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本編 学園中等部編
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しおりを挟む《テオの様子は神界から偶にだが見ていた。ノアにしたのだな》
呆然とするルーカスに、ルミナスはそう言った。するとルーカスとリヴァイはハッとして答える。
「うん。僕はこれから先もずっとリヴと生きていきたい」
《では寿命を無くす伴侶はノアで良いのだな?》
「リヴが良い」
ルーカスは真剣な表情でルミナスの言葉に答えた。
《分かった。だがまだ寿命は無くせない。その為にはテオとノアには話しておかなければならないことがある》
〈そうね。とても大切な話なの。聞いてくれるかしら?〉
フロースがとても暗い表情でルーカスとリヴァイに尋ねると、2人は了承する。
その返事を聞き、ルミナス、フロース、グラキエスは、悲しそうな暗い表情で話し始めた。
今から3万年程前、神界では紛争が起きていた。
神界には神々を纏める長老と呼ばれる者達がいる。長老はそれぞれの神の管轄を決めたり、堕落した神に制裁を与えたりする立場である。
神界は長老達に統率されて、長らく穏やかな時が過ぎていた。
ルミナス、フロース、グラキエスの三神は自身の管轄に関する仕事やそれぞれ光、花、氷の神力を使い下界の均衡を保っていた。
そして休息の時はこの三神はいつも共にいた。もう一神を加えた四神で。
そのもう一神とは冬の神イヴェールである。
「冬の神……確か神書には堕落し長老が魂を消滅させたと……」
《ああ》
⟬イヴェールの魂は消滅した……⟭
〈そのはずだったのよ。けれど今、その魂は私達の目の前にいるわ!〉
フロースは泣きそうな嬉しそうな瞳でそう言い、何故かルーカスの事を愛おしそうな表情で見つめた。
「……どういう事でしょうか」
⟬イヴェールの容姿は、少し青みがかった透けるような白の、腰まである長髪と宝石のような瞳だった⟭
〈影が落ちると少し水色にも見えるような不思議な色を持っていた。この世でその色を持つのは唯一、イヴェールの魂だけだった。
そしてイヴェールは、右の額に真っ白な雪のような角と、翼を持っているわ〉
そのグラキエスとフロースの言葉にルーカスとリヴァイは言葉が出てこない程驚いた。
それもそのはず、グラキエスとフロースの言うイヴェールの容姿は、ルーカスの容姿と全く一致したのだ。
《恐らくイヴェールの魂は、長老によって消滅させられそうになった時に、時空に迷い込み異なる世界の下界に行った。そして新しく人間の体を手に入れた。その体の名前が翠だ》
「待って? 容姿なんて偶然、似ただけかもしれない。そもそも、神が人間に生まれ変わることなんて有り得るのかい?」
⟬イヴェールは冷徹な神だった。自身や他人に関心を持たず冷酷な裁きも顔色一つ変えずにこなした。だが、友である私達には慈悲深く優しい奴だった。容姿だけでは無い。性格までテオと全く同じだ⟭
〈それにね、テオ。貴方がイヴェールの生まれ変わりである決定的な証拠があるの〉
「証拠……?」
フロースは物凄く真剣な表情でルーカスを見つめながらそう言った。
〈神にはそれぞれの神力があるの。花の神ならば花を咲かせ成長させたり枯らせたり出来るわ〉
光の神は光を操り治癒も出来る。氷の神は氷を操り何も無い場所から氷を生むことが出来る。
〈そして冬の神であるイヴェールは氷を生む他、空気や水等を何でも冷却する事が出来たわ。その冬の神力が、テオが今まで魔力だと思って氷を生み出していた力よ〉
氷の魔法は冬の神力だった……?
「けれどそれならば、僕はどうして他の魔法を使えるんだい……?」
《テオの人間としての肉体に魔力が有るからだ。そして神力は魂に刻まれている。テオは神力と魔力の2つの力を持っているのだ》
〈そしてもう1つの証拠は、神界に来たノアが、私達を目にしても跪かなかったことよ〉
突然自身の名が出た事にリヴァイは驚く。そしてルーカスとリヴァイはフロースの言葉の意味が理解出来ずに不思議そうにする。
〈神界は神の領域。神界には様々な神の神力が満ち溢れているわ。ノアは今、その圧力を感じているはずだわ〉
「……そうなのかい?」
「…恐らく。神殿の祈りの間にいる時と似たようなプレッシャーを、比べ物にならない程感じております……」
《普通ならばそのプレッシャーに気圧され、神と対面した瞬間に強制的に跪かされるのだ。だがノアはそうではない》
⟬信じる一神を決めた者には、その一神にのみ跪かされるのだ。ノアが心から忠誠を誓っている者は誰だ?⟭
それは答えを聞くまでもなく分かりきった質問だった。リヴァイが心から忠誠を誓うのはルーカスだ。
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