたから、ここにいるのよ~!」
アルコールでとろとろになった頭で、伝票を掴むとちゃんとそこには飲み代の半分が挟んであった。ちゃんと割り勘なとこがケンのいいとこだと思う。全部ケンのおごりとかにされると、なんか悪かったなぁという気持ちになるから。
「財布、財布」
カバンをゴソゴソやるが、ちっとも見つからない。
目は開いてるのに情報が脳までやって来ないとでもいうのか。
「ない、ない、ない。困ったな」
こんな時に修がいたら、しっかりしろよって簡単に見つけるんだろうな。
「守、カバン貸せ」
「ふぁあ?! ほ、本物だぁ」
顔をあげれば、目の前に肩で息をする修がいた。
「お前、その口……謙か。くそ」
「なんで、ここがわかったの?」
「謙からメッセージが来た」
スマホにはうつろな目の俺の写真が大写しになっている。
「これだけでわかるの?」
「今日バイトだったろ。あとは周りに写ってるものでわかるよ」
ふわりと頭を撫でる手は熱っぽい。
そう、この感触。これが修の手だ。
いつまでもやめて欲しくなくて、くりくりと頭を擦り付ける。
「おれ、ねこがいいなぁ。ねこになって、おさむにかわれたい」
「……本当に猫でいいの?」
「ねこぉ、よくない?」
「俺は、困るんだけど?」
急に熱っぽくなった修の声に、身体が緊張してくる。
耳を撫でられるだけでゾワリと快感が湧き上がった。
「会計してくるから待ってろ」
「……わかった」
今日は何曜日だっけ?
水曜日、明日は午前中の講義がないことを思い出して俺はニヤけてしまう。
ケン、ナイスアシストだぜ。
◆◇◆
少しずつ酔いが醒めていくのを感じながらも、俺は修に身体を預けたままでいる。
だって気持ちいい。
ずっとこれが欲しかったから、もう少し甘えたい。
「守、もう少しで家だから。頑張って歩いて」
歩きにくいのか、へばりつこうとする俺を修は剥がそうとする。
「や、だ。おさむ、おさむぅ」
「やだじゃないだろ」
「おさむ、つめたくしないで。……ああいうの、やだ」
修の足が止まる。
はぁ、と大きめのため息をつく音に胸が痛んだ。
「おれのこと、きらいになった?」
「……なってない」
「じゃ、なんで」
修はおれと向かい合うと、少し困った顔をした。
おれが手を伸ばして、頬を撫でれば視線が柔らかくなる。
「俺、守が思ってるより余裕ないからな?」
「そうなの?」
「守がかわいいから、誰かにとられるんじゃないかって心配してる。俺のいないところでもかわいい顔してるし」
「してないよ?」
スマホを差し出された。
そこにはケンとのトーク画面がある。
さっきの酔っ払った写真の上にも写真があって、頬杖をついている俺の写真だった。
「げ、しらない」
それはしらない顔をした俺だった。
見るだけでむず痒くなるような弛んだ顔をしている。
いつだ? あれか? 修のこと思い出してるの? って聞かれた時か?!
「あとこれ」
「まだあんの?!」
もう一枚は、この前のメイクをしたときの写真。
目を閉じて上を見るポーズのそれは、ケンとキス待ち顔選手権をやったやつだった。自分の端末に保存されていなかったのですっかり忘れてた。
「げ! ケン、なんでこんなの送ってんだよ!!」
「さすがにこれは俺、怒ってもいいと思うんだけど?」
「ひ! いやいや、俺のこんなの……」
「俺は他のやつに見せたくないと思ってる顔なんだけど」
熱っぽい瞳をした修が俺の唇を親指で撫でた。
しばらくキスをお預けされている俺はそれだけで切なくなってしまう。
「ん、」
キスが欲しくて上を向くのに、修はしてくれない。
修だって視線ではキスをしたいと言ってる気がするのに。
「修、もうしないから。俺気をつけるから」
修の視線は俺の唇の動きを追っているのに。
「もう、ムリ。お願い…………キスして、あ!」
薄く開いた唇をこじ開けるように、熱い舌が侵入してきた。
唇が触れ合うより先に舌が絡み合う、食べられてしまいそうな深いキス。
あっという間に身体から力が抜ける。
腰を強く抱き寄せられ、互いの股間が擦れた。
「う、わっ」
「早く、帰ろ」
見上げた修は笑っていた。
「ここ外なの忘れてた」
「守、好きだよ。好き過ぎて、どうしていいかわからなくなる時がある。不安にさせて、ごめんな」
「ちょ、お前……」
「ダメだった?」
いつも通り優しい修の声が染み込んでくる。
「不意打ちはずるいだろ。ヤバい。好きになっちゃう」
「守は俺のこと好きじゃなかったわけ?」
「いや、もうかなり前から好きなんだけど、もっと好きだわ……なんだよ! なんでこんなこと住宅街で言わされてんの?!」
「帰ろう」
「おう」
すっかり酔いが醒め、本当は一人で歩けるが、修の腕を取る。
人通りの少ない住宅街を少しだけ、恋人らしい二人で歩いた。
「守さ、今自分がどんな顔してるか知ってる?」
「酔っ払い?」
「口のとこ」
「げ、なんか食べ物ついてるとか?」
はぁ、とため息をついた修は立ち止まり、俺にスマホを向けてシャッターを切った。
「まぶし!」
「ブレた。ちょっと止まってて」
カシャカシャとシャッターを切る音が響く。
フラッシュが眩しくて手で遮るが、修は構わず写真を撮り続けた。
「多くねぇか?!」
「謙にだって撮らせたんだから、俺が撮ってもいいでしょ」
「ヤキモチか?」
「そういうこと」
「はじめからそう言えって」
「後から気がついた。これからは言うよ」
修のスマホを見せられた俺は、思わず叫びそうになって口を押さえた。夜の住宅街でそんなことしたら、通報されてしまう!
