転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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「ルーカス、抜き合うというのは、男同士で互いに性処理をし合う事だ」


「なるほど……? けれどそれなら、僕がリヴのものを処理するだけでいいのではないかな? 僕はまだ精通していないから、処理する必要もないでしょう?」


(アレクの言う慣れはこの事だな。行為に恐怖や嫌悪があるのならば、ルーカスは不感症の可能性もあるということか)


 アーサーがそう考え、ルーカスに伝えようとした時、リヴァイがルーカスを真剣に見つめて口を開いた。


「殿下、私の欲は確かに、貴方を抱きたいというものです。ぐちゃぐちゃにしてしまいたいと思っております。
 しかしそれは、貴方に快楽を得て頂けなければ意味が無いのです。殿下は私に、拒絶しても止めるなと、酷いことをしても構わないと仰いますが、それでは意味が無いのです。
 貴方が仰ったのですよ。私が触れるとどろどろに蕩ける体に作り変えろと」


 アーサー達はルーカスが、リヴァイにそんなことを言っていたのかと心底驚いた。そしてリヴァイの覚悟した瞳を見ると、これ以上聞くのは野暮だと思い、アーサーはルーカスとリヴァイだけに結界を張り、4人は結界の外に出ていった。


「ならば貴方の体に触れる機会をください。貴方の体を作り変える時間をください。精通がまだなのでしたら、私が刺激して出させます。拒絶しないと仰るのなら、私の手から快感を拾って下さい」


「ま、待ってリヴ。分かったから、、」


 ルーカスはリヴァイの言葉に羞恥を覚え、赤くした顔を腕で隠しながらリヴァイを止める。


「いいえ、言わせて頂きます」


 しかしリヴァイは止まる気はなく、ルーカスの腕を掴んで顔を合わせると、彼の瞳をしっかりと見つめて続ける。


「殿下に触れる時間を、機会を、私から奪わないで下さい。私は貴方の唯一である恋人になりたいのです。恋人として貴方を愛したいのです。貴方を性処理の道具にする気は、毛頭ございません」


 そのリヴァイの真剣な言葉に、ルーカスは目を見開きそして腑に落ちる。


「そっ、か、恋人として……そうだよね」


 リヴは無理矢理する気もなければ、僕の嫌がる事をしたくないと、何度も伝えてくれていたのに。僕だってリヴなら大丈夫だと、思っていたし言っていたのに、どこかで信じ切れていなかった。


「ふふふ、リヴは凄いなぁ。僕も知らない僕の不安を、見つけて簡単に晴らせてしまうなんて」


「いつも、貴方がして下さっている事です」


 そう言いながらリヴァイは、ルーカスが顔を隠さぬよう抑えていた腕を離した。するとルーカスは、リヴァイに飛びつく勢いで抱きつき伝える。


「ねえリヴ、高等部に入ったら最後まで出来るように、これから僕の体を作り替えてね」


「しかし……」


「だから、父様にお願いしに行こう? 準備をしなければ、僕のお尻が裂けてしまうと言えば、父様も許してくれると思うよ」


「っ、」


 ルーカスの言葉にリヴァイは困った様子になる。


「ふふふ、冗談だよ。お尻の事は言わない。けれどお願いだけはしに行こう。早く君好みの体になりたい」


「殿下…………!」


 リヴァイはルーカスを咎めるように呼んだのだった。




 ルーカスとリヴァイは外に出る為に、結界を軽く叩いた。するとアーサーが結界を解除し、2人は結界の外に出る。


「出てきたか。吹っ切れた顔をしているな、ルーカス」


「うん。覚悟が決まった気がする。リヴのおかげ」


 ルーカスが上機嫌にそう言うと、アーサー達は心の底から嬉しい気持ちが湧き上がって来た。


「それでね、父様。ひとつお願いがあるんだけど、聞いてくれるかい?」


「……先に内容を聞こう」


「最後までは高等部までしないから、準備は中等部の内からする事を許して欲しい」


 アーサーはそれを予想していたのだろう。驚くことなく、ルーカスの目を見据える。


「……本当に吹っ切れたのだな? ノアとの行為に不安は一切ないか?」


「うん、一切ない。触れ合う前の今から確信している」


「分かった。 キスやらハグやらは許す。ノアの事を手伝う事も許そう。その代わりルーカスに対する接触は来年に入るまで禁ずる。これは約束を変更する罰だと思え」


 アーサーがそう言うと、ルーカスとリヴァイはお礼を言った。しかし少し暗い表情のリヴァイにルーカスが気付く。


「リヴ、僕だって君に触れたいんだよ。だから、奪わないでね?」


「っ、はい……。ありがとうございます、殿下」


(やはりこの方は、私を舞い上がらせる天才だ……)


「よしじゃあ部屋に戻りなさい。明日はオリエンテーションだろう? 寝不足になるからな」


 アーサーが子供達にそう言うと、皆はそれぞれ部屋へと戻って行ったのだった。





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