転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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「「…………は?」」


 ルーカスの突然のカミングアウトに、皆は鳩が豆鉄砲を食らったように放心状態となった。


「ふっ、ふふ、あはは!」


 ルーカスは皆の反応に、声を上げて大笑いする。すると皆はこの光景に違和感があり過ぎてもっと混乱してしまう。


「ふふ、はあ、皆驚きすぎだよ。ねえ、リヴ?」


「今のは殿下が悪いかと」


「えー、そうかなー?」


 ルーカスが心底楽しそうに笑うと、アレイル、キャサリン、ヨハンの3人はマルセル達を憐れむような表情で見た。


「えっと、冗談、なのですか?」


 やっと正気を取り戻したアーウィンが、困惑しながらもルーカスに尋ねる。


「いや、本当の事だよ。学園を卒業したらすぐにリヴと婚姻を上げるつもり」


 アーウィンはまだ信じられない様でリヴァイの方へ視線を向けた。


「事実だ」


 そしてリヴァイが短く一言そう言うと、アーウィン達は心底驚いた。


「それから、もう1つ。婚姻を上げた後、後継者として養子に入れる子を育てる事になった」


「どういう事だ?」


「先の調査でムハンマドの分家の者と結婚したポイゾネラの女性が、ポイゾネラの当主に殺害された。ムハンマドの分家の者と、使用人達を含めて全員」


 ルーカスが急に笑みのない真剣な表情で話しだし、話の内容も相まって皆は息を飲んだ。


「しかし幸いにも、家主達の子供だけは、生き残った。まだ生後5ヶ月の子だよ」


「その赤子を、ルーカスとノア様の養子にする事になったのか」


「うん。それで今、アルフィーがその子を見てくれている。驚くと思うから、先に伝えておきたかったんだ」


「今でも十分驚いてますが……」


 ヨハンが気力のない声でそう言うと、ギャレットが意外そうに言う。


「ヨハンも聞いていなかったんだね」


「はい。本日初めてお聞きしました」


「てことは俺達と一緒ってことだ」


 ヨハンの返答にヘクターは嬉しそうにそう言った。それを不思議そうにヨハンが尋ねる。


「ヘクター様、とても嬉しそうですね?」


「そりゃあテオ殿下はヨハンと仲がいいからな。そのヨハンと同じ様に接してくれるんだ。嬉しいのも当然だろ?」


「ヘクターはテオ殿下が大好きだからな」


「だって美人でかっこよくて頭も良くて強くてしかも優しいとか、っ!」


 ヘクターがルーカスの事をべた褒めすると、リヴァイが面白くなさそうにヘクターを睨んだ。それに気が付いたヘクターは慌ててリヴァイに弁明する。


「も、勿論、深い意味なんてないですから!! ただの憧れの話であって!!」


「……何も言っていないだろ」


「いや、その……」


「ふふ、君の視線が痛かったのではないかな?」


「今のは私でも弁明してしまうだろうな」


「私も同感だわ」


 ルーカスが可笑しそうに笑いながら言うと、アレイルとキャサリンも賛同する。するとリヴァイは罰が悪そうな表情になった。


「まあ、そういう事だから、皆には先に知っていて欲しかったんだ。噂で知ったなんて嫌でしょう?」


「ま、そうだな」


「それにしても、よくそんな長い間演技なんてできたな。今話してても違和感しかねぇ」


「慣れるまでは時間がかかりそうだね」


「ああ」


 皆はマルセルとギャレットの言葉に賛同する。


「ねえ、後もうひとついいかな?」


「はい」


「あんま驚かすなよ?」


「僕が演技をやめたら、みんなとお茶会をしたりお出かけしたりしたいんだけど、だめかい?」


「え……?」


 皆はまたもや予想外の言葉に呆気に取られた。


「だから驚かすなって……」


「え、驚くことは言っていないと思うよ?」


「予想外過ぎて驚くわ!」


 ……理不尽。


「そんな改まって言わなくても、いつでも誘えばいいだろ」


「良いのかい?」


「俺達は友人なんだろ?」


 マルセルは少し気恥しそうにしながらそう言った。するとルーカスは嬉しそうに微笑みながらお礼を言った。


「うん、ありがとう」


「うわぁ、私は慣れる気がしねぇ……」


「うん、皆そう思ってるよ」


 フランクが断言すると、ギャレットが諦めたようにそう言った。


「ルーカス殿下、そろそろ食事を済ませて教室へ戻らないと行けません」


「そうだね。早く食べようか」


 そしてルーカス達は食事をする。その後食事が終わってルーカスが結界を解き、演技に戻ると、フランク達はその切り替えの速さにまたもや呆気に取られたのだった。




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