転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 あの後ルーカス達は昼食がてら軽くピクニックをした。皇族の霊園がある山には、花々が咲き乱れた花畑があり、よく貴族達がピクニックをしに来るのだ。


「綺麗だね」


「はい。学園は休みではありますが、平日ですので人は少ないですね」


 花畑にはいくつかの家族がまばらにいる位で、ルーカス達と他の貴族達とは距離がありこちらに気付いていない様子だ。


「昼食の準備を致しますので少々お待ち下さい」


「ありがとう」


 イグネイシャスが昼食を取るために小さな机と椅子を馬車から運び出し準備をする。


 それを待つ間、ルーカスとリヴァイはレイアに近くにある花を見せる。


「レイア、これはコスモスで、こっちはパンジーだよ。ポーチュラカもあるね。丸くて可愛らしい花が沢山あるよ」


「あ~あ~」


「殿下は花の名前にも詳しいですね。私は花を見ただけでは名前を判断できません」


「庭園で育てるから庭師に教えてもらったんだ。それまでは全然知らなかったよ。
 あっ、あれならば分かるのではないかな? おいで」


 ルーカスは少し離れた位置にある木を見つけると、レイアを抱いてリヴァイの手を取って引いていく。


「っ、、」


 そのルーカス達の姿を見た貴族達は、ルーカスとリヴァイに気付きザワザワと騒がしくなる。それを気にせずルーカスは木の前に立つと咲いている花を見上げてリヴァイに言った。


「ほら、このオレンジ色の花と独特な香り」


「……金木犀ですか?」


「正解。花言葉は謙虚と気高い人。それから向こうの似た木の白い花は銀木犀。花言葉は初恋。君にぴったりだね」


 ルーカスはリヴァイの方へ振り返ると、はにかんで笑いそう言った。
 その笑顔にリヴァイは眉を寄せて熱の篭った鋭い視線でルーカスを見詰めた。


((ノア様が凄く睨んでる! あの可愛いらしい花が似合うだなんて、第3皇子殿下は無事で済むのか……!?))


「……私はこの様な甘い香りも放っておりませんし、愛らしくもございません」


「え~、そうかい?」


 ルーカスが納得のいかない様子でそう言うと、リヴァイは上へ手を伸ばし金木犀の花を一房取った。そしてルーカスの髪に金木犀をさして言う。


「容姿も香りも性格も、全てが一致してしまう貴方にこそ金木犀が、いえ、花々は相応しいでしょう。とてもよくお似合いですよ、殿下」


 その言葉にルーカスは少し頬が赤くなり、恥ずかしそうに俯いた。


(((あっっっま!! ……ノア様も花を可愛いとか思うんだ)))


 ルーカス達の会話を見ていた貴族達の殆どがそう思ったのだった。


 ルーカス達が会話をしていると、昼食の準備を整えたイグネイシャスが2人の元へやってくる。


「御二方とも、まだ赤子のレイア様にまで空気を読ませてどうするのですか……」


 イグネイシャスが少し頬を赤くしながらそう言う。


「ん? わあ、寝ている……! レイア、ミルクの時間だよ、起きて~」


「むぅ~、あ~ぶぅ」


 ルーカスが声をかけるとレイアは寝ぼけた様子で喋る。


「レイア、起きるんだ」


 リヴァイも声をかけるが、レイアはまた眠りについてしまう。


「だめだね。後程起きたら飲ませようか」


「そうですね。食事に行きましょうか」


 ルーカス達はイグネイシャスが用意してくれた机の辺りまで戻り、椅子に座った。


「サンドウィッチだ。ピクニックという感じがするね」


「そうですね。殿下、イグも先に食べさせてよろしいですか?」


「勿論構わないよ。せっかくだから一緒に食べようよ。ガイ、ここに座って?」


 ルーカスはレイア用に出されていたもう1つの椅子の上に取り付けられた赤子用の椅子をどけて言う。


「い、いえ……! 主人と食事を共にするなど……」


「構わん。座って食べろ」


「レイアはリヴの膝の上にいるから、1つ席が余ってしまうでしょう?」


「……分かりました。失礼致します」


 ルーカスとリヴァイに勧められ、イグネイシャスは仕方なく椅子に座り共に食事を取った。


 そして食事が終わると、その後もう少し花を見てから、ルーカス達は馬車に戻る。馬車に乗ると、ちょうどレイアが起きた為ミルクを飲ませて、ルーカス達はムハンマド家の別邸へと戻って行ったのだった。




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