「ケンのやろー!!」
家に入るなり叫ぶ俺に修はびっくりした様子だったが、これとスモモで赤く染まった唇を指させば笑って、掠めるようなキスをした。
「似合ってる」
「嬉しくねーよ。唇が赤い男なんかいねぇわ」
「守、気がついてなかったのか? いっぱいキスした後って結構唇赤いし、ぽってり腫れてる」
「げ」
「だから、あの口紅塗ってる写真はかなりやばかった」
そう言って口を押さえる修の顔は赤い。
「ちょっと、思い出すなよ。俺が恥ずかしいわ。本当にもうケンのやつ」
「もう、謙の名前言うな」
「んん!」
廊下の壁に押しつけられながらのキスは、逃げ場がない。
どこまでも口内を舌で弄られるままになる。
耳を塞がれ、ピチャピチャと水音が頭の中に響いた。
キスだけなのに、溺れてしまいそうに気持ちが良い。
「は、あぁ……ん、ストップ。風呂入っていい?」
「もう酔い醒めたか?」
「ばっちり」
「じゃ、俺も入る」
「俺先に入って綺麗にするから、時間差で来てくれる?」
「やだ」
ギラギラと俺を獲って喰いそうな顔をしているくせに、こういう時の修の口調は幼い。そのアンバランスさが愛しいし、俺だけに見せるワガママに応えてやりたくなる。
「……洗ってくれんの?」
いつだって全力で拒否するその行為を、もしも俺が強請ったら?
ほんの出来心だった。
でも見たことのない慌てた表情を修がしたから、俺は嬉しくて堪らなくなる。
いつもなら、俺の気が変わらないうちに急いで返事をするのに、修は何も言わずに固まったままだ。
「修が全部キレイにしてくれるなら一緒に入ろ? 好きにしていいから」
喉仏の出た男らしい修の首。
するりと撫でて、腕を絡めた。
黙ったままの唇に、自分の唇を押し当てる。
「うわっ!」
急に修に抱え上げられ、驚いた俺は修に縋り付く。
「俺が全部洗う。やっぱなしって言うなよ?」
「言わねーよ」
腹の中を洗われるなんて、とんでもない行為だ。
恥ずかしさと恐ろしさがごちゃ混ぜになるが、俺を心底大切に扱おうとする修の手つきはどうしようもなく気持ちが良い。みっともない俺を見ても変わらない手つきに愛を感じてしまう。
自分の服はあっという間に脱いでしまうのに、俺の服を脱がす手は丁寧で、少しずつあらわになる肌を確かめるように撫でていく。
「ん、あッ! も、いいから、普通に脱がせって、ば!」
「やだ、もったいない」
「いつも見てるだろ?!」
「足りない」
「や! あぁ!」
跪いた修がボトムスを脱がすだけで終わらせるわけがない。
とっくに酷いことになっていた股間を躊躇いなく咥え込んだ。
「あっ、あっ、ばかぁ」
満遍なく表面を這っていく舌の動きに腰が弾む。
過ぎた快感に逃げたいのに、尻を抱え込まれどうしようもない。
「もう! ふろはいるって、言ったじゃん……あぁ‼︎‼︎」
返事の代わりに水音が激しくなる。
裏筋を可愛がるその動きは俺の射精を望んでいて、あっという間に上り詰めていく。
「あ、修、出るッ! ああ! あ、あ、あぁ……」
修の髪を握る手に力が入る。勝手に腰は揺れ、修の口の奥へ奥へと擦り付けながら射精した。完全に腰がくだけ、座り込みそうになるのを抱かれ風呂場へ連れて行かれる。
「お前さ、せめて洗ってからにしろよ」
「見たら我慢できなかった」
「っていうか、飲んだわけ?!」
「飲んだ」
ベッと舌を出しこちらに見せてくれば、青臭い匂いが鼻をついた。
「出せよ……早く口すすげって」
顔を顰める俺を見る修の視線はこれでもかと甘い。
抱き合ったままシャワーの湯を浴びているのは心地良く、いつまでもこうしていたくなる。でもそれは一回イった俺の話で、硬いものを擦り付けてくる修は俺の尻を柔らかく揉み、先をせがむ。
「ん、わかってる……」
床に膝をつけば、初めての夜を思い出す。
あの時はオセロに負けたからという言い訳が俺たちの背中を押したが、今は違う。
俺が望んで修に身体を委ねる。誰にも見せない恥ずかしい姿は、修を受け入れるためのものだから、これも一つの愛情表現なのかもしれない。
あの時みたいに俺が騒がないことに修は気がついているだろうか。
「あ、あぁ……」
身体の中に湯が流れ込む感覚は不快なはずなのに、背筋を駆け上がる震えは喜びそのもので、俺の口元は緩んでしまう。まだ触れられていない胸の先さえ硬く尖り、期待を隠しきれない。
「な、まだ? 早く欲しい。ここで一回しよ?」
「お前、煽り過ぎ」
修の不機嫌な声が俺を酔わす。
どれだけ俺がお前を欲しがってるのか、わかれよ。
「まだ、煽り足りないわけ?」
「……お前が悪いんだからな」
唸るような修の声がして、膝をついていた俺は抱え上げられる。
背中を壁に押し付けられ、右足を抱え上げられた。
一本足で立つ俺は心細さに修に手を伸ばす。
ローションを纏った指が窄まりを押した。
「え、……柔らかくない?」
「昨日したから。……自分で。心配になるくらいなら俺を放っておくなよ」
「ごめん、もう挿れる」
「ん!」
押し付けられた修のちんこはびっくりするほど硬い。
俺が何もしなくても、修はこんなにも俺に興奮する。
「あ、あぁ、でっか……」
「わざとか?」
「あんっ」
十分な拡張もせずに入ってくるから、思わず言った言葉が修を焚き付けたらしい。グッと押し付ける力が強まり、ミチミチと俺の中を進む速度を上げた。完全に脱力するのとは違う、修を受け入れる体勢はどうしたって呼吸が止まる。緩んだ口元から唾液が糸を引いて垂れた。
