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本編 学園中等部編
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しおりを挟む「ねえリヴ、僕がイヴェールの記憶を取り戻して、無自覚に汚い言葉を使っていても、嫌いにならないでね……」
揺れる馬車の中で、ルーカスはリヴァイの隣に座り直しそう言った。
「嫌ったりなど致しません。寧ろ、殿下が私を捨てても、私は決して貴方を手放す事など出来ません。それこそ貴方を部屋に閉じ込めて誰にも会えぬ様にしてしまいたい程の想いですので……」
そう言いながらリヴァイは酷く寂しく申し訳なさそうな表情をする。そんなリヴァイを、ルーカスは愛おしそうに見つめた。
「それは残念だね、リヴ。君が僕を閉じ込める日は、絶対に訪れる事はないだろうから。けれどもし、それでも不安なのならば、本当に僕を君の部屋に閉じ込めてしまいなさい」
「っ!?」
ルーカスのその予想外の言葉にリヴァイは物凄く驚いた。するとルーカスはニヤリと笑みを浮かべながら言う。
「ひと月ふた月程度ならば、君の部屋から1歩も出なくても、特に支障はないからね。今は急ぎの物もないし、レイアと君がいれば寂しくはないかな。
あのね、リヴ。僕の君に対する愛だって、君の僕への愛と同じくらい重たくて、恐らくそこまで綺麗なものでは無いと思うよ」
「貴方の想いは、私のものとは比べてはならないほど清く美しいものです。どうか私のこの黒い感情を、許してしまわないでください……」
リヴァイは困り果てた表情でルーカスを見つめる。するとルーカスはとても優しい表情になった。
「以前君に、全ての願いを聞ける訳では無いと言ったでしょう? 城に篭れだとか、大会でわざと負けろとかは出来ないと」
「……はい」
「君は真面目で、凄く優しいから、きっとその願いを叶えてしまえば、君は罪悪感を感じてしまう。僕が君の部屋から1歩も出ないと言っても、君は罪悪感で僕をずっと留めて置くことなんて出来ないと思うからね」
その言葉にリヴァイが凄く驚く様子を見ながら、ルーカスは続けた。
「それに、世間体は気にしておかなければ、もし君が他者にある事ないこと言われて、傷付くような事があっても嫌だから。
君が罪悪感も感じず、傷付く事が無いのならば、僕は君の言うことは何でも聞いてあげたいと思うよ。まあ、僕の義務を優先することにはなるだろうけどね」
するとリヴァイは隣に座っているルーカスを力強く抱きしめ、頬に優しい口付けを送りルーカスから離れた。
「……そんな簡単に、私を許さないで下さい。貴方に何をしでかすか、私自身もあまり自覚していないのです」
「ならば、君は僕に何をしたいんだい? それを聞いてから許すかを決めようか。ほら、考えてみなさい」
ルーカスは少し楽しそうにしながらリヴァイにそう言う。それにリヴァイは戸惑った様子になり真面目に考えるべきか困惑する。
「あの……」
「ん? 思い付いたかい? 何でも構わないよ。キスしたいとか、抱きしめたいとか、皆に見せびらかしたいとか?」
(……きっと殿下は、私が思い浮かべたものなど、絶対に思い付かないだろうな。これを伝えたら、殿下は怯えて引いてしまうだろうか。あぁ、だが、兎のように怯える殿下も、少し見てみたい)
…………なんだか、リヴの瞳が光った様な気が……。
「……貴方を孕ませたい、、貴方の身体中に私の歯型と、跡を付けてしまいたいです……」
リヴァイはルーカスの耳元に近づき囁くようなけれど力強い声でそう言った。
「え………、、僕、男、だか…ら、それは……」
(トラウマを持っておられる殿下を怖がらせたいなどと、自分でも馬鹿だと思う。それでもこの方の可愛いらしい反応を見たいとも思ってしまう)
「はい、知っています……。それでも、貴方にとても触れたくて仕方が御座いません……」
そう言ってリヴァイは、ルーカスの頬を優しく撫でる。するとルーカスの頬はみるみるうちに赤く染ったのだった。
……リヴに意地悪しすぎたかもしれない。
(ああ、本当に可愛らしいな……)
ーーーーーーーーーー
遅くなりましたm(_ _)m
今日の2話目投稿は18時頃になります(>_<)
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