転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 オリエンテーションを終えた翌日、明日は学園が休日の為、片付けが終わるとルーカスとリヴァイは荷物を纏める。そしてティファニーと合流して馬車でムハンマド家の別邸へと向かった。


「ソフィに聞いたけど、陛下から接触を許して貰ったんですって? 内容も教えて貰ったわ。リヴとルーは報告しなさそうだからってね」


 ルーカスとリヴァイは図星を付かれて困った表情をする。


「女性に話すべきではない内容でしょう?」


「まぁ、2人の考え方は嫌いじゃないわ。けど、何年見守ってきたと思っているのよ! 貴方達もどかしいったらないんだから」


「うん、ごめんね」


 ルーカスが謝罪の言葉を述べると、ティファニーは大きなため息を吐いた。


「まったく……。逐一報告しろとは言わないわ。生々しいものは聞きたくないもの。勿論相談なら乗るけどね。
 ……陛下が許してくれたということは、ルーは何か吹っ切れたんじゃないの? そういう事は、ちゃんと教えてちょうだい。私だけじゃないわ。セドやキャシー、アドルフ達だって、今までずっと見守ってきたんだから」


 その言葉にルーカスとリヴァイは目を見開いて驚いた。そしてルーカスは負けを認めるような穏やかな表情で言う。


「流石はティファニー、君には敵わないな。吹っ切れたよ。リヴなら大丈夫だと、確信している」


「そう…良かったわ。今日はお母様とお祖母様に挨拶するのよね?」


「はい」


「お父様も夕食頃にはお戻りになるそうよ。頑張ってちょうだいね」


「ありがとうございます」


 学園を出発してから四半刻程で、馬車がムハンマドの別邸に到着する。
 屋敷の前にはアルフィー達と使用人達が10名程頭をお辞儀をして立ち並んでいた。


「おかえりなさいませ」


 ルーカス達が馬車を降りると、リヴァイとティファニーはそれぞれ専属の使用人に荷物を預けた。するとムハンマド家の執事長でありイグネイシャスの祖父であるゲイブ・ソル・ムハンマドがルーカスの近くにやってきて言う。


「おや、殿下は御荷物がないようですね。では、私は殿下をお運びしましょうかな」


 ゲイブが本気か冗談か分からない表情で言うと、リヴァイがルーカスの肩を自身の方へ引き寄せた。


「ほっほ、冗談ですぞ、若」


「お前は断らなければする」


 ゲイブが優しい笑顔で笑って言うと、リヴァイはぎろりと睨みをきかせた。


「ふふふ、では断っておくよ」


「いやはや、残念でございます」


 ゲイブの言葉にまたもやリヴァイは彼を睨みつける。


 ゲイブはアルフィーの幼少の頃からの専属執事である。アルフィーの宰相時代は、執事兼宰相補佐として仕え、現在はムハンマド家本邸の使用人の管理や執事長をしている。
 その為通常は別邸の管理はゲイブの息子であり、フレデリックの専属執事のハーマン・リズ・ムハンマドが管理をしている。しかし皇家主催のパーティーに参加する為にハドリー達もエスポワへ来ているので、ゲイブもお供する事になったのだった。


「冗談はさておき、殿下のお部屋までご案内致しますね」


 案内……?


「いつもの所ではないのかい?」


 ルーカス不思議に思いアルフィーに尋ねる。


「2階は客室です。ルーカス殿下はリヴの婚約者で御座いますから、4階にある隣室をお使いになられませんと」


 笑顔でそう言うアルフィーに、ルーカスとリヴァイは心底驚く。


「いいのかい? まだ挨拶も報告も出来ていないのに……」


「本日の夕飯で為さるのでしょう? なんの問題もございません」


「っ、ありがとう……!」


 ルーカスは微笑んでお礼を言う。その控えめな笑みをからは、ルーカスの喜びの感情が滲み出ているのだった。




 その後ルーカスはゲイブに部屋まで送って貰う。と言っても階は同じの為、リヴァイとティファニー達も一緒だったが。


「こちらのお部屋です。浴室や厠、洗面台等も完備されております。あちらの扉は若のお部屋と繋がっておりますので、ご自由に行き来なさいませ。殿下でしたら若の許可がなくとも怒られますまい」


 ゲイブはそう言ってニヤリと笑った。


「ふふ、君はお茶目だね。けれど、それだけではないでしょう?」


 ルーカスが笑みを無くしてゲイブに問いかける。するとゲイブも真剣な表情をし、ルーカスに跪き頭を垂れる。


「大旦那様が殿下に忠誠を誓われたとお伺い致しました。儂は大旦那様の臣下です。この老骨でよろしければ、いつでもお使い下さいませ」


「……それはアルフィーの指示かい?」


「いいえ、儂の独断にございまする」


「では君には、お願いをしよう。君の気が向いたら、叶えてくれるかい?」


 その言葉にゲイブは思わず顔を上げてしまうほどに驚いた。


「君の主はアルフィーなんだから。と言っても、君も貴族だから、皇族から命令される立場ではあるのだけど。それでも君の最優先すべきは、主人であるアルフィーの命令だよ」


「……承知致しました。では儂は殿下のを叶えられるよう準備しておりましょう」


「うん。ありがとう」


(この方はそれぞれに考えがあり、称えたいものがあることを理解しておられる。そしてそれを受け入れることの出来る心をお持ちだ。若の目に狂いはないようですな)




ーーーーーーーーーーーーー


 遅くなりましたm(_ _)m
 今日の夜中にもう一本投稿するかもです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨



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