「ん、あ、あ、あぁ……きもちいい。なにこれぇ」
動かずにいてくれるのに、俺の身体は焦れて動き出す。中はうねり、締め付けを強くする。
「修、もういいから、動いて……中、擦ってほしい」
「あぁ、多分あんまりもたないぞ」
「いいってば、あ! 好きっ、それっ、そこがいいっ!」
荒々しく揺さぶられるのは、修の絶頂が近いから。
欲望をむき出しにして襲いかかってくる勢いに俺は興奮した。勝手に中の締め付けが強くなり、修のちんこが一際大きくなった後で熱が広がる。
「あ、…………あぁ」
いつだって俺はみっともない悲鳴をあげてしまうのに、修は絞り出すような熱い吐息を漏らしてイく。聞き逃してしまいそうなその小さな声は俺だけのもの。緩んだ唇に吸い付いた。
「きもちいい?」
「あぁ、最高」
息が止まるほど、キツく身体に腕が巻きつく。
このままひとつになれたらどんなにいいだろう。
柄にもなくそんなロマンチックなことを思うようになるんだから恋ってやつは厄介だ。
「早くベッドいこ」
今夜はいくらしたって、きっと満足できない。
素直になった俺たちの欲望は無限で、体力はあまり余っている。
そんなこと思った俺のばかぁ~~!!って翌日後悔するとしても。
◆◇◆
「あ、あぁ~、そんなに、おくしたらばかになるからぁ、あぁ、もう、もう……」
シャワーで温まった俺の身体はいつもより柔らかかく、簡単に膝が胸にぺったりついた。そんな体制で修を受け入れれば、奥の奥まで届いてしまう。快感に溺れさせられて、もう下半身が溶けて無くなりそうになる。
「もう、しりこわれる、あ、ああ!」
泣き言を言った俺に、修は余裕の表情を見せた。
「じゃあ、抜く?」
「や、ぬかないで、さみし、いれてて‼︎」
腕を伸ばせば、抱き寄せられ、二人の身体に隙間がなくなる。
もうずっとイキっぱなし。
壁に寄りかかって座る修の膝に抱かれ、俺は揺さぶられる。
あやすような緩い動きなのに、どうしようもない快感に俺は泣き、修は嬉しそうに笑っていた。
優しいのに、ひどい。
甘くて辛い快感におかしくなる。
「もう、むり」
「うん」
「おさむがいないとむり」
「うん。俺も。守がいてくれなきゃ無理。なんでもいいから一緒にいて」
俺はこんなにぐちゃぐちゃなのに、やっぱり修はかっこよくて、かなわない。
貫かれるたびに嬉しくて、出ていけば寂しくて、無理だと言いながらも縋りついた。
終わりがない。だって、俺も修も終わらせたくない。
穏やかな繋がりも気がつけば嵐のような快感を連れてくる。
繋がったまま眠り、揺さぶりで目覚める。
翌日の学校? アラームが鳴ったら考えるよ。
◆◇◆
目を開けた瞬間、部屋がオレンジ色。
「あああ!! 絶対、午後の講義間に合わないってかもう終わってる?!」
「守、うるさい。耳が死ぬ」
隣で眠る修に顔を雑に掴まれた。
「うぐっ、お前はいいのかよ?!」
「今日、午後も休講」
「まじ?!」
「寝ろ。うるさい」
乱暴に修の胸に抱き込まれる。
スースーとすぐに寝息が聞こえてくるから俺もゆっくりと眠りに落ちていく。
そういえばスマホのアラーム鳴らなかったな。
修のやつ、いつ切ったんだ?
腹減った。
でも、まだここにいたい。
修とずっと一緒にいたい。
甘い会話、眠れない週末の夜、他の人に言えない秘密。
やった。全部やった。
付き合うって楽しいだけならいいのにね。
そうはいかないのが人生ってやつです。
ついにやってきました。
誰もが避けては通れないイベント、ケンカです。
そりゃ犬も喰わないようなじゃれあいの延長みたいな可愛いやつはいくらでもしてきた。俺は口数が多いし、そそっかしいし、修のあれこれに一人で怒ってみたりするから。
ただ、今回のはちょっと訳が違う。
なんせ、怒っているのは修なのでした……。
ことの発端は、俺のスマホの写真フォルダーだ。
授業が一コマ休講になったから、バイトまでの時間を修の家で過ごしていた。
うん。それなりにイチャイチャしてね。
お互いにすっきりしたところで、ゴロゴロ転がってスマホを見ていたら、何となく写真を見だして、俺の写真って修と食べ物が交互だな、なんて言ってた。
「何それ?」
だいぶ写真を遡ったところで、修の声が低くなった。
まずい、と思っても後の祭り。
ずらりと並ぶ写真の中のある一枚を見た修の眉根にギュッと力が入った。
「これ、どういうこと……?」
やましいことは何にもない。
でも普段温厚なやつの低音ボイスにビビった俺はしどろもどろになる。
「なんで、化粧してんの?」
「あ、えと、流れで……」
言え! もっと説明しろよ俺!!
「え? 謙じゃん」
あああああ! 絶対これ先に俺が言うべきだったやつ。
「あの、この前飛び込みでモデルやった時の、やつ」
ちょっと前にケンが遊びに来いよ、と言うのでモデルの仕事を見学に行った。
たまたま相手のモデルが急遽来られなくなり、俺がピンチヒッターに抜擢されたってわけ。
もちろんプロじゃないから、後ろ姿とか、顔の隠れた状態でケンと絡んだ。それがちょっとばっかりSNSでバズったせいで、修をびっくりさせてしまったんだけど、それは解決済み。ただ、俺の顔がどんなだったかは言ってなかった。
だって、髪の毛クリンクリンにセットされて、目元キラキラの唇ぽってりまっ赤っかだぞ?!
