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本編 学園中等部編
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しおりを挟むルーカスとリヴァイが祈りの間へ戻って来ると、イライジャが2人の元へやって来た。
「お疲れ様です。テオ殿下、神界に行かれたことは陛下にお伝えしてもよろしいでしょうか?」
イライジャはアーサーの臣下として、ルーカスに異例が起きた際は逐一報告しなければならない。
「構わないよ。何を話したかは、まだ伝えられないと父様に伝えて置いて貰えないかな?」
「かしこまりました」
「では、そろそろ帰るね。ありがとう」
そう言ってルーカスとリヴァイは神殿を出ると馬車に戻り、ムハンマド家への帰路に着いた。
「胸の痛みは大丈夫かい?」
「はい。ご心配をおかけ致しました」
「次からはきちんと伝えるんだよ。いいね?」
「お約束いたします……」
まぁ、僕もいつも心配をかけているから、リヴの事は言えないけれど……。
「レイア、帰ったら古琴を弾いてあげるね~」
ルーカスは内心を隠すようにレイアにそう話しかけたのだった。
馬車がムハンマド家へ到着すると、まだ時刻は申の刻で夕食の時間まで時間がある。ルーカスは先程言った様に、レイアに古琴を弾いてあげることにした為、3人はルーカスの部屋に行った。
すると使用人がルーカスとリヴァイの分の紅茶を持ってきた。
「少し休んだ後に弾こうか」
「そうですね」
ルーカスはレイアを膝に座らせると、リヴァイと少しお茶をする。
「今日は色々あったね」
「はい。まさか殿下が、冬の神の生まれ変わりだったとは……」
「本当に驚いたよね。あと2週間程で神力が魔力に混ざらないようにして炎の魔法を使える様にしたいな」
「そういえば魔術大会で実験を為さりたいと仰られておりましたね。何を為さるのですか?」
「それは秘密。見てからのお楽しみだよ」
そう言ってルーカスは人差し指を口元に当てたのだった。
ルーカスとリヴァイが休憩を終えると、ルーカスはレイアをリヴァイに渡し、机の上に古琴を取り出した。
そしてルーカスが弦を一振り撫でると、レイアは興味津々にルーカスと古琴を凝視した。
「楽しいメロディーの曲が良いかな」
そう言うとルーカスは、古琴に手を置き曲を奏でる。古琴からは少しテンポの速く、ポロンポロンと言うような可愛らしい音色が響いた。
それをレイアは目をキラキラさせながら楽しそうに聞き続けた。
そうしてルーカスが何曲か弾き終えると、レイアはルーカスに感想を言うようにおしゃべりをする。
「あーぅー、う! きゃきゃあ~」
「とても気に入ったようですね」
「ふふ、嬉しいね。また弾いてあげるね」
そう言ってルーカスはレイアの頭を優しく撫でたのだった。
酉の刻正刻になると、イグネイシャスがルーカス達を呼びにやって来た。
「夕食の準備が整いました」
「分かった。行きましょうか、殿下」
「うん」
ルーカス達が食堂に行くと、アルフィーも到着していた。
「古琴を弾かれておられましたね。とても可愛らしい音色が屋敷に広がって、使用人達が楽しそうにしておりました」
「ごめんね、うるさかったかな?」
「いえいえ、とんでも御座いません。わたしまでとても癒されました。毎日聞きたいくらいです」
「そう言って貰えて良かったよ」
その後すぐに食事が運ばれてくると、ルーカス達は食事を初め、レイアもミルクを飲んだ。
食事を終えると、ルーカスがムハンマド家でレイアの世話をしている乳母に言う。彼女はイグネイシャスの1番上の姉で、リヴァイとティファニーの乳母もしていた女性だ。
「乳母、今日はレイアを湯浴みをさせて早めに寝かせてもらえるかな。リヴと話したいことがあるんだ」
「畏まりました。ではレイア様はもうお部屋にお戻りになりますか?」
「うん。お願い」
ルーカスの返事を聞き、乳母はレイアを連れてレイアの部屋へと戻って行った。
そしてルーカスとリヴァイも部屋へ戻る。
「殿下、お話とは何でしょうか?」
リヴァイがそう尋ねると、ルーカスは今日エラスティスで買った教本と洗浄機を取り出した。
「せっかく買ったから、使ってみようと思って。今日しないと、また先延ばしになってしまうからね」
「……分かりました」
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