転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 フレデリックの言葉で会議が始まり、フレデリックが皆に伝える。


「まずは事実として、第3皇子殿下が不当な反対派のお茶会に参加していたことは事実です。しかし、」


「それが分かっているのであれば何故拘束しないのですか!?」


「そうです!! 皇族であれど謀反を企てた者を知っている時点で反逆罪となりましょう!!」


 皆は口々にルーカスへの批判を出し、会議室は騒がしくなる。その中で騒いでいない者達は、公爵家の侯爵家の当主達だけであった。


「……騒々しい」


 アーサーの言葉に、皆は一瞬にして静まった。


「発言は手を挙げてからにしてください。それから、話は最後まで聞け」


 フレデリックは鋭い眼光で皆に言った。


 リヴとそっくりだね。


「第3皇子殿下はお茶会に参加しておりましたが、それは陛下や私共も、承知の上です。皇后陛下や皇族方々、そして側近達も、皆承知です」


「それは、一体、どういう……」


「本当に分からないのか? 第3皇子殿下は潜入捜査をしていたって事だ」


 マテウスがそう言うと、騒いでいた者達は一気に顔色が青ざめていく。それもそのはず、潜入捜査とは危険の伴うものだ。にも関わらず、身を粉にして国の為に動いていたルーカスに対し、拘束しろだの罰を与えろだのと言ってしまっていたのだ。


「「も、申し訳ございません!!」」


 臣下達は大慌てでルーカスに謝罪を述べた。ルーカスがちらりとアーサーの方へ視線を向けると、それに気付いたアーサーが頷いた。


「気に、、」

「何が潜入捜査だ!! お前だって計画に知恵を絞って口を出してただろ!! 自分が正当な皇位継承者だと疑いもしない馬鹿な皇帝は、皇族の非を認めたくないから化け物の事も庇っ、うわぁ!!」


 ルーカスが口を開こうとすると、突然被せるようにトレヴァーが叫び出した。すると突然トレヴァーの口元に火が出てきて、彼の口元が焼け爛れている。
 これ程一瞬の間火に触れただけで、血だらけになるほど焼け爛れている口元に、皆はより威力の高い炎の魔法が使われたのだと瞬時に理解する。

 そして皆はアーサーとマテウスの方に視線をやった。しかしそちらにはもう1人、とてつもない怒気を放ちながらトレヴァーを睨み付ける炎の魔法の持ち主がいた。


「……殿下の言葉を遮るな。御二方を嘲るとは、何様のつもりだ」


「こらリヴ、少しやり過ぎだよ」


 皆は驚きルーカスの方に視線をやった。しかしルーカスの表情は、リヴァイを窘めるには、説得力がないほどに冷えきったものだった。


「そうだよ、ノア君。喋れなくしたら、彼が生きている意味が無くなるからね」


 そう言って笑顔を浮かべながらトレヴァーの口元を癒すイライジャの姿に、皆は苦笑いをする。
 イライジャはその場に座ったままトレヴァーに光の魔法を当てて、言葉を紡げる程まで治すと治療を辞めた。


 すると今度はルーカスが立ち上がってトレヴァーの方に行った。そして目の前に経つと、ルーカスがばさりと翼と角を外へと出して広げた。


「「「っ……!?」」」


 突然のルーカスの行動にアーサー達まで驚き、そして翼とツノを出したルーカスの人間離れした神秘的な美しさに皆は息を飲む。しかしその美しい姿には似合わない程の、穢れたものを見るような瞳と、凍えるほどに冷えきった表情に、皆は震えだしてしまいそうになる。


「君には僕がどうしても化け物に見えてしまうようだね?」


 その冷たい声色に、トレヴァーは体をびくつかせた。


「化け物とは普通、恐れるべき対象の事を言うと思うのだけど、何故君は僕に近付きわざと怒らせる様な真似をするんだい? 何故僕の前で僕の家族を侮辱することが出来る」


 ルーカスの問いかけに、トレヴァーは何も答えず黙り込んだ。するとルーカスは、不思議そうにリヴァイに尋ねる。


「リヴ、僕は何か間違ったことを言っているかい?」


「いいえ、その者が殿下を化け物だと思っているのでしたら、殿下は何も間違ってなどおりません。しかしひとつ、根本的に間違っていることがございます」


「ん? それはなんだい?」


「貴方様は、化け物などと言う恐れるべき対象ではなく、とても神聖で、敬うべき存在だということです」


 そのリヴァイの言葉に、皆は驚きを隠せない。


「あのノア様が人を褒めるとは……」


「それに、笑みを浮かべていたよな……?」


 皆が呆気に取られている中、ルーカスとリヴァイの関係を知っている者達は、何とも言えないむず痒さを感じたのだった。


「ふふ、嬉しい事を言うね。君が褒めるせいで怒る気が失せてしまったよ。
 まあ、これからどうせ死ぬのだから怒る時間すら勿体ないよね。父様、フレデリック、会議を続けようか。皆僕の話し方も気になっているところだろうからね」


 そう言ってルーカスが席に戻ると、会議が再開した。





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