その場はケンもいたし、他のスタッフさんのチヤホヤに舞い上がって気持ちよ~くなったわ。でも正気に返るとやばい。恥ずい。まさか他の人に見て見て!って言う心臓の強さは俺にない。もちろん修にも見せていない。
「も、もういいだろ?! ちょっと、スマホ返して!」
「まだ」
修が手を高く伸ばせばどうしようもない。
だって修のがずっと背が高くて、リーチも長い。
俺の頭上でスイスイ写真がスワイプされていく。
幸いなことにそこに写っているのはほとんどケンだった。
さすがモデル。
スマホで撮っても映える。変顔でさえも。
めちゃくちゃかっこつけてるのに、半目とか、鼻の穴が全開とか、無限に俺を笑わせてくれるから、もう連写し続けた。結果ずっとケンの写真になってしまった。
唯一俺の写真はメイク途中の横顔と、ケンと全力変顔で撮ったツーショットのみ。
ホッとした。
どうやらそれは俺だけらしい。
バイトへの出発を知らせるアラームが鳴るまで修は俺のスマホを返してくれなかった。問い詰められることもないから弁解もできない。
「バイト行ってくる」
「あぁ」
修はベッドに座ったまま。玄関にも来てくれない。
渡されていた合鍵を使うのに、こんなに辛い気持ちになる時が来るなんて思わなかった。
◆◇◆
翌日からの学校は最悪。
いつも通り俺の隣には修がいるけど、どう考えたって普通じゃない。
俺が挨拶しても頷くだけで、いつにも増して表情は硬く、口数はほぼゼロ。
「修、どうしたの?」
みんなが俺に聞いてくるけど、気のせいじゃない? と言うのが精一杯。
俺だって理由はわかっているような、わかっていないようなものだ。
とにかく話をしようと思うのだが、そういう時に限ってうまくいかない。二人きりでとってる授業はないし、他の友達もオール出席するし、連れションの隙もない。
隣にいるのに、遠い。
修のノートの端に『元気?』って書いても、正面を見たまま頷いただけ。
今週のバイトはみっちり入ってるから、学校の後に話すことも出来ない。合鍵を使って家を訪ねるのは内鍵が閉まっていたらと思うと勇気が出なかった。
平日の夜なんて、居酒屋の厨房は暇に決まってる。バイトで時間を拘束されながらも、頭は悶々と悩む暇があるから厄介だ。
言ってなかったから怒ったのかな。
俺の化粧、気持ち悪かったのかな。
もしかして、やっぱり女の子の方がいいと思い出した……?
柔らかい肌に、高い声、元々受け入れるように作られた身体なら面倒な準備もローションもいらない。数年経てばコンドームもなしに中出しをして、可愛い愛の結晶が誕生するかもしれない。
最悪の考えが頭をよぎった後で、結局はセックスのことを考え出す自分にうんざりする。いつもだったら、二人きりにならなくたって、授業中に机の下で手を撫でられたり、食事中にテーブルの下で脚が触れ合う。それがなくなっただけで、自分の身体は修の熱を求めて寂しいと泣くのだ。快感を求めて身体が疼くのとは訳が違う。オナニーでも慰められないどうしようもない感覚にため息がでた。
「お疲れ様です」
早上がりなのに、予定がないから上がりの挨拶も暗い声になる。
ロッカーのスマホが光るのが見えた。
ケン:『マーモちゅあーん♡』
「けんちゅあーん!!」
お前のせいだからな!と思いながらモヤモヤを聞いて欲しかった。
スマホに飛びつくと、ちょうど通話の着信が来た。
「もしもし?!」
そっちがかけてきたくせに応答はない。
「もっしもーし!!」
言い方を変えたところで返答はないと思ったら、聞き覚えのある音楽が聞こえる。少しタイムラグがあるが、これ店のBGMじゃねぇか!!
「ケン! 来てんの!?」
『あったり~!! これから仕事? 終わったとこ?』
「終わった!」
『よし! じゃ合流でよろ~』
こっちの気も知らないで、陽気な声が通話を切り上げた。
電光石火の早業で着替えると、店の中に飛び出す。
客がまばらな中で、やけに目立つ男がこちらに手を振っていた。
真っ赤なニットキャップから覗く髪は毛先だけがターコイズブルー、黒地にネオンカラーのアルファベットが散るオーバーサイズのパーカーを着ていた。
「マーモ、おっつ!」
「クソカッケーな!! おい」
「あざーす!」
差し出してきたメニューを受け取り、ざっと確認する。
実はどんなドリンクメニューがあるか知らない。ドリンクは厨房の担当じゃないのだ。
「シャインマスカットサワーにする」
「何それ、ちょーいい! 店員一押しなわけ?」
「いや、俺も初めて」
「まじか。じゃあれも一緒にシャインマスカットサワーバージン散らすわ」
「OK。すみませ~ん」
夕飯は賄いで済ませていたので、飲み物と軽いつまみを追加した。
「かんぱーい!」
「うぃ~!」
一口だけと思ったけど、疲れた身体にアルコールが効く。しかも冷凍のシャインマスカットが入ってるので天才的に美味い。
「うめぇな」
「こりゃすごい。ちょっと小洒落た店だったら、ほっそいグラスに入れて一杯1,200円くらいに化けそう」
「うちだとジョッキで一杯480円だけどな」
「助かるぅ!」
「どうなのよ? その後デルモの方は」
「ぼちぼちで~す! おかげさまでお問い合わせは増えてますが、ドカンと跳ねるまではいかないねぇ」
渋い顔を振りながらジョッキを傾けるだけでケンは絵になる。
顔が整っているのはもちろんだけど、それだけじゃない。動きの一つ一つが何かを物語るように目を引いた。
「そっかい。そっかい。こんなにイケメンなのにねぇ」
「マーモちゅあーんはどうなのよ、最近?」
「聞く? 聞いてくれちゃう? っていうかケンも関係あるからな?」
「えぇ~! ケン、ドキドキしちゃう♡」
キュルンとか言いながらぶりっ子ポーズで小首を傾げやがる。
かわいいじゃねぇか!!
