転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 リヴァイの部屋の天井を見上げたまま、ルーカスの瞳からはポロポロと雫が零れ落ちる。そして目覚めたルーカスの脳に、気を失った後の記憶が流れ込んで来た。


 ああ、痛い……。こんなに心配してくれる皆が、僕を捨てるはずないだろうにな。…………それにしても、座薬か~。


 ルーカスはほんの少しの羞恥心を心に宿し、隣でぐっすり眠っているリヴァイの方へ体を向ける。


 リヴの寝顔、可愛い……。


 ルーカスが手を伸ばしリヴァイの頬を撫でると、リヴァイの瞼が開く。


「おはよう。ごめんね、起こしたかな?」


「っ! 体調に問題はございませんか……!?」


 目が覚めて第一声が僕の心配とはね。


「もう平気。心配かけてごめんね?」


「いえ、良かったです。………悪夢でも見られましたか?」


 リヴァイはルーカスの顔に涙の後が残っていることに気付き、心配そうに尋ねた。


「いや、母様に会って、別れるのが悲しかっただけだよ。君が側にいるから、もう平気。昨日はありがとう」


「っ、いえ、、! 私がしたくてしたことですから……。シャーロット様へのご挨拶は、次の休日へと延期致しますか……?」


 リヴァイはルーカスの体調を心配し、延期するかどうか尋ねた。


「今日行こう。体調は、僕の勝手な思い込みのせいだったみたいだから大丈夫」


「思い込み、ですか?」


「夢で、前世の母親に父様やリヴは僕を捨てると言われてね。きっと何処かでそう思っている自分がいて、その不安で体調を崩したらしい」


「私は……」


「大丈夫。君達が僕の事が大好きなのは、分かっているつもりだよ」


「殿下、私は貴方がとても大切で愛しております。殿下が不安になられた際は、何度でも伝えます」


「っ、ありがとう。僕も愛しているよ、リヴ」


 そう言うとルーカスはリヴァイの額に口付けをする。その行動にリヴァイは少し呆気に取られた。それを見てルーカスは楽しそうに笑ってベッドをおりる。


「今日も鍛錬に行くんだよね。僕も一緒に行っていいかい?」


「……はい」


「ありがとう。着替えてくるね」


 そう言ってルーカスは自室に繋がる扉を開けて朝の準備をしに行った。

 1人残されたリヴァイは未だに少し呆然としているが、ルーカスの通常運転に頭を搔き自身も朝の支度をし始めたのであった。




 支度が終わると、リヴァイが扉を叩いた。


「良いよ」


「メディソンを呼びましたので、先に診て貰いましょう」


「分かった」


 ルーカスはリヴァイとメディソンを待つ。


「ねえリヴ、前世の事、誰に伝えたらいいと思う?」


「…………無理に伝えられる必要は御座いません」


「うん、ありがとう。けれど知っていて欲しいんだ。家族になるんだから。彼女達に、何も知らずに心配やもどかしい思いをさせたくないんだ」


 ルーカスが困った様な表情でそう言うと、リヴァイは少し躊躇った後、誰に伝えると良いか教えてくれた。
 ハドリーとグラシア、医務長のメディソン、それぞれの専属執事・侍女には伝えておくと安心だと。


「そうだね。内容は聞きたいものでもないから、簡単にだけ説明するよ。どんな影響があるのか、それから、今世での寿命の事も伝えなければならない。君を巻き込む……いや、2人の問題だからね」


 ルーカスはリヴァイを巻き込んだという言葉を訂正する。それにリヴァイは少し嬉しく思い、そして諦めた様に言う。


「殿下、皆への報告は、私からしてもよろしいでしょうか?」


「構わないけれど、暗い話だから……」


「だからでございます。殿下にはいつでも明るいお気持ちでいて欲しいのです」


 そう言って微笑むリヴァイに、ルーカスは少し拗ねたように言う。


「それなら僕だって君にはいつも笑っていて欲しいよ。……言っておくけれど、僕の方が君の事を大好きなんだから! 世界で2人きりになっても、君がいれば寂しさを感じないくらいに!」


「それを言うのでしたら、私は貴方を部屋に閉じ込めて、誰にも会えないようにしてしまいたい程、貴方を愛しております」


 そう言ってリヴァイは、先程のお返しだと言わんばかりの笑みを浮かべ、ルーカスの頬に口付けを落とす。


 するとルーカスは顔を真っ赤にして、何も言えなくなってしまう。


「どうか私にお任せ下さい」


「…………今のはずるいよ」





ーーーーーーーーーーーー

 今日は1話のみ投稿になります(*_ _))*゜





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