転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 リヴァイは部屋にやってきたメディソンに、何があったのか説明をする。


「焦点の定まらない目と嘔吐ですか」


 メディソンはルーカスの腹部を触診する。


「少し張っていますね。内部に炎症を起こしている可能性がございます。腹痛を訴えてはおられませんでしたか?」


「いや、だが殿下は痛みに疎い。気付いていない可能性がある」


「疎い……ですか?」


 リヴァイの言葉にメディソンが怪訝な表情をする。すると突然扉が勢い良く開き、少し大きな音を立てた。リヴァイとメディソンがそちらに目を向けるとアルフィー達やゲイブ達がいる。


「ルーカス殿下は大丈夫なのか?」


「やはり体調が悪かったのね……」


 イグネイシャスが皆を呼んで来た様だ。


「湯浴み中に目眩と吐き気を催したのだと思います。殿下の部屋から大きな音がし、見に行くと浴室で座り込んでおられました。そして吐き気がすると仰ったので吐かせた後そのまま気を失われたのです」


「触診してみた所、腹部内部に、炎症を起こしておられる様で、若様には腹部に痛みを訴えていなかったか尋ねたのですが……」


 メディソンは今の言葉でアルフィー、フレデリック、ティファニーの表情が曇った事に気が付いた。するとアルフィーが口を開いた。


「ルーカス殿下に許可を頂かなければならぬ話の為、詳しくは話せない。だが大切な話だ。これまでに殿下は暴行による怪我を想像も出来ぬ程の数負わされた。その為痛みに慣れ、痛覚が鈍いのだ」


 その言葉にハドリー達やメディソン、ゲイブ達は言葉も出ぬほど驚いた。そして苦しそうな表情をする。


「………それはつまり、テオ殿下が痛みを訴えなくとも、怪我や損傷をしている場合があるということですね」


 メディソンが沈黙を破り尋ねると、フレデリックが頷く。


「それはまた厄介ですな。痛みに気付けないとなると怪我の発見が遅れてしまうでしょう。加えて、医師側の負担も相当じゃ」


「まぁそこはメディソンにルーカス殿下の診察を一任すれば良いだろう」


 ゲイブの言葉にアルフィーがそう言うと、メディソンは承ると言うように頭を下げた。


「目眩がする程の痛みを受けていたとなれば、炎症は確実でしょう。しかし何かの病気という訳でもなく、原因が不明でして。ストレスが原因の場合も御座いますが、状況から見て……」


「有り得ない」


 リヴァイがすぱんと言い切った。最近は不当な反対派が捕まり、ルーカスの演技も終了し、リヴァイへの返事も済ませハドリーとグラシアへの挨拶も終えた。
 寧ろストレスから解放されたのでは無いだろうか。


「となれば、疲労か……? だがな……」


 フレデリックが自身の言葉をすぐ様否定する。そしてリヴァイに視線を向けた。


「ここ数日、特に変わった様子は御座いませんでした。睡眠時間も運動量も、いつも通りです。食事量も、今日だけです」


「顔色もさっきまで良かったしな。まぁ体に異常がないのであれば、精神的なものなんだろうが」


「そうですね。炎症と消化不良を起こしているので一先ず薬を飲ませましょうか」


 そう言うとメディソンは消化を促進させる薬を調合し、ルーカスの体を起こすと口に含ませた。そして水を飲ませ服用させる。すると突然、ルーカスは嘔吐いて薬と消化液を吐き出した。


「「「っ!」」」


「相当お腹が弱ってるみたいですね。イグネイシャス、替えの毛布をお持ちしろ」


「分かりました」


 ハーマンはイグネイシャスに指示を出すと、ルーカスが汚してしまった毛布を慣れた手つきでくるんで洗濯場へと運び出した。


「飲ませるのは無理そうですね。……若様、こちらをテオ殿下に。熱で溶けやすいので気を付けてくださいね」


 メディソンはリヴァイに容器に入った白い固形の薬を渡す。


「……これは何だ」


「座薬です。我々は外に出ておりますので入れて差し上げてください」


「なっ!?」


 メディソンの言葉にリヴァイは物凄く驚く。そして他の者達はそそくさと部屋を出て行く。


「何故私に……」


「若様に睨み殺されたくはございませんので」


 メディソンがそう言うと皆もうんうん頷く。そしてティファニーがリヴァイに言う。


「運んだ時にも裸は見てるでしょ? ルーの為よ。頑張って!」


「っ、……分かりました。終わりましたらお呼び致します」


 それを聞き皆はリヴァイの部屋の前に出て扉を閉めたのだった。


「……リヴも大変ね」





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