「修が怒ってる。多分結構マジなやつ。ここ数日は口聞いてくれない」
「おおお!カップルやってんじゃん。何、あいつそうなの? だんまり系? 表情変わんないくせに黙ったらお手上げじゃん」
「いや、結構、表情変わる方だよ。俺といる時は喋るし、喜怒哀楽もはっきり、して、る…………惚気るつもりはありませんでした!!」
ケンの生温かい視線に居た堪れなくなる。
まだ本題に入ってないのに。
「いいじゃん。あのだんまり地蔵の修がマーモの前で楽しくやってんなら、俺は嬉しいよ? で、どうしたの? 詳しく話してみ?」
いつもふざけてばっかりのケンの優しい表情に俺は泣きたくなる。
今夜の俺は、酔うのはえーなぁ。
事の発端をケンに話せば、ちっとも大した事なくて俺もびっくりする。
「要は修の独占欲がヤバいって話か」
「そうなの?」
「俺が修も見た事ないマーモの姿を先に見たことに、オコなだけっしょ?」
そう言われたら、ちょっとホッとする。
ヤキモチみたいなものか。
「いやぁ、キモいって思われてたんだったらキツイなって思ってたんだよね」
「あら! あらあらあら! やだわぁ~この子ったら。こんなに可愛いのに。自分の魅力ってものを解っちゃいないのねぇ」
「ままぁ~!!」
「よしよし。かわいい子ね~ってマジで。マーモはかわいいぞ? 修はそれが心配なだけだろ。何してもキモいと思うことはないだろ」
「俺、ちんちくりんな童顔なだけじゃん。修みたいにカッコ良くないし。ケンみたいに顔が綺麗なわけじゃないし」
この二人と自分を比べても仕方ないと解っているが、酔っ払いの気持ちは落ち込む。
頬杖をついた俺の頭をよしよし、と撫でるケンの指はひんやりとしている。髪をひと房取ってはくるりと捻って離す手イタズラは修のしないことだ。修も俺の髪に手櫛を通すのが好きらしいが、温かい手のひら全体を使って、俺の頭の形をなぞる様にする。
「今さ、修のこと考えてるだろ」
「なんでわかんの?!」
「わかるさ。すごくいい顔してるから」
「そうなの?!」
「好きな人を想うときの顔って、緊張がほぐれて、本人の魅力が出るらしいよ」
「ケンは物知りだな」
「モデル始めた頃に言われたやつなだけ~」
「ふーん」
ケンが口元に運んでくれるスティック野菜をぽりぽり齧れば、酒が欲しくなる。
「すみませーん! お代わりお願いしまーす」
「あ、俺も! まった。二杯目は俺が選ぶわ」
そう言ってケンはメニュー片手にゴニョゴニョなんかやっている。
あらら。
もちろんオーダーを取りに来たのも知ってるバイトの女の子なんだけど、完全に目がハートマーク。
俺と話す時にそんな上目遣いとかしないじゃんね?
恋までいかなくても、かっこいいケンに少し頬を赤くするその子はいつもよりかわいい気がしてくる。
俺もそうなの?
それを修は知ってるの?
「お待たせしました♡」
「はーい、ありがとね」
お仕事モードの笑顔で対応するケンの眩しいことよ。
「はい、二杯目はスモモサワーだぁ!」
「すげぇ色。真っ赤」
あまりの眩しい色にギョッとするが、一口飲んでみれば酸っぱさが程よくて美味しい。
「懐かしくね? 駄菓子屋でこれ絶対食べたわ」
「ケンも駄菓子屋とか行ったの? 想像つかない」
「俺だって子ども時代はあるよぅ」
「クソガキそう」
「あたりぃ! その頃から、顔は! カワイイのにねぇ……って近所のババアジジイに評判でしたわ」
「顔は!」
「そう。顔は!」
ケラケラと気持ちよさそうに笑うケンと、駄菓子屋ネタで盛り上がる。
途中で高校時代の買い食いの話を聞き、俺の知らない修だなぁ、と嬉しさと切なさの混じった不思議な気持ちになった。
「ほれ、スモモも食え」
回ってきたアルコールのせいで頭がぐらぐら揺れ出した俺の前に、真っ赤なスモモが差し出された。一口で行けるかと思ったが、完全に目算が狂っていた。口をモゴモゴさせる羽目になる。
「いやぁ、マーモは本当にかわいい。思った通り過ぎてびっくりする」
「んんん?」
「いんや、こっちの話」
噛む度にスモモのすっぱい汁が口の中にジュワッと染み出す。
「じゃ、マーモ、そろそろ俺いくわ」
「え? なんだよ、いきなり」
「お迎え呼んどいたから、ここにいるのよ~!」
アルコールでとろとろになった頭で、伝票を掴むとちゃんとそこには飲み代の半分が挟んであった。ちゃんと割り勘なとこがケンのいいとこだと思う。全部ケンのおごりとかにされると、なんか悪かったなぁという気持ちになるから。
「財布、財布」
カバンをゴソゴソやるが、ちっとも見つからない。
目は開いてるのに情報が脳までやって来ないとでもいうのか。
「ない、ない、ない。困ったな」
こんな時に修がいたら、しっかりしろよって簡単に見つけるんだろうな。
「守、カバン貸せ」
「ふぁあ?! ほ、本物だぁ」
顔をあげれば、目の前に肩で息をする修がいた。
「お前、その口……謙か。くそ」
「なんで、ここがわかったの?」
「謙からメッセージが来た」
スマホにはうつろな目の俺の写真が大写しになっている。
「これだけでわかるの?」
「今日バイトだったろ。あとは周りに写ってるものでわかるよ」
ふわりと頭を撫でる手は熱っぽい。
そう、この感触。これが修の手だ。
いつまでもやめて欲しくなくて、くりくりと頭を擦り付ける。
「おれ、ねこがいいなぁ。ねこになって、おさむにかわれたい」
「……本当に猫でいいの?」
「ねこぉ、よくない?」
「俺は、困るんだけど?」
急に熱っぽくなった修の声に、身体が緊張してくる。
耳を撫でられるだけでゾワリと快感が湧き上がった。
「会計してくるから待ってろ」
「……わかった」
今日は何曜日だっけ?
水曜日、明日は午前中の講義がないことを思い出して俺はニヤけてしまう。
ケン、ナイスアシストだぜ。
◆◇◆
少しずつ酔いが醒めていくのを感じながらも、俺は修に身体を預けたままでいる。
だって気持ちいい。
ずっとこれが欲しかったから、もう少し甘えたい。
「守、もう少しで家だから。頑張って歩いて」
歩きにくいのか、へばりつこうとする俺を修は剥がそうとする。
「や、だ。おさむ、おさむぅ」
「やだじゃないだろ」
「おさむ、つめたくしないで。……ああいうの、やだ」
修の足が止まる。
はぁ、と大きめのため息をつく音に胸が痛んだ。
「おれのこと、きらいになった?」
「……なってない」
「じゃ、なんで」
修はおれと向かい合うと、少し困った顔をした。
おれが手を伸ばして、頬を撫でれば視線が柔らかくなる。
「俺、守が思ってるより余裕ないからな?」
「そうなの?」
「守がかわいいから、誰かにとられるんじゃないかって心配してる。俺のいないところでもかわいい顔してるし」
「してないよ?」
スマホを差し出された。
そこにはケンとのトーク画面がある。
さっきの酔っ払った写真の上にも写真があって、頬杖をついている俺の写真だった。
「げ、しらない」
それはしらない顔をした俺だった。
見るだけでむず痒くなるような弛んだ顔をしている。
いつだ? あれか? 修のこと思い出してるの? って聞かれた時か?!
「あとこれ」
「まだあんの?!」
もう一枚は、この前のメイクをしたときの写真。
目を閉じて上を見るポーズのそれは、ケンとキス待ち顔選手権をやったやつだった。自分の端末に保存されていなかったのですっかり忘れてた。
「げ! ケン、なんでこんなの送ってんだよ!!」
「さすがにこれは俺、怒ってもいいと思うんだけど?」
「ひ! いやいや、俺のこんなの……」
「俺は他のやつに見せたくないと思ってる顔なんだけど」
熱っぽい瞳をした修が俺の唇を親指で撫でた。
しばらくキスをお預けされている俺はそれだけで切なくなってしまう。
「ん、」
キスが欲しくて上を向くのに、修はしてくれない。
修だって視線ではキスをしたいと言ってる気がするのに。
「修、もうしないから。俺気をつけるから」
修の視線は俺の唇の動きを追っているのに。
「もう、ムリ。お願い…………キスして、あ!」
薄く開いた唇をこじ開けるように、熱い舌が侵入してきた。
唇が触れ合うより先に舌が絡み合う、食べられてしまいそうな深いキス。
あっという間に身体から力が抜ける。
腰を強く抱き寄せられ、互いの股間が擦れた。
「う、わっ」
「早く、帰ろ」
見上げた修は笑っていた。
「ここ外なの忘れてた」
「守、好きだよ。好き過ぎて、どうしていいかわからなくなる時がある。不安にさせて、ごめんな」
「ちょ、お前……」
「ダメだった?」
いつも通り優しい修の声が染み込んでくる。
「不意打ちはずるいだろ。ヤバい。好きになっちゃう」
「守は俺のこと好きじゃなかったわけ?」
「いや、もうかなり前から好きなんだけど、もっと好きだわ……なんだよ! なんでこんなこと住宅街で言わされてんの?!」
「帰ろう」
「おう」
すっかり酔いが醒め、本当は一人で歩けるが、修の腕を取る。
人通りの少ない住宅街を少しだけ、恋人らしい二人で歩いた。
「守さ、今自分がどんな顔してるか知ってる?」
「酔っ払い?」
「口のとこ」
「げ、なんか食べ物ついてるとか?」
はぁ、とため息をついた修は立ち止まり、俺にスマホを向けてシャッターを切った。
「まぶし!」
「ブレた。ちょっと止まってて」
カシャカシャとシャッターを切る音が響く。
フラッシュが眩しくて手で遮るが、修は構わず写真を撮り続けた。
「多くねぇか?!」
「謙にだって撮らせたんだから、俺が撮ってもいいでしょ」
「ヤキモチか?」
「そういうこと」
「はじめからそう言えって」
「後から気がついた。これからは言うよ」
修のスマホを見せられた俺は、思わず叫びそうになって口を押さえた。夜の住宅街でそんなことしたら、通報されてしまう!
「ケンのやろー!!」
家に入るなり叫ぶ俺に修はびっくりした様子だったが、これとスモモで赤く染まった唇を指させば笑って、掠めるようなキスをした。
「似合ってる」
「嬉しくねーよ。唇が赤い男なんかいねぇわ」
「守、気がついてなかったのか? いっぱいキスした後って結構唇赤いし、ぽってり腫れてる」
「げ」
「だから、あの口紅塗ってる写真はかなりやばかった」
そう言って口を押さえる修の顔は赤い。
「ちょっと、思い出すなよ。俺が恥ずかしいわ。本当にもうケンのやつ」
「もう、謙の名前言うな」
「んん!」
廊下の壁に押しつけられながらのキスは、逃げ場がない。
どこまでも口内を舌で弄られるままになる。
耳を塞がれ、ピチャピチャと水音が頭の中に響いた。
キスだけなのに、溺れてしまいそうに気持ちが良い。
「は、あぁ……ん、ストップ。風呂入っていい?」
「もう酔い醒めたか?」
「ばっちり」
「じゃ、俺も入る」
「俺先に入って綺麗にするから、時間差で来てくれる?」
「やだ」
ギラギラと俺を獲って喰いそうな顔をしているくせに、こういう時の修の口調は幼い。そのアンバランスさが愛しいし、俺だけに見せるワガママに応えてやりたくなる。
「……洗ってくれんの?」
いつだって全力で拒否するその行為を、もしも俺が強請ったら?
ほんの出来心だった。
でも見たことのない慌てた表情を修がしたから、俺は嬉しくて堪らなくなる。
いつもなら、俺の気が変わらないうちに急いで返事をするのに、修は何も言わずに固まったままだ。
「修が全部キレイにしてくれるなら一緒に入ろ? 好きにしていいから」
喉仏の出た男らしい修の首。
するりと撫でて、腕を絡めた。
黙ったままの唇に、自分の唇を押し当てる。
「うわっ!」
急に修に抱え上げられ、驚いた俺は修に縋り付く。
「俺が全部洗う。やっぱなしって言うなよ?」
「言わねーよ」
腹の中を洗われるなんて、とんでもない行為だ。
恥ずかしさと恐ろしさがごちゃ混ぜになるが、俺を心底大切に扱おうとする修の手つきはどうしようもなく気持ちが良い。みっともない俺を見ても変わらない手つきに愛を感じてしまう。
自分の服はあっという間に脱いでしまうのに、俺の服を脱がす手は丁寧で、少しずつあらわになる肌を確かめるように撫でていく。
「ん、あッ! も、いいから、普通に脱がせって、ば!」
「やだ、もったいない」
「いつも見てるだろ?!」
「足りない」
「や! あぁ!」
跪いた修がボトムスを脱がすだけで終わらせるわけがない。
とっくに酷いことになっていた股間を躊躇いなく咥え込んだ。
「あっ、あっ、ばかぁ」
満遍なく表面を這っていく舌の動きに腰が弾む。
過ぎた快感に逃げたいのに、尻を抱え込まれどうしようもない。
「もう! ふろはいるって、言ったじゃん……あぁ‼︎‼︎」
返事の代わりに水音が激しくなる。
裏筋を可愛がるその動きは俺の射精を望んでいて、あっという間に上り詰めていく。
「あ、修、出るッ! ああ! あ、あ、あぁ……」
修の髪を握る手に力が入る。勝手に腰は揺れ、修の口の奥へ奥へと擦り付けながら射精した。完全に腰がくだけ、座り込みそうになるのを抱かれ風呂場へ連れて行かれる。
「お前さ、せめて洗ってからにしろよ」
「見たら我慢できなかった」
「っていうか、飲んだわけ?!」
「飲んだ」
ベッと舌を出しこちらに見せてくれば、青臭い匂いが鼻をついた。
「出せよ……早く口すすげって」
顔を顰める俺を見る修の視線はこれでもかと甘い。
抱き合ったままシャワーの湯を浴びているのは心地良く、いつまでもこうしていたくなる。でもそれは一回イった俺の話で、硬いものを擦り付けてくる修は俺の尻を柔らかく揉み、先をせがむ。
「ん、わかってる……」
床に膝をつけば、初めての夜を思い出す。
あの時はオセロに負けたからという言い訳が俺たちの背中を押したが、今は違う。
俺が望んで修に身体を委ねる。誰にも見せない恥ずかしい姿は、修を受け入れるためのものだから、これも一つの愛情表現なのかもしれない。
あの時みたいに俺が騒がないことに修は気がついているだろうか。
「あ、あぁ……」
身体の中に湯が流れ込む感覚は不快なはずなのに、背筋を駆け上がる震えは喜びそのもので、俺の口元は緩んでしまう。まだ触れられていない胸の先さえ硬く尖り、期待を隠しきれない。
「な、まだ? 早く欲しい。ここで一回しよ?」
「お前、煽り過ぎ」
修の不機嫌な声が俺を酔わす。
どれだけ俺がお前を欲しがってるのか、わかれよ。
「まだ、煽り足りないわけ?」
「……お前が悪いんだからな」
唸るような修の声がして、膝をついていた俺は抱え上げられる。
背中を壁に押し付けられ、右足を抱え上げられた。
一本足で立つ俺は心細さに修に手を伸ばす。
ローションを纏った指が窄まりを押した。
「え、……柔らかくない?」
「昨日したから。……自分で。心配になるくらいなら俺を放っておくなよ」
「ごめん、もう挿れる」
「ん!」
押し付けられた修のちんこはびっくりするほど硬い。
俺が何もしなくても、修はこんなにも俺に興奮する。
「あ、あぁ、でっか……」
「わざとか?」
「あんっ」
十分な拡張もせずに入ってくるから、思わず言った言葉が修を焚き付けたらしい。グッと押し付ける力が強まり、ミチミチと俺の中を進む速度を上げた。完全に脱力するのとは違う、修を受け入れる体勢はどうしたって呼吸が止まる。緩んだ口元から唾液が糸を引いて垂れた。
「ん、あ、あ、あぁ……きもちいい。なにこれぇ」
動かずにいてくれるのに、俺の身体は焦れて動き出す。中はうねり、締め付けを強くする。
「修、もういいから、動いて……中、擦ってほしい」
「あぁ、多分あんまりもたないぞ」
「いいってば、あ! 好きっ、それっ、そこがいいっ!」
荒々しく揺さぶられるのは、修の絶頂が近いから。
欲望をむき出しにして襲いかかってくる勢いに俺は興奮した。勝手に中の締め付けが強くなり、修のちんこが一際大きくなった後で熱が広がる。
「あ、…………あぁ」
いつだって俺はみっともない悲鳴をあげてしまうのに、修は絞り出すような熱い吐息を漏らしてイく。聞き逃してしまいそうなその小さな声は俺だけのもの。緩んだ唇に吸い付いた。
「きもちいい?」
「あぁ、最高」
息が止まるほど、キツく身体に腕が巻きつく。
このままひとつになれたらどんなにいいだろう。
柄にもなくそんなロマンチックなことを思うようになるんだから恋ってやつは厄介だ。
「早くベッドいこ」
今夜はいくらしたって、きっと満足できない。
素直になった俺たちの欲望は無限で、体力はあまり余っている。
そんなこと思った俺のばかぁ~~!!って翌日後悔するとしても。
◆◇◆
「あ、あぁ~、そんなに、おくしたらばかになるからぁ、あぁ、もう、もう……」
シャワーで温まった俺の身体はいつもより柔らかかく、簡単に膝が胸にぺったりついた。そんな体制で修を受け入れれば、奥の奥まで届いてしまう。快感に溺れさせられて、もう下半身が溶けて無くなりそうになる。
「もう、しりこわれる、あ、ああ!」
泣き言を言った俺に、修は余裕の表情を見せた。
「じゃあ、抜く?」
「や、ぬかないで、さみし、いれてて‼︎」
腕を伸ばせば、抱き寄せられ、二人の身体に隙間がなくなる。
もうずっとイキっぱなし。
壁に寄りかかって座る修の膝に抱かれ、俺は揺さぶられる。
あやすような緩い動きなのに、どうしようもない快感に俺は泣き、修は嬉しそうに笑っていた。
優しいのに、ひどい。
甘くて辛い快感におかしくなる。
「もう、むり」
「うん」
「おさむがいないとむり」
「うん。俺も。守がいてくれなきゃ無理。なんでもいいから一緒にいて」
俺はこんなにぐちゃぐちゃなのに、やっぱり修はかっこよくて、かなわない。
貫かれるたびに嬉しくて、出ていけば寂しくて、無理だと言いながらも縋りついた。
終わりがない。だって、俺も修も終わらせたくない。
穏やかな繋がりも気がつけば嵐のような快感を連れてくる。
繋がったまま眠り、揺さぶりで目覚める。
翌日の学校? アラームが鳴ったら考えるよ。
◆◇◆
目を開けた瞬間、部屋がオレンジ色。
「あああ!! 絶対、午後の講義間に合わないってかもう終わってる?!」
「守、うるさい。耳が死ぬ」
隣で眠る修に顔を雑に掴まれた。
「うぐっ、お前はいいのかよ?!」
「今日、午後も休講」
「まじ?!」
「寝ろ。うるさい」
乱暴に修の胸に抱き込まれる。
スースーとすぐに寝息が聞こえてくるから俺もゆっくりと眠りに落ちていく。
そういえばスマホのアラーム鳴らなかったな。
修のやつ、いつ切ったんだ?
腹減った。
でも、まだここにいたい。
修とずっと一緒にいたい。
1
お気に入りに追加
62
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
出産は一番の快楽
及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。
とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。
【注意事項】
*受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。
*寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め
*倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意
*軽く出産シーン有り
*ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り
続編)
*近親相姦・母子相姦要素有り
*奇形発言注意
*カニバリズム発言有り
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂
朝井染両
BL
お久しぶりです!
ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。
こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。
合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。
ご飯食べます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
気づいたら、幼馴染が好きでした。
あさ
BL
幼馴染のことが好きだということに気づいてない受けと、その受けのことが好きすぎる攻めのお話です。
基本、幼馴染の2人しか出て来ません。らぶらぶ甘々なお話です。
この作品は前編、後編+番外編で終わりの短編作品です。
R18は番外編からとなる予定です。
※初心者なので温かい心で見てくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
番外編〜!万歳です🫶
喧嘩はラブのスパイスですね😍大ボリュームで大満足でした。
いつも応援していま〜す📣
えみこ姉ちゃーん♡マイシス!!
(嬉しくて嬉しくてこんなになってしまいました)
わざわざお越しくださりありがとうございます。
喧嘩は避けるよりも、生活の一部にしてワイワイと賑やかなカップルでいて欲しいな。
いつも、いつもありがとうございます!すごく励まされました!!
以前ムーンさんで一気読みしていたのですが、
ここで改めて1話づつ読んでいくと守と修のお互いの自信の無さとか焦りが初々しくて可愛くてキュンキュンしました♡
そしてやっぱり飯テロが凄い。
我が家の夕食、ここで決めちゃいます。
番外編は甘甘〜♡♡ごちそうさまでした。
飯テロ込みでこれからの甘甘な2人の日常もまだまだ読みたいです。
おかわり、切に希望します。
飴さん、すごく嬉しいです。
ムーンでお読みいただいたのにこちらにもお越しいただけるとは!
ゾンビドラマはどこいった?!という飯テロの分量ですね。どれも手軽なメニューですので、お家のご飯でお楽しみいただけたら幸いです。
番外編は甘々でしたか!良かった!
付き合う前から甘々な二人なので、カップルになった後にどれだけ糖度を増せるかのチャレンジをしていました。おかわりコールをいただけるほどお楽しみいただけたのなら一安心です。
折を見てまた番外編を出していきたいと思っています。このカップル+1は書いていてとても楽しいので、きっと近い将来に!
素敵な感想をありがとうございました。とても、元気が